
不妊検査は「いつ受けるか」が非常に重要です。ホルモン検査・超音波検査・子宮卵管造影検査など、月経周期のどの時期に受けるかによって得られる情報の精度が大きく変わります。この記事では月経周期に合わせた不妊検査の最適タイミングをカレンダー形式で解説します。
この記事でわかること
- 月経周期の各フェーズで受けるべき検査の一覧
- 各検査の「受けるべき日」とその理由
- タイミングを逃した場合の対処法
- 不規則な月経周期の場合の対応
月経周期別・検査タイミング早見表
28日周期を基準にした標準的なスケジュールです。実際の周期に応じて担当医と調整が必要です。
月経周期の時期 | 受けるべき主な検査 | 理由 |
|---|---|---|
月経2〜5日目(低温期前半) | 基礎ホルモン検査(FSH・LH・E2)、AMH検査、AFC(アンタール卵胞カウント) | 基礎FSHは月経開始直後が最も信頼性が高い |
月経6〜10日目(低温期中盤) | 子宮卵管造影検査(HSG)、子宮鏡検査 | 排卵前で子宮内膜が薄く卵管が見やすい |
月経10〜14日目(排卵前後) | 排卵確認超音波、頸管粘液検査、フーナーテスト | 排卵期特有の現象を確認するため |
排卵後7日目(高温期中期) | 黄体ホルモン(プロゲステロン)検査、子宮内膜生検(ERA等) | 黄体機能評価・子宮内膜状態の確認 |
月経周期を問わない | 精液検査、血液型・感染症検査、甲状腺検査 | 周期に依存しない検査 |
月経2〜5日目:基礎ホルモン検査の最重要ポイント
月経開始から2〜5日目は、卵巣機能を評価するホルモン検査の「ゴールデンタイム」です。この時期以外に採血すると、ホルモン値が正確に評価できない場合があります。
この時期に測定するホルモン
- FSH(卵胞刺激ホルモン):卵巣予備能の指標。高値(10 mIU/mL以上)は卵巣機能低下のサイン
- LH(黄体形成ホルモン):FSHとのバランスでPCOSの可能性を評価
- E2(エストラジオール):低値であることを確認。高値は卵巣機能低下の可能性
- AMH(抗ミュラー管ホルモン):周期を問わず測定可能だが初診時にまとめて測ることが多い
AFC(アンタール卵胞カウント)
月経2〜5日目の超音波検査で両側卵巣の小卵胞数を数えます。AFC 7個以上が一般的に正常範囲とされており、4個以下は卵巣予備能低下の指標です。
月経6〜10日目:HSGと子宮鏡の適切なタイミング
排卵前で卵管・子宮が最もクリアに評価できる期間です。HSGを排卵後に行うと子宮内膜が厚くなって観察が困難になります。
HSGのタイミング
- 月経終了後〜排卵前(月経6〜10日目が目安)
- 排卵後は妊娠の可能性があるためX線照射・造影剤使用を避ける
- 感染症リスク軽減のため月経中は実施しない
子宮鏡検査のタイミング
月経終了直後が最適です。子宮内膜が薄い状態で観察するほうがポリープ・粘膜下筋腫・癒着を正確に評価できます。
月経10〜14日目:排卵前後の検査
排卵期は約12〜36時間しかない貴重な観察機会です。この時期にしかできない検査があります。
排卵確認超音波(卵胞モニタリング)
- 月経10日目ごろから数日おきに卵胞の大きさを計測
- 18〜24mm程度まで成長した卵胞が排卵準備完了のサイン
- 排卵後は卵胞が消失し液体貯留(黄体)が確認できる
フーナーテスト(性交後検査)
LHサージ(排卵誘発ホルモン急上昇)の翌日または当日に頸管粘液内の精子を確認する検査です。粘液1視野に運動精子5個以上が良好とされています。
排卵後7日目前後:黄体機能・子宮内膜評価
プロゲステロン(黄体ホルモン)検査
排卵後7日目前後(高温期中期)にプロゲステロンを測定します。正常値は10 ng/mL以上(施設により基準が異なる)。低値の場合は黄体機能不全の可能性があります。
子宮内膜生検(ERA検査)
ERA(子宮内膜受容能検査)は自然周期では排卵後7日目(LHサージ後7日目)、ホルモン補充周期では黄体ホルモン開始後5日目が標準的な実施タイミングです。
生理不順・無月経の場合の対応
月経周期が不規則な場合やPCOSで無月経・希発月経がある場合は以下のアプローチが取られます。
- プロゲスチン投与で月経を起こす(消退出血):月経2日目相当として検査を開始
- AMHのみ先行して測定:AMHは周期を問わず測定可能
- 基礎体温表を持参:排卵のパターンを把握した上で医師が検査タイミングを調整
よくある質問
Q. 月経2日目に予約が取れない場合はどうすれば?
月経2〜5日目であれば許容範囲です。生理が始まったらすぐにクリニックに電話する習慣をつけることが重要です。
Q. AMHはいつ測っても同じ値ですか?
AMHは月経周期の影響を受けにくいホルモンです。ただし個人内変動(±20〜30%程度)があるため、一回の値だけでなく経時的変化を見ることが重要です。
Q. HSGと子宮鏡は同じ周期に受けられますか?
同じ周期内(月経終了後〜排卵前)に両方実施するクリニックもあります。ただし身体的負担を考慮して別周期に分けることもあります。担当医の方針に従ってください。
Q. 精液検査はいつでも受けられますか?
精液検査は月経周期に関係なく実施できます。採取日の2〜7日前から禁欲することが精液検査の精度向上のために推奨されます。
Q. 検査中に妊娠してしまう可能性はありますか?
HSGは排卵前に実施するため妊娠リスクは低いですが、ゼロではありません。タイミング法を実践中の場合は事前に担当医に伝えてください。
まとめ
不妊検査は月経周期のタイミングで得られる情報の質が大きく変わります。月経2〜5日目のホルモン検査、月経6〜10日目のHSG・子宮鏡、排卵期のフーナーテスト、高温期のプロゲステロン検査と各検査に最適タイミングがあります。「いつ受けるか」を事前に把握して、月経が始まったらすぐにクリニックへ連絡することが、不妊検査を効率よく進める第一歩です。
免責事項
本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。月経周期や体の状態には個人差があります。検査のタイミングは必ず担当医の指示に従ってください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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