不妊検査の相談では、年齢は大切な情報ですが、「20代はこの検査、30代後半はAMHが最優先」と一律には決めません。妊娠を試みた期間、月経や症状、既往と双方の状況、本人の希望を合わせて、必要な検査と進め方を考えます。
受診時期の目安は、受診をそれまで待つ義務ではありません。月経が来ない・不規則、強い痛み、既知の疾患や治療歴等がある場合は、年齢や期間だけで先延ばしにしないでください。
年齢の数字と、本人に必要な相談を分けます
| 気になること | 診療で確認すること |
|---|---|
| 35歳未満で妊娠しない | 既知の要因がなく定期的に避妊せず性交している場合、12か月が評価開始の目安。症状や既往があれば先に相談 |
| 35歳以上で妊娠しない | 同じ条件では6か月が目安。期間だけでなく本人の状況と希望も伝える |
| 40歳を超えて妊娠を希望 | より早い評価・治療の相談が適切な場合がある。検査を省いて自動的に採卵という意味ではない |
| 月経や体調、既往が気になる | 年齢・期間を待たず、症状と過去の手術や薬等を伝える |
| AMHの結果が気になる | 刺激への反応等の判断材料。卵子の質・自然妊娠の可否を単独では判定しない |
12か月・6か月は、条件のある受診目安です
ASRMの2026年意見書では、既知の不妊要因がなく、定期的に避妊せず性交している場合、女性が35歳未満では12か月、35歳以上では6か月で評価を開始する目安を示しています。40歳を超える場合は、より早い評価や治療が適切な場合があるとしています。
これは年齢に到達した日から妊娠できないという境界や、全員が同じ治療へ進む規則ではありません。性交の機会や性機能、本人が望む妊娠の方法も含めて相談します。ここで示すのはASRMの目安で、国内の診療や制度の利用条件は受診先で確認してください。ASRM:女性不妊の評価に関する意見書(2026年)
症状や治療歴があるときは、目安の期間を待ちません
月経不順・無月経、不正出血、子宮・卵管の疾患や子宮内膜症が疑われる場合、男性側の問題や性機能の問題がある場合等は、早めの評価を相談します。抗がん治療等、妊孕性に影響する治療の予定や既往も伝えてください。
20代だから原因がない、30代になれば必ず甲状腺・AMHを一式で追加する、とは言えません。強い痛みや体調の変化は妊娠の相談とは別にも診療が必要なことがあるため、検査をまとめる日まで我慢する条件にしません。
排卵・子宮や卵管、精液等を、必要に応じて評価します
検査は問診を基に、排卵の状況、子宮・卵管等の構造や通過性、該当する場合の男性側の精液等を確認します。月経の経過や既往によって追加検査の必要性が異なり、年齢別の「必須検査ランキング」で決めるものではありません。
男性が妊娠に関わる場合、女性側の全検査が終わるまで待たず、病歴や精液検査等を並行して相談します。双方が同じ日に同じ施設へ必ず行くという意味ではなく、紹介や予約方法も受診先へ確認します。日本泌尿器科学会:男性不妊症の診断・初期評価(2024年版)
AMHを、年齢ごとの合否や治療の自動選択に使いません
卵巣予備能の検査は、主に卵子の数や卵巣刺激への反応を考える材料です。AMHは卵子の質そのものや自然妊娠の可否を示す検査ではなく、年齢・既往・これまでの治療や反応と合わせて解釈します。
低い値だけで直ちに体外受精に進む、高い値なら妊娠できる、という判断はできません。ASRMは、卵巣予備能検査を理由に不妊治療から除外しないこと、定期的なAMHの繰り返し測定を一律に行わないことも説明しています。自分の診療で何のために測るのかを聞いてください。
検査や治療を進める前に、目的と次の判断を聞きます
「結果によって何が変わるか」「今必要か、後でよいか」「別の方法はあるか」「いつ方針を見直すか」を確認します。染色体・免疫・凝固系検査や腹腔鏡等を年齢だけで全員へ追加するものではありません。
料金は検査の組み合わせ、保険適用の条件や診察・薬等の有無で異なります。検査を一式1〜3万円・1〜2周期と決めず、本人の計画と見積もりを確認してください。年齢だけから保険の適用や妊娠率を保証せず、必要な説明を受けて選びます。
出典と確認日
2026年10月31日に、ASRM2026年意見書の受診時期・評価・卵巣予備能の採用節、日本泌尿器科学会2024年指針の初期評価を確認しました。年齢別の検査セットや個人の治療・妊娠率を決める案内ではありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。