EggLink

人工授精前に必要な検査|最低限の検査項目

2026/4/19

人工授精前に必要な検査|最低限の検査項目

人工授精(IUI)前に必要な検査:最低限おさえるべき項目

人工授精(IUI:Intrauterine Insemination)は、精子を子宮腔内に直接注入して妊娠を助ける不妊治療のステップです。タイミング法より妊娠率が高く、体外受精より低侵襲・低コストという位置づけです。IUIを開始する前に必要な検査をしっかり受けておくことで、治療の安全性と効率が高まります。本記事では、IUI前に必要な検査項目をわかりやすく整理します。

この記事でわかること

  • 人工授精前に必ず行うべき検査(女性・男性)
  • 各検査の目的と保険適用状況
  • 検査結果をもとに治療方針を決める流れ
  • 人工授精が適さないケース(次のステップの判断基準)
  • 検査にかかる費用の目安

女性側に必要な検査

IUI前に女性側で確認すべき最低限の検査項目を解説します。

1. 卵管の通過性確認(HSG・超音波下通水検査)

IUIで注入した精子が卵管を通って卵子と出会うためには、少なくとも一方の卵管が開通していることが前提です。両側卵管閉塞の場合はIUIが無効となるため、必須の検査です。

  • 検査方法:子宮卵管造影(HSG)または超音波下通水検査(SHG)
  • 費用(保険3割):約3,000〜6,000円

2. ホルモン検査(卵巣機能・排卵の確認)

IUIは排卵のタイミングに合わせて行うため、卵巣機能と排卵有無の確認が重要です。

  • FSH・LH・E2・AMH(卵巣予備能)
  • 甲状腺ホルモン(TSH):甲状腺機能異常は排卵障害に関連
  • プロラクチン(PRL):高プロラクチン血症は排卵抑制の原因
  • 費用(保険3割):約3,000〜8,000円(項目数による)

3. 感染症検査

IUI実施前に感染症の有無を確認します。クラミジア感染があると卵管炎・骨盤内炎症性疾患を悪化させる可能性があるため、治療してから手術を行います。

検査項目

理由

クラミジア抗原(子宮頸管)

IUI・卵管操作前の必須確認

梅毒・HIV・HBs・HCV抗体

感染リスク管理

風疹抗体価

妊娠前の確認(抗体低い場合はワクチン接種を推奨)

4. 超音波検査(子宮・卵巣の形態評価)

子宮筋腫・ポリープ・卵巣嚢腫の有無を確認します。粘膜下筋腫・大きなポリープがある場合は、IUI前に処置を検討します。

男性側に必要な検査

IUIは精子を直接子宮腔内に注入するため、ある程度の精子数と運動率が必要です。男性側の検査は最低限1項目が必須です。

精液検査(最低限必須)

IUIに最低限必要な精子数の目安として、洗浄後の前進運動精子数(TPMSC)が500万個以上であることが目安とされています(TPMSC:Total Progressive Motile Sperm Count)。

項目

IUIに望ましい目安

洗浄後前進運動精子数(TPMSC)

500万個以上(諸説あり)

精子濃度

1,600万/mL以上(WHO 2021年基準)

前進運動率

30%以上

TPMSCが100万個を下回る場合は、IUIの有効性が低下するため、体外受精へのステップアップを医師から提案されることがあります。

追加で検討する検査

基本検査以外に、以下の検査が推奨される場合があります。

  • 子宮鏡検査:超音波で子宮内異常が疑われる場合、またはIUIを複数回試みても妊娠しない場合
  • 頚管粘液検査:排卵期の頚管粘液の量・伸展性を確認
  • フーナーテスト(性交後試験):精子と頚管粘液の相性を確認。現在は有効性に疑問があり実施しない施設も多い

人工授精が適さないケース

以下のケースではIUIの有効性が低いため、より高度な治療(体外受精)を選択することが推奨されます。

  • 両側卵管閉塞が確認されている
  • 重度の男性不妊(TPMSC 100万個未満)
  • 子宮内膜症が重度で卵管・卵巣の癒着が強い
  • 女性が高年齢(目安として38〜40歳以上)でAMHが低い場合、IUIよりも早期に体外受精を検討することがある
  • 3〜6回のIUIを試みても妊娠しない場合(体外受精へのステップアップを検討)

費用の目安

項目

保険適用時(3割)

女性側の基本検査一式

約1.5万〜3万円

男性側の精液検査

約1,000〜2,000円

IUI施術1回

約5,000〜1万円(保険適用)

排卵誘発剤(使用する場合)

約2,000〜5,000円

IUIは保険適用(2022年4月以降)により1回あたりの自己負担が大幅に軽減されました。年齢・回数の条件内であれば3割負担で受けられます。

検査から人工授精開始までのタイムライン

  1. 初診(月経3〜5日目頃):ホルモン検査・超音波
  2. 月経後半(排卵前):HSG・感染症検査
  3. 検査結果確認・方針決定:2〜4週間後
  4. IUI実施:検査が完了した翌月経周期の排卵日周辺

よくある質問

Q1. タイミング法からIUIに切り替えるタイミングはいつですか?

一般的にはタイミング法を3〜6周期試みて妊娠しない場合にIUIへ進むことが多いです。女性の年齢が高い場合(35歳以上)は早めのステップアップを検討します。

Q2. 精液検査はIUI当日でも問題ありませんか?

IUI前に事前の精液検査で精子の状態を確認しておくことが望ましいです。IUI当日に精子調整を行い、その結果を見て判断する施設もあります。

Q3. 卵管が1本だけ通っている場合、IUIは有効ですか?

片側の卵管が通っていれば、その側で排卵した周期にIUIが有効です。超音波で排卵側の卵巣を確認しながら治療を進めます。

まとめ:検査を正しく理解してIUIを最大限に活かす

人工授精前の検査は「効果のある人に、正しいタイミングで実施する」ための重要な準備です。必要最低限の検査(卵管通過性・基本ホルモン・感染症・精液検査)を事前にしっかり受けることで、IUIの成功率を高め、不要な繰り返しを避けられます。

免責事項
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の治療方針の決定を目的としていません。人工授精前に必要な検査は患者の状態によって異なります。必ず担当医師にご相談ください。

E

この記事を書いた人

EggLink編集部

医療・婦人科専門メディア

産婦人科・婦人科に関する正確で信頼性の高い情報をお届けします。医療監修のもと、女性の健康に役立つコンテンツを制作しています。

公開:2026/4/19更新:2026/5/2