EggLink

DHEA-S検査|副腎由来アンドロゲンと不妊

2026/4/19

DHEA-S検査|副腎由来アンドロゲンと不妊

「DHEA-S(デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩)の値が高い」——不妊検査でこう言われ、何を意味するか分からない方がいます。DHEA-Sは副腎から分泌されるアンドロゲン前駆体で、PCOSや副腎疾患の評価に使われます。妊活においてはPCOSとの関連が特に重要です。

この記事のポイント

  • DHEA-S検査が不妊検査に含まれる理由(副腎由来アンドロゲン過剰の評価)
  • DHEA-S高値の原因(PCOS・副腎腫瘍・CAH等)と鑑別のポイント
  • DHEA-S低値が不妊に関与する可能性と補充療法の議論

DHEA-S検査とは——副腎由来アンドロゲンを測る

DHEA-S(Dehydroepiandrosterone Sulfate)は副腎皮質から分泌されるアンドロゲン(男性ホルモン)の前駆体で、血中濃度はほぼ安定しているため採血時間に影響されにくい特徴があります。女性の正常範囲は35〜430μg/dLとされますが、年齢によって大きく変動します(若い女性ほど高値)。

DHEA-S高値の原因と不妊への影響

DHEA-S高値の主な原因はPCOS、先天性副腎皮質過形成(CAH)の非典型型、副腎腫瘍です。これらの鑑別が不妊治療の方針に直結します。

原因

特徴

不妊への影響

PCOS

LH高値・卵巣多嚢胞像・男性化症状

排卵障害・高アンドロゲン血症による卵子質低下

非典型CAH(21-OH欠損)

17-OHP高値が鑑別のカギ

排卵障害・習慣流産との関連報告あり

副腎腫瘍

急激な高値(700μg/dL以上)

医療的緊急性あり・画像検査要

肥満・インスリン抵抗性

軽度高値が多い

PCOS様排卵障害

CAH(先天性副腎皮質過形成)との鑑別——17-OHPが重要

非典型型CAH(21-hydroxylase欠損症)はPCOSと症状が類似しており、DHEA-S高値・男性化症状・排卵障害を呈します。鑑別には朝空腹時の17-ヒドロキシプロゲステロン(17-OHP)測定が有用で、値が高い場合はACTH負荷試験で確定診断します。CAHでは副腎皮質ステロイドによる治療で排卵が改善する可能性があります。

DHEA-S低値と不妊・体外受精への影響

一方、DHEA-Sが低値(特に30μg/dL未満)の場合は卵巣予備能低下(低反応)との関連が研究されています。一部の研究ではDHEA補充(75〜150mg/日、3〜6ヶ月)が体外受精での採卵数・妊娠率を改善するという報告がありますが、エビデンスは限定的で、全ての不妊女性に推奨されるわけではありません。

検査の実施タイミング——何と組み合わせて行うか

DHEA-S検査は通常、男性化症状(多毛・ニキビ・肥満)がある場合や、テストステロン高値・PCOS疑いの精査として実施されます。月経2〜5日目の基礎ホルモン検査(FSH・LH・E2・PRL・テストステロン)と同時に行われることが多いです。

DHEAサプリメントの議論——飲む前に確認すること

市販のDHEAサプリは日本では医薬品扱い(薬機法上の規制対象)となる場合があり、医師の指示なしでの服用は慎重を要します。DHEA-S低値があり体外受精の反応不良が懸念される場合は、担当医に補充療法の適否を相談することが適切です。

よくある質問

Q. DHEA-S高値と言われました。すぐに心配が必要ですか?

軽度高値(430〜600μg/dL程度)の場合、多くはPCOSや肥満が背景にあることが多く、副腎腫瘍のような緊急性はありません。ただし急激な高値や男性化症状が強い場合は副腎・下垂体の精査が必要です。担当医の判断を仰いでください。

Q. DHEA-S低値でもAMHが正常なら問題ありませんか?

AMHが正常でもDHEA-S低値の場合、体外受精の卵巣反応に影響する可能性があるという研究報告があります。ただし必ずしも治療が必要とは限らず、担当医と個別に判断することが重要です。

Q. 非典型CAHの場合、治療で妊娠できますか?

非典型CAHでは副腎皮質ステロイド(デキサメタゾン等)の少量投与で17-OHPを抑制し、排卵が回復するケースが報告されています。早期診断と治療で妊娠できる可能性があります。

Q. PCOS由来のDHEA-S高値は治療で改善しますか?

体重管理・インスリン抵抗性改善(メトホルミン等)・排卵誘発治療でアンドロゲン過剰が改善するケースがあります。DHEA-S値だけでなく総合的な治療が重要です。

Q. DHEA-S検査費用はどのくらいですか?

保険適用の場合、3割負担で数百〜1,500円程度が目安です。PCOSや男性化症状の精査として実施される場合、他のホルモン検査と同日に行われます。

まとめ

DHEA-S検査は副腎由来アンドロゲン過剰の評価に不可欠で、PCOSと非典型CAHの鑑別に重要な役割を果たします。高値の場合は原因によって治療法が大きく異なり、特にCAHでは副腎皮質ステロイドによる治療で排卵回復が期待できます。低値の場合は体外受精前のDHEA補充が議論される場面もありますが、医師の指示のもとで行うことが大切です。

※本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療の指示ではありません。個別の状況については必ず担当医にご相談ください。

E

この記事を書いた人

EggLink編集部

医療・婦人科専門メディア

産婦人科・婦人科に関する正確で信頼性の高い情報をお届けします。医療監修のもと、女性の健康に役立つコンテンツを制作しています。

公開:2026/4/19更新:2026/5/2