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乏精子症と診断されたら?|治療法と妊娠の可能性

2026/4/19

乏精子症と診断されたら?|治療法と妊娠の可能性

乏精子症と診断されたら——治療法と妊娠の可能性を整理する

乏精子症(精子数が少ない状態)と診断されると不安を感じるのは当然です。しかし乏精子症は男性不妊の中で最も多い状態のひとつであり、治療の選択肢も豊富です。精子数の程度によって推奨される治療が異なりますので、まず現状を正確に把握しましょう。

乏精子症の定義と重症度分類

WHO(2021年版)の基準では、精子濃度が1600万/mL未満を乏精子症と定義しています。

分類

精子濃度

治療の方向性

軽度乏精子症

500〜1600万/mL

タイミング法・IUIを試みてよい

中等度乏精子症

100〜500万/mL

IUI→IVFへのステップアップ

重度乏精子症

100万/mL未満

IVF+ICSI(顕微授精)が推奨

極度乏精子症

数十万/mL以下

ICSI。無精子症に近い評価が必要

精子濃度だけでなく、運動率・形態率・DNAフラグメンテーション指数(DFI)も合わせて評価することが重要です。

乏精子症の主な原因

  • 精索静脈瘤:男性不妊の35〜40%に見られる。精巣温度上昇が精子産生を阻害
  • ホルモン異常:テストステロン低下、下垂体機能異常
  • 生活習慣:喫煙、大量飲酒、肥満、長時間の熱暴露
  • 染色体異常:Y染色体微小欠失(AZF領域)
  • 薬剤の影響:ステロイド、一部の抗生物質
  • 特発性(原因不明):約40〜50%を占める

治療法——状況別に選ぶ3つのルート

ルート1:原因治療(精索静脈瘤手術・ホルモン療法)

原因が特定できた場合、まず原因治療を行います。精索静脈瘤の手術では、術後3〜6ヶ月で精液所見が改善することが多く、自然妊娠率も向上します。クロミフェン(クロミッド)等のホルモン療法で精子産生を刺激する方法もあります。

ルート2:人工授精(IUI)

運動精子を選別・濃縮して子宮内に直接注入します。1周期あたりの妊娠率は5〜15%程度で、3〜6周期試みます。軽〜中等度の乏精子症で、女性側に問題がない場合に有効です。

ルート3:体外受精+顕微授精(IVF/ICSI)

重度乏精子症や原因治療・IUIで妊娠しない場合はIVFへステップアップします。ICSIは1個の精子を直接卵子に注入するため、精子数が極めて少ない場合でも受精が可能です。

精子数を増やす生活習慣——3〜6ヶ月で変化を確認

  • 禁煙:喫煙は精子産生・DNA損傷の両方に悪影響。禁煙3ヶ月後に精液所見改善の報告あり
  • 過体重の解消:BMI 30以上では精子数が有意に低下。適正体重に近づけることで改善が期待
  • 陰嚢の過熱を避ける:サウナ・長時間の熱暴露を避ける。精巣は体温より2〜4℃低い必要がある
  • 亜鉛・葉酸・抗酸化物質:食品(牡蠣・レバー・ナッツ類)またはサプリで補充
  • 禁欲期間の調整:長すぎる禁欲(10日以上)は精子の質を下げる場合がある。2〜5日が推奨

治療のタイムライン目安

  1. 受診〜原因精査:1〜2ヶ月(精液検査×2〜3回、ホルモン検査、超音波)
  2. 精索静脈瘤手術後の確認:術後3〜6ヶ月で再検査
  3. IUI:3〜6周期(3〜6ヶ月)
  4. IVF/ICSIへのステップアップ:IUI不成功後

女性のパートナーの年齢も考慮し、年齢が高い場合(35歳以上など)は原因治療とIVFを並行して検討することも重要です。

よくある疑問Q&A

Q. 乏精子症でも自然妊娠できますか?

軽度の乏精子症であれば自然妊娠は可能です。しかし女性側の年齢・周期数を考慮すると、早めの医療介入が合理的なことが多いです。

Q. 精子数は薬で増やせますか?

ホルモン補充(FSH注射、クロミフェン)や漢方(補中益気湯、八味地黄丸)などで精子数が増加したという報告があります。ただし効果の大きさには個人差があります。

Q. 精子数が少ないのは遺伝しますか?

特発性の場合は必ずしも遺伝しません。ただしY染色体微小欠失による乏精子症は男児に遺伝するため、遺伝カウンセリングが推奨されます。

Q. ICSIで生まれた子どもへの健康影響は?

現在のエビデンスでは、ICSIで生まれた子どもの重大な健康問題の増加は示されていませんが、長期フォローアップ研究は継続中です。主治医に最新情報を確認してください。

Q. 治療開始のタイミングはいつがよいですか?

パートナー女性の年齢が35歳以上、または不妊期間が1年以上であれば早急に専門医を受診することをお勧めします。

まとめ

乏精子症と診断されたら、以下のステップで対応しましょう。

  1. 精子の重症度・原因を精査(精索静脈瘤・ホルモン・染色体)
  2. 原因がある場合は治療(手術・ホルモン療法)を先に行う
  3. 軽〜中等度ならIUI、重度ならICSIへ。女性の年齢も考慮してステップを組む
  4. 生活習慣の改善を並行して3〜6ヶ月継続

乏精子症は適切な治療でパートナーとの妊娠が十分可能な状態です。専門医とともに最善の道を探しましょう。

【免責事項】本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。治療方針については必ず担当医師にご相談ください。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2