
子宮腺筋症の確定診断には、経腟超音波(エコー)検査とMRI検査が中心的な役割を担います。いずれも組織採取(生検)なしに診断できる非侵襲的な検査です。この記事では、各検査の特徴・見方・費用・診断精度を詳しく解説します。
この記事のポイント
- 子宮腺筋症の診断は主にエコー(超音波)とMRIで行われる
- エコーは簡便・低コスト(保険3割で数百〜千円程度)、MRIは精度が高い
- MRIは「ジャンクションゾーン(内膜筋層境界)の肥厚」が診断の重要指標
- 子宮筋腫・子宮内膜症との鑑別が重要
- 確定診断は組織診断(手術後)が基本。画像検査は推定診断
子宮腺筋症とはどんな疾患か
子宮腺筋症は、本来子宮の内側(子宮内膜)にある腺組織が、筋層の中に入り込んで増殖する疾患です。子宮内膜症の一種に分類されます。
- 主な症状:月経痛(激しくなることが多い)、過多月経、慢性的な下腹部痛、不妊
- 好発年齢:30〜50代(出産経験のある女性に多い傾向)
- 子宮内膜症との違い:子宮内膜症は子宮外への病変、子宮腺筋症は筋層内への病変
- 子宮筋腫との違い:筋腫は良性腫瘍(境界明瞭)、腺筋症は浸潤性で境界不明瞭
エコー(経膣超音波)検査
日常の産婦人科診察で最初に行われる検査です。子宮腺筋症の初期診断に広く使われます。
エコー所見のポイント
- 子宮の腫大(肥大):びまん性(全体的)に子宮が大きくなる
- 筋層内の不均一なエコー像:不規則な高エコー域・低エコー域が混在
- ジャンクションゾーンの不明瞭化:子宮内膜と筋層の境界がぼやける
- 小嚢胞の存在:筋層内に数mm程度の小嚢胞(子宮腺筋症の特徴的所見)
費用・特徴
項目 | 内容 |
|---|---|
費用(保険3割) | 約300〜1,500円 |
所要時間 | 5〜10分程度 |
放射線被曝 | なし |
診断精度 | 感度79%、特異度74%(MRIより劣る) |
繰り返し | 何度でも可能(安全性が高い) |
MRI(磁気共鳴画像)検査
MRIは子宮腺筋症の確定診断に最も信頼性が高い画像検査です。特に手術前の精密評価に不可欠です。
MRI所見のポイント
- ジャンクションゾーン(JZ)の肥厚:JZ厚が12mm以上で腺筋症を強く疑う(国際基準)
- T2強調像での低信号域:病変部が暗く映り、筋層内の腺組織増殖を示す
- 小嚢胞の検出:エコーより細かい嚢胞まで描出可能
- 病変の範囲・深さ:びまん型・限局型(腺筋腫)の鑑別が可能
費用・特徴
項目 | 内容 |
|---|---|
費用(保険3割) | 約5,000〜1万5,000円 |
所要時間 | 30〜60分程度 |
放射線被曝 | なし(磁気・電磁波を使用) |
診断精度 | 感度88〜89%、特異度88〜93%(エコーより高い) |
注意点 | ペースメーカー・金属インプラントがある場合は受けられない場合がある |
子宮筋腫・子宮内膜症との鑑別
子宮腺筋症は子宮筋腫・子宮内膜症と症状が似ているため、鑑別が重要です。
疾患 | エコー所見 | MRI所見 | 境界 |
|---|---|---|---|
子宮腺筋症 | びまん性子宮腫大・不均一エコー | JZ肥厚(12mm以上)・低信号域 | 不明瞭 |
子宮筋腫 | 境界明瞭な球形腫瘤 | 低信号の境界明瞭な腫瘤 | 明瞭 |
子宮内膜症(チョコレート嚢胞等) | 卵巣の嚢胞性病変 | T1高信号のラカナール嚢胞 | 病変に依存 |
受診の流れ
- 初診(婦人科):問診・内診・経膣エコー検査
- 腺筋症が疑われる場合:MRI検査を予約(別日が多い)
- MRI結果説明:診断・病変の程度・治療方針の相談
- 必要に応じて:血液検査(CA125等のマーカー)・腹腔鏡検査
よくある質問
Q. 子宮腺筋症の確定診断はどうやってするのですか?
厳密な確定診断は「手術で切除した組織の病理組織検査」によります。ただし臨床的には、MRIとエコーの所見・症状を総合して診断(推定診断)を行い、手術なしで治療を開始することが多いです。
Q. エコーだけで診断できますか?
典型的な所見があればエコーのみで推定診断できる場合があります。ただし、軽度の腺筋症や子宮筋腫との鑑別が難しい場合はMRIが有用です。
Q. 生理中にエコー検査を受けることはできますか?
技術的には可能です。生理中は子宮内膜が厚くなるため、状況によっては生理後の受診が望ましい場合があります。担当医の判断によります。
Q. 子宮腺筋症があると不妊になりやすいですか?
子宮腺筋症は不妊・流産の原因になる可能性があります。子宮内膜の受容性低下・子宮収縮異常・炎症環境の変化が関与するとされています。ただし腺筋症があっても妊娠できる方は多く、不妊の原因として単独で確定するのは難しい面もあります。
Q. MRI検査は妊娠中でも受けられますか?
妊娠中のMRI(特に妊娠初期)は可能な限り避けることが推奨されています。妊娠が判明している場合や妊娠の可能性がある場合は、担当医に必ず申告してください。
まとめ
子宮腺筋症の検査は、エコーとMRIを組み合わせることで精度の高い診断が可能です。
- 初診ではまずエコー検査。詳細評価にはMRIが有効
- MRIのジャンクションゾーン(JZ)肥厚12mm以上が診断の重要な指標
- 子宮筋腫・子宮内膜症との鑑別が重要で、画像所見と症状を組み合わせて判断
- 不妊への影響がある場合は生殖補助医療専門医との連携が重要
月経痛の増強・過多月経・不妊の悩みがある場合は、まず婦人科を受診してエコー検査を受けることをお勧めします。
免責事項
本記事は医療情報の一般的な提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。検査・治療の詳細については必ず担当医にご相談ください。記載の診断精度データは文献値の目安であり、施設・患者状況によって異なります。記載情報は2026年5月時点のものです。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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