
子宮内膜ポリープとは?切除が検討される場合
子宮内膜ポリープは子宮内膜から突出する良性の腫瘤で、生殖年齢女性の約10〜25%に認められます。多くは無症状ですが、不正出血や不妊の原因になることがあり、症状やサイズによっては子宮鏡下での切除手術が検討されます。
子宮鏡手術(TCR: Transcervical Resection)は子宮口からカメラと器具を挿入して行う低侵襲手術で、腹部に傷をつけることなくポリープを摘出できます。日帰り〜1泊入院で実施可能な施設も多く、身体への負担が少ない手術法です。
切除が推奨されるケース
- 不正出血:ポリープからの出血が原因と考えられる場合
- 不妊:着床障害の原因としてポリープが疑われる場合(サイズ10mm以上、または位置が卵管口近く)
- ポリープが大きい:15mm以上の場合は自然消退が期待しにくい
- 悪性の可能性を否定できない:閉経後のポリープ、異型の疑い
- 過多月経:ポリープが経血量増加の一因と考えられる場合
子宮鏡手術の流れ
子宮鏡手術は全身麻酔または静脈内鎮静下で行われ、手術時間は通常15〜30分程度です。
手術前の準備
- 術前検査:血液検査、心電図、超音波検査、子宮鏡検査(ポリープの位置と大きさの確認)
- 月経周期の調整:月経後の低エストロゲン期(月経終了直後〜排卵前)に手術を行うと内膜が薄く視野が良い
- 子宮頸管の前処置:手術前日にラミセルやミソプロストールで子宮口を拡張
- 絶食:全身麻酔の場合は前日夜から絶食
手術の手順
- 麻酔を導入(全身麻酔 or 静脈内鎮静+局所麻酔)
- 子宮口から子宮鏡(カメラ)を挿入
- 子宮腔内を灌流液で拡張し、モニターでポリープを観察
- 電気メス付きのレゼクトスコープまたは専用シェーバーでポリープを根元から切除
- 切除した組織を回収し、病理検査に提出
- 子宮腔内の止血を確認して終了
使用される機器
機器 | 特徴 |
|---|---|
レゼクトスコープ | 電気ループで切除。大きなポリープに適している |
子宮鏡下シェーバー(MyoSure等) | 吸引しながら切除。手術時間が短く灌流液量が少ない |
コールドループ | 電気を使わず機械的に切除。子宮内膜への熱損傷が少ない |
手術後の経過と注意点
子宮鏡手術は低侵襲ですが、術後の適切なケアが回復と再発予防に重要です。
術後の経過
- 当日:麻酔覚醒後、1〜3時間で歩行可能。日帰りの場合はその日のうちに帰宅
- 1〜3日:軽度の下腹部痛と少量の出血。鎮痛薬で対応可能
- 1〜2週間:出血がおさまる。茶色い帯下が少量続くことがある
- 2〜4週間:通常の日常生活に復帰。次の月経が来る
術後の注意事項
- 術後2週間は性行為・タンポン使用・入浴(シャワーはOK)を避ける
- 重い物を持つなどの激しい運動は1〜2週間控える
- 術後に38℃以上の発熱、大量出血、強い腹痛がある場合は速やかに受診
- 処方された抗生物質は最後まで飲み切る
仕事への復帰目安
仕事の種類 | 復帰目安 |
|---|---|
デスクワーク | 翌日〜3日後 |
軽い立ち仕事 | 3〜5日後 |
重労働・肉体労働 | 1〜2週間後 |
手術の効果と再発について
子宮鏡手術はポリープの完全切除率が高く、症状の改善効果も良好です。
手術の効果
- 不正出血の改善率:約80〜90%
- 不妊患者の妊娠率改善:ポリープ切除後の自然妊娠率が約40〜60%に上昇(切除なしの場合は約20〜30%)
- 過多月経の改善:経血量の有意な減少
再発リスクと予防
- 再発率は約10〜15%(3年以内)
- 複数のポリープがある場合、BMIが高い場合に再発リスクが高い
- 再発予防としてレボノルゲストレル放出IUS(ミレーナ)の留置が有効との報告あり
- 定期的な超音波検査による経過観察が推奨
費用と保険適用
子宮鏡手術の費用は施設や入院期間によって異なりますが、保険適用の手術です。
費用の目安(3割負担の場合)
項目 | 費用目安 |
|---|---|
日帰り手術 | 2〜4万円 |
1泊入院 | 4〜7万円 |
2泊以上の入院 | 6〜10万円 |
高額療養費制度の対象となる場合もあるため、事前に加入する健康保険に確認しておくとよいでしょう。
よくある質問
Q. 子宮鏡手術は痛いですか?
手術中は麻酔が効いているため痛みはありません。術後は生理痛程度の下腹部痛が1〜3日続くことがありますが、鎮痛薬で対応できるレベルです。
Q. 手術後すぐに妊活を再開できますか?
通常、術後の月経が来た後(約4〜6週間後)から妊活を再開できます。術後の子宮内膜が回復する時間を設けることで、着床環境が整います。
Q. ポリープは放置しても大丈夫ですか?
小さなポリープ(10mm未満)は自然消退することもあり、無症状であれば経過観察が選択肢です。ただし閉経後のポリープは悪性の可能性がやや高まるため、切除が推奨されます。
Q. 子宮鏡手術の合併症リスクは?
合併症の発生率は約1%未満と低いです。子宮穿孔、感染、出血、灌流液の体内吸収(水中毒)がまれに報告されていますが、経験豊富な施設では適切に管理されます。
Q. 全身麻酔と局所麻酔のどちらがよいですか?
小さなポリープであれば静脈内鎮静+局所麻酔で十分対応可能です。複数のポリープや大きなポリープの場合は全身麻酔が推奨されます。施設の方針や患者の希望も考慮して決定されます。
まとめ
子宮内膜ポリープの子宮鏡手術は、腹部に傷をつけない低侵襲な手術法で、日帰り〜1泊入院で実施可能です。不正出血の改善率は80〜90%、不妊患者の妊娠率向上にも有効です。
手術の身体的負担は少なく、多くの方が数日でデスクワークに復帰できます。ポリープの再発リスクは10〜15%あるため、術後の定期的な経過観察が大切です。
当院では子宮鏡手術を含むポリープの検査・治療を行っています。不正出血や不妊でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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