
子宮動脈塞栓術(UAE)とは?手術なしで子宮筋腫を治療する方法
子宮動脈塞栓術(UAE:Uterine Artery Embolization)は、子宮筋腫に栄養を送る動脈にカテーテルを通して塞栓物質を注入し、筋腫への血流を遮断して縮小させる治療法です。全身麻酔や開腹手術が不要で、大腿部の小さな穿刺孔(約2mm)からアプローチする低侵襲治療。入院期間は2〜4日と短く、社会復帰も早いのが特徴です。
【この記事のポイント】
- UAEは放射線科(IVR専門医)が行うカテーテル治療で、全身麻酔が不要
- 筋腫の体積を約40〜60%縮小させ、症状改善率は85〜90%
- 子宮を温存できるが、術後の妊娠については慎重な判断が必要
UAEの治療メカニズム|筋腫への血流を遮断して縮小させる
子宮筋腫は子宮動脈からの豊富な血流によって栄養を受け、増大します。UAEではこの血流を塞栓物質(ゼラチンスポンジやポリビニルアルコール粒子)で遮断し、筋腫を壊死・縮小に導きます。正常な子宮組織は側副血行路から血流が確保されるため、子宮自体は温存されます。
治療の流れ
- Step 1:局所麻酔下で大腿動脈(鼠径部)にカテーテルを挿入
- Step 2:X線透視下で左右の子宮動脈までカテーテルを進める
- Step 3:塞栓物質を注入し、筋腫への血流を遮断
- Step 4:カテーテルを抜去し、穿刺部を圧迫止血
- 所要時間:約1〜2時間
使用される塞栓物質
塞栓物質 | 特徴 |
|---|---|
ゼラチンスポンジ(ジェルフォーム) | 一時的〜永久的塞栓。日本で最も使用頻度が高い |
ポリビニルアルコール粒子(PVA) | 永久的塞栓。海外で広く使用 |
トリスアクリルゼラチンマイクロスフェア | 粒子径が均一で制御しやすい |
UAEの効果|筋腫縮小率と症状改善率
UAEの治療効果は高く、術後6ヶ月でMRI上の筋腫体積が平均40〜60%縮小します。過多月経の改善率は約90%、月経痛の改善率は約80%と報告されており、多くの患者さんが治療に満足しています。
効果が実感できるまでの期間
- 1〜2ヶ月:月経量の減少が実感できる
- 3〜6ヶ月:筋腫の縮小により圧迫症状(頻尿・便秘等)が改善
- 6〜12ヶ月:最大の縮小効果が得られる
UAEが特に適している方
- 全身麻酔のリスクが高い方(肥満、合併症等)
- 開腹手術を避けたい方
- 多発筋腫で核出術が困難な方
- 術後の社会復帰を早くしたい方
UAEの副作用とリスク|術後の痛みと合併症
UAEで最も多い副作用は術後の骨盤痛で、筋腫の壊死に伴う痛みが数時間〜数日続きます。適切な疼痛管理(PCA:自己調節鎮痛法)で対応可能です。
主な副作用・合併症
合併症 | 頻度 | 対処法 |
|---|---|---|
術後骨盤痛 | ほぼ全例 | 鎮痛薬(NSAIDs+オピオイド)で管理 |
発熱(塞栓後症候群) | 約30〜50% | 通常1〜2週間で自然軽快 |
感染症 | 約1〜2% | 抗生剤投与、重症例では追加処置 |
卵巣機能への影響 | 40歳以上で約3〜5% | 特に45歳以上で閉経リスクあり |
筋腫の腟内排出 | 粘膜下筋腫で約5〜10% | 経過観察または除去処置 |
UAEと手術の比較|どちらを選ぶべきか
UAEと筋腫核出術・子宮全摘術はいずれも有効な治療法ですが、メリット・デメリットが異なります。年齢・妊娠希望・筋腫の状態・ライフスタイルを総合的に考慮して選択しましょう。
比較項目 | UAE | 筋腫核出術 | 子宮全摘術 |
|---|---|---|---|
子宮温存 | ◯ | ◯ | ✕ |
妊娠の可能性 | △(データ限定的) | ◯ | ✕ |
入院期間 | 2〜4日 | 3〜10日 | 5〜10日 |
社会復帰 | 1〜2週間 | 2〜6週間 | 4〜8週間 |
再発・再治療率 | 約15〜20%(5年) | 約30〜50%(5年) | 0% |
全身麻酔 | 不要 | 必要 | 必要 |
UAEと妊娠|治療後の妊娠について
UAEは子宮を温存する治療ですが、術後の妊娠への影響については議論が分かれています。ACOG(米国産科婦人科学会)は、妊娠を希望する患者にはUAEよりも筋腫核出術を第一選択として推奨しています。
UAE後の妊娠に関するデータ
- UAE後の妊娠率は約50%程度と報告されているが、大規模なRCTが不足
- 流産率がやや高い可能性(約25〜30%)が指摘されている
- 胎盤異常(癒着胎盤等)のリスクが理論的に懸念される
- UAE後に正常妊娠・分娩に至った報告も多数ある
妊娠希望がある場合の選択基準
妊娠を強く希望する場合は筋腫核出術が第一選択。ただし、核出術が技術的に困難な多発筋腫や、再手術例でUAEが検討される場合もあります。治療選択は生殖医療専門医とIVR専門医の両者に相談するのが望ましいでしょう。
よくある質問
Q. UAEの費用はどのくらいですか?
A. 保険適用で3割負担の場合、約15〜20万円程度です。高額療養費制度を利用すると自己負担上限額(所得による)まで軽減されます。
Q. UAEの痛みはどのくらいですか?
A. 術後数時間〜1日は強い骨盤痛がありますが、入院中は鎮痛薬で管理されます。多くの方は術後2〜3日で痛みが大幅に軽減します。
Q. UAEは何回でも受けられますか?
A. 技術的には再治療可能ですが、再UAEの効果は初回より低くなる傾向があります。再治療が必要な場合は、手術療法との比較検討が重要です。
Q. UAEを受けられない方はいますか?
A. 活動性の感染症がある方、造影剤アレルギーの方、悪性腫瘍の疑いがある方、妊娠中の方は適応外です。また、粘膜下筋腫で有茎性のものは子宮鏡下切除が優先されます。
Q. UAE後に月経はどう変わりますか?
A. 多くの場合、月経量が大幅に減少します。約90%の方で過多月経が改善するとされています。まれに(特に45歳以上で)閉経が早まる可能性があります。
まとめ
子宮動脈塞栓術(UAE)は、カテーテルを使って筋腫への血流を遮断する低侵襲治療で、全身麻酔が不要・入院期間が短い・社会復帰が早いというメリットがあります。症状改善率は85〜90%と高い一方、妊娠希望のある方は筋腫核出術を優先的に検討してください。
📋 次のステップ:子宮筋腫の治療選択について相談したい方は、MedRoot提携クリニックのオンライン診療をご利用ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の治療判断を代替するものではありません。治療方針は必ず主治医と相談してください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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