
子宮筋腫の治療は「すべて手術」ではない
子宮筋腫の治療は経過観察・薬物療法・手術の3つに大別され、筋腫の大きさ・位置・症状の程度・妊娠希望の有無によって最適な選択肢が異なります。
子宮筋腫は30歳以上の女性の20〜30%に見つかる良性腫瘍で、悪性化は極めてまれ(0.5%未満)です。無症状であれば治療不要なケースも多く、定期的な経過観察で十分な場合もあります。
経過観察が選ばれるケース
筋腫が小さく(概ね5cm以下)、月経過多や圧迫症状がなく、定期検診で増大傾向がなければ、半年〜1年ごとの経過観察が標準的な対応です。
- 症状がない、または軽微で日常生活に支障がない
- 閉経が近い場合(閉経後は筋腫が縮小する傾向)
- 妊娠に影響しない位置(漿膜下筋腫など)
経過観察中のチェック項目
検査項目 | 頻度 | 目的 |
|---|---|---|
経腟超音波 | 6〜12か月ごと | 筋腫サイズの変化 |
血液検査(Hb) | 3〜6か月ごと | 貧血の有無 |
MRI | 必要時 | 筋腫の正確な位置・変性の評価 |
薬物療法|GnRHアゴニスト・レルゴリクスなど
薬物療法は筋腫を根治するものではなく、症状のコントロールや手術前の筋腫縮小を目的として使用されます。GnRHアゴニスト(リュープリン等)で筋腫を30〜50%縮小させることが可能です。
薬剤 | 作用 | 使用期間 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
GnRHアゴニスト(リュープリン・ナサニール) | エストロゲンを閉経レベルに低下→筋腫縮小 | 最長6か月 | 更年期様症状、骨密度低下 |
レルゴリクス(レルミナ) | GnRHアンタゴニスト、経口薬 | 6か月〜 | ホットフラッシュ、add-back療法で軽減可 |
LEP製剤(ジエノゲスト等) | 月経量減少・疼痛軽減 | 長期可能 | 不正出血 |
トラネキサム酸 | 月経過多の出血量を軽減 | 月経時のみ | 対症療法(筋腫縮小効果なし) |
鉄剤 | 貧血の改善 | 貧血改善まで | 胃腸障害 |
手術療法|子宮全摘出と筋腫核出術
手術は「子宮全摘出術」と「筋腫核出術(子宮温存)」の2種類があり、妊娠希望がある場合は核出術、挙児希望がなく再発を防ぎたい場合は全摘が検討されます。
筋腫核出術(子宮温存)
- 腹腔鏡下手術:5cm以下の筋腫に適応、入院3〜5日、回復2〜4週間
- 子宮鏡下手術:粘膜下筋腫に適応、日帰り〜1泊、回復1〜2週間
- 開腹手術:巨大筋腫・多発筋腫の場合、入院7〜10日
- 再発率:5年で約15〜30%
子宮全摘出術
- 再発の心配がない根治的治療
- 腹腔鏡下手術が主流(入院3〜5日、回復4〜6週間)
- 卵巣は温存が基本(閉経後を除く)
非侵襲的治療|UAE・FUS
子宮動脈塞栓術(UAE)や集束超音波治療(FUS/MRgFUS)は、メスを使わずに筋腫を縮小させる治療法で、入院期間の短縮や早期社会復帰が期待できます。
治療法 | 方法 | 入院 | 適応 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
UAE | カテーテルで子宮動脈を塞栓 | 2〜3日 | 多発筋腫にも有効 | 術後疼痛、妊娠への影響は議論あり |
FUS(MRgFUS) | MRIガイド下で超音波を集束照射 | 日帰り〜1泊 | 単発・位置の良い筋腫 | 施行施設が限られる |
治療選択のフローチャート
治療方針は「症状の有無」→「妊娠希望の有無」→「筋腫の大きさ・位置」の順で絞り込むのが基本です。
- 無症状・小さい → 経過観察
- 症状あり・妊娠希望なし → 薬物療法 or 子宮全摘
- 症状あり・妊娠希望あり → 薬物療法 → 筋腫核出術
- 手術を避けたい → UAE・FUSの適応を検討
- 閉経間近 → GnRHアゴニストで逃げ込み療法
最適な治療は患者さんごとに異なります。主治医と十分に相談し、ライフプランに合った選択をしましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 子宮筋腫は放置すると危険ですか?
良性腫瘍のため即座に生命を脅かすことはありません。ただし、放置による重度の貧血や、巨大化による圧迫症状(頻尿・便秘)が問題になることがあります。
Q. 子宮全摘すると女性ホルモンはなくなりますか?
いいえ。ホルモンを分泌するのは卵巣です。卵巣を温存する子宮全摘では、ホルモン分泌に変化はありません。
Q. 筋腫核出術後に妊娠できますか?
可能です。術後6か月〜1年の子宮回復期間を経て妊活を開始するのが一般的です。術後の妊娠率は筋腫の位置や大きさに依存します。
Q. 薬で筋腫を完全に消すことはできますか?
現在の薬物療法で筋腫を完全に消失させることは困難です。GnRHアゴニストで縮小しても、中止後は再増大することが多いです。
Q. 子宮筋腫があると妊娠できないのですか?
筋腫があっても妊娠・出産は可能です。ただし、粘膜下筋腫など子宮内腔を変形させる筋腫は着床を妨げる可能性があり、手術が検討されます。
まとめ
子宮筋腫の治療は「経過観察」「薬物療法」「手術」「非侵襲的治療」と選択肢が幅広く、筋腫のサイズ・位置・症状・ライフプランに応じた個別判断が必要です。無症状なら経過観察で十分な場合も多く、「筋腫=手術」ではありません。
子宮筋腫と診断されて不安を感じている方は、まずは婦人科で筋腫の状態を詳しく評価してもらいましょう。ご自身に合った治療法を一緒に考えていきます。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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