
女性のテストステロン(男性ホルモン)が高い場合、多毛・ニキビ・月経不順などの症状が現れることがあります。最も多い原因はPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)ですが、副腎腫瘍・先天性副腎過形成なども鑑別が必要です。この記事では、原因・セルフチェック・受診のタイミング・治療の選択肢を解説します。
この記事のポイント
- 女性の高アンドロゲン血症の最多原因はPCOS(約70〜80%)
- 多毛・ニキビ・月経不順・不妊がある場合はテストステロン検査を検討
- 原因によって治療法が異なるため、専門医での精査が必要
女性のテストステロン正常値と「高い」状態
女性の血中総テストステロンの正常値は0.1〜0.8 ng/mL(施設によって基準が異なる)です。遊離テストステロン(活性型)が高い場合にアンドロゲン過剰の症状が現れます。検査値が基準値内でも症状が出ることがあり(SHBGの低下による)、数値だけでなく症状との総合評価が重要です。
セルフチェック——こんな症状があったら要注意
以下の症状が複数当てはまる場合は、テストステロン高値を疑い婦人科・内分泌科の受診を検討してください。
高アンドロゲン血症のセルフチェックリスト
- □ 顔・胸・腹部・背中など体の多部位に体毛が濃い
- □ 顔のうぶ毛・口ひげが目立つようになった
- □ 20代以降に成人ニキビ(顎・頬)が続いている
- □ 生理が2か月以上こない、または不規則
- □ 妊活中に不妊が判明した
- □ 急激な体重増加(特に腹部)
- □ 頭部の脱毛・薄毛
- □ 声が低くなってきた
上記のうち3項目以上に当てはまる場合は、専門医への受診を検討してください。
女性のテストステロンが高い主な原因
原因は主に卵巣由来と副腎由来に分かれます。原因によって治療法が大きく異なるため、精査が必要です。
原因別の特徴
原因 | 頻度 | 特徴 |
|---|---|---|
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群) | 最多(約70〜80%) | 月経不順・多嚢胞性卵巣・ LH高値 |
先天性副腎過形成(CAH) | 5〜10% | 副腎でのアンドロゲン過剰産生、軽症は成人後に判明 |
クッシング症候群 | 稀 | 満月様顔貌・中心性肥満・高血圧・皮膚線条 |
副腎腫瘍・卵巣腫瘍 | 稀だが重要 | 急激な男性化症状(数か月以内) |
甲状腺機能低下症 | 関連あり | TSH高値、代謝低下 |
高プロラクチン血症 | 関連あり | 無月経・乳汁分泌 |
緊急受診が必要なレッドフラッグ
以下の症状は急速に進行する腫瘍性疾患の可能性があり、早急な受診が必要です。
即受診すべきサイン
- 数か月以内に急激に多毛・男性化が進んだ(副腎腫瘍・卵巣腫瘍を疑う)
- 声が著明に低くなった
- 陰核肥大
- テストステロン値が2.0 ng/mL以上
これらは腫瘍による急激なアンドロゲン過剰産生のサインである可能性があります。
治療の選択肢——原因別アプローチ
治療は原因によって異なります。最も多いPCOSでは生活習慣改善が基本で、必要に応じて低用量ピル・メトホルミン・クロミフェンなどが使用されます。
PCOSによる高アンドロゲン血症の治療
- 生活習慣改善:体重5〜10%の減少でアンドロゲン値が改善することが多い
- 低用量ピル(OC):LHを抑制しアンドロゲン産生を低下させる。多毛・ニキビの改善効果あり
- スピロノラクトン:抗アンドロゲン薬として多毛・ニキビに使用(妊娠中は禁忌)
- メトホルミン:インスリン抵抗性がある場合に使用
- 妊活中:クロミフェン・レトロゾールで排卵誘発
検査——何を調べるか
高アンドロゲン血症の精査には、血液検査と画像検査が行われます。
主な検査項目
- 総テストステロン・遊離テストステロン
- DHEA-S(副腎由来アンドロゲン)
- LH・FSH(PCOS評価)
- 17α-OHプロゲステロン(CAH除外)
- コルチゾール・ACTH(クッシング症候群除外)
- TSH・PRL(甲状腺・プロラクチン)
- 骨盤エコー(卵巣嚢腫・多嚢胞性卵巣の確認)
よくある質問(FAQ)
Q. テストステロンが高いと妊娠できませんか?
高アンドロゲン血症は排卵障害を引き起こし不妊の原因になりますが、原因(PCOS等)を治療することで妊娠が可能になることは多くあります。不妊治療専門クリニックへの相談をお勧めします。
Q. 多毛は完全に治りますか?
ホルモン治療(ピル・スピロノラクトン)で新たな体毛の増加は抑えられますが、すでに生えた体毛は薬だけでは除去できません。医療脱毛との組み合わせが一般的です。
Q. 食事でテストステロンを下げることはできますか?
直接下げる食品は証明されていませんが、低GI食・食物繊維豊富な食事によりインスリン抵抗性が改善し、間接的にアンドロゲン値が低下することがあります。
Q. ピルを飲むと多毛が改善しますか?
低用量ピルにはLH抑制→アンドロゲン産生低下の効果があります。多毛・ニキビの改善は3〜6か月の継続後に現れることが多く、即効性はありません。
Q. 何科を受診すればよいですか?
まず婦人科・産婦人科(PCOSが疑われる場合)が窓口です。副腎疾患・腫瘍が疑われる場合は内分泌内科へ紹介されることがあります。
まとめ——症状があれば早めに受診を
女性のテストステロン高値の多くはPCOSが原因で、適切な治療で改善が見込めます。多毛・ニキビ・月経不順・不妊が複数ある場合は婦人科を受診し、ホルモン検査・超音波検査を受けることをお勧めします。急激な男性化症状がある場合は腫瘍の可能性があるため、速やかに受診してください。
※本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療を行うものではありません。症状については必ず医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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