
一相性ピルと三相性ピルの基本的な違い
低用量ピル(OC/LEP)は含有するホルモン量の配分方式によって「一相性」と「三相性」に大きく分類されます。一相性ピルはすべての実薬錠に同じ量のホルモンが含まれているのに対し、三相性ピルは3段階でホルモン量が変化する設計です。
ホルモン配分の仕組み
タイプ | ホルモン量 | 錠剤の見た目 | 代表的な製品 |
|---|---|---|---|
一相性 | 全錠同一 | 全て同じ色 | マーベロン、ファボワール、ヤーズ |
三相性 | 3段階で変化 | 2〜3色に分かれている | トリキュラー、アンジュ、ラベルフィーユ |
なぜ段階的にホルモン量を変えるのか
三相性ピルは自然な月経周期のホルモン変動パターンを模倣するように設計されています。エストロゲンとプロゲステロンの量が段階的に変わることで、総ホルモン摂取量を抑えつつ確実な避妊効果と周期コントロールを得ることを目指しています。
一相性ピルのメリット・デメリット
一相性ピルは全錠が同じ成分・同じ用量のため、飲み間違いのリスクが低く、服用管理が簡便な点が最大の利点です。月経困難症やPMS治療を目的としたLEP(低用量エストロゲン・プロゲステロン配合薬)にも多く採用されています。
メリット
- 飲み順を気にしなくてよい — 実薬はどの錠剤を飲んでも同じ成分
- 月経移動(生理日の調整)がしやすい — 実薬を延長するだけで調整可能
- 連続投与に適している — ヤーズフレックスのように120日連続投与が可能な製品もあり
- 不正出血のコントロールがしやすい — 一定のホルモン量で内膜が安定
デメリット
- 総ホルモン量がやや多い — 三相性と比べて1周期のホルモン総摂取量が多い傾向
- 吐き気や頭痛 — ホルモン量が一定のため、人によっては副作用を感じやすい
- 自然な周期変動との乖離 — 体感として「不自然」と感じる方もいる
三相性ピルのメリット・デメリット
三相性ピルは自然なホルモン動態を再現する設計で、1周期あたりのホルモン総量を抑えられる点が特徴です。日本で処方数の多いトリキュラーやアンジュがこのタイプに該当します。
メリット
- 総ホルモン量が少ない — 体への負担を軽減する設計
- 不正出血が少ない傾向 — 自然周期に近いホルモン推移で内膜が安定しやすい
- 副作用が穏やか — ホルモン量が段階的に増えるため、体が馴染みやすい
デメリット
- 飲み順を間違えると効果が低下するリスク — 必ず番号順に服用する必要あり
- 月経移動が複雑 — 第3相の錠剤を調整に使う必要があり、操作がやや煩雑
- 連続投与に不向き — ホルモン量が変動するため長期連続投与のプロトコルがない
- 飲み忘れ時の対応が複雑 — どの相で飲み忘れたかによって対処が異なる
目的別の選び方ガイド
一相性と三相性のどちらを選ぶかは、ピルを使う目的やライフスタイルによって異なります。避妊効果自体はどちらも同等(正しく服用した場合の失敗率は年間約0.3%)ですが、使いやすさや副作用の感じ方には個人差があります。
目的別おすすめ
目的 | おすすめタイプ | 理由 |
|---|---|---|
避妊(シンプルに使いたい) | 一相性 | 飲み間違いリスクが低い |
月経困難症・PMS治療 | 一相性(LEP) | 連続投与で月経回数を減らせる |
生理日の調整(旅行等) | 一相性 | 月経移動の操作が簡単 |
副作用を最小限にしたい | 三相性 | 総ホルモン量が少ない |
初めてピルを試す | どちらも可 | 個人の体質による。医師と相談 |
ニキビ・多毛の改善 | 一相性(マーベロン等) | 抗アンドロゲン作用のある黄体ホルモン含有 |
代表的な製品の比較
日本で処方される低用量ピルの代表的な製品を比較します。保険適用(LEP)か自費(OC)かによって費用が大きく異なる点にも注意が必要です。
製品名 | タイプ | 黄体ホルモン | 区分 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
トリキュラー | 三相性 | レボノルゲストレル | OC(自費) | 日本で最も処方実績が多い |
ラベルフィーユ | 三相性 | レボノルゲストレル | OC(自費) | トリキュラーのジェネリック |
マーベロン | 一相性 | デソゲストレル | OC(自費) | ニキビ改善効果が期待 |
ファボワール | 一相性 | デソゲストレル | OC(自費) | マーベロンのジェネリック |
ヤーズ | 一相性 | ドロスピレノン | LEP(保険) | 月経困難症治療薬、むくみが少ない |
ヤーズフレックス | 一相性 | ドロスピレノン | LEP(保険) | 最大120日連続投与可能 |
ジェミーナ | 一相性 | レボノルゲストレル | LEP(保険) | 77日連続投与可能 |
飲み忘れ時の対応の違い
ピルの飲み忘れ時の対応は、一相性と三相性で異なります。一相性はどの錠剤も同じ成分のため対処が比較的シンプルですが、三相性は飲み忘れた錠剤の「相」によって対応が変わるため、やや複雑です。
一相性ピルの場合
- 1錠の飲み忘れ: 気づいた時点で1錠服用し、その日の分も通常通り服用(1日2錠になってもOK)
- 2錠以上の飲み忘れ: 気づいた時点で2錠服用し、その後は1日1錠を継続。7日間はコンドーム等の追加避妊を
三相性ピルの場合
- 第1相での飲み忘れ: 避妊効果への影響が大きい。気づいた時点で服用し、7日間は追加避妊を
- 第2相での飲み忘れ: 1錠なら気づいた時点で服用。2錠以上は追加避妊が必要
- 第3相での飲み忘れ: 休薬期間を短縮し、次のシートを早めに開始するケースも
いずれの場合も、判断に迷ったら処方元の医師やクリニックに電話で確認するのが確実です。
よくある質問
一相性と三相性で避妊効果に差はありますか?
正しく服用した場合の避妊効果はほぼ同等です。パール指数(1年間の妊娠率)はいずれも約0.3%とされています。飲み忘れのリスクを考慮すると、管理が簡単な一相性の方が実質的な失敗率が低くなる可能性はあります。
ピルの種類を途中で変更できますか?
可能です。副作用が気になる場合や使い勝手を改善したい場合に、同じ周期の終了後または休薬期間明けから別の製品に切り替えることが一般的です。必ず医師に相談のうえ切り替えてください。
三相性ピルで月経移動はできないのですか?
可能ですが操作がやや複雑です。生理を遅らせたい場合は第3相の錠剤を追加で服用しますが、ホルモン量の段階が変わるため不正出血が起きやすい傾向があります。頻繁に月経移動が必要な方は一相性の方が扱いやすいでしょう。
二相性ピルもありますか?
海外には二相性ピルも存在しますが、日本で現在処方されている低用量ピルには二相性はほぼありません。日本では一相性と三相性が主流です。
副作用が出やすいのはどちらですか?
個人差が大きいため一概には言えませんが、一相性はホルモン量が一定のため飲み始めの吐き気や頭痛を感じやすい方がいます。三相性は総ホルモン量が少ない分、副作用が穏やかな傾向がありますが、ホルモン量の変動に敏感な方は逆に不調を感じるケースもあります。
まとめ
一相性ピルは全錠同一のホルモン量で服用管理が簡単、月経移動や連続投与にも適しています。三相性ピルは自然なホルモン動態を模倣し総ホルモン量を抑える設計で、副作用を最小限にしたい方に向いています。避妊効果自体に差はないため、使用目的・ライフスタイル・副作用の感じ方に合わせて選択しましょう。
ピルの種類選びで迷っている方は、産婦人科で自分の体質や希望を伝え、最適な製品を提案してもらうことをおすすめします。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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