
過少月経(かしょうげっけい)とは、月経血の量が極端に少ない状態を指します。正常な月経血量は1周期で20〜140mLとされており、20mL未満(ナプキンをほとんど汚さない程度)が過少月経の目安です。ホルモンバランスの乱れや子宮内膜の菲薄化(薄くなること)が主な原因となります。
この記事では、過少月経の原因・子宮内膜への影響・診断方法・治療法を産婦人科的根拠に基づいて解説します。
この記事のポイント
- 過少月経の目安は月経血量20mL未満またはナプキン1〜2枚/日で終わる状態
- 原因はホルモン性(無排卵・高プロラクチン等)と器質性(子宮内膜菲薄化・アッシャーマン症候群等)に分類される
- 子宮内膜が薄くなると着床しにくくなり、不妊の原因となることがある
過少月経の定義と正常な月経血量
過少月経は、月経は来ているが量が著しく少ない状態です。「ナプキンにほとんど付かない」「1〜2日で終わる(過短月経と重複する場合も)」といった状態が典型です。一方、量が多い過多月経(140mL以上)とは対照的な症状です。
セルフチェックリスト
- 1周期を通じて薄型ナプキン2〜3枚程度で足りる
- ナプキンをほぼ汚さない日がほとんど
- 以前と比べて明らかに月経量が減った
- 月経が1〜2日で終わることが多い
- 茶色いおりもの様の出血が数日続くだけ
過少月経の原因——ホルモン性と器質性
過少月経の原因は大きく2つに分類されます。ホルモン分泌の異常によるもの(ホルモン性)と、子宮内膜や子宮の形態的な問題によるもの(器質性)です。
ホルモン性原因
原因 | メカニズム |
|---|---|
無排卵周期 | 排卵なし→プロゲステロン不足→内膜形成不全→少量出血 |
高プロラクチン血症 | プロラクチン過剰→排卵障害→エストロゲン低下→内膜薄化 |
甲状腺機能異常 | 甲状腺ホルモン不足/過剰→月経異常(過少・過多・不規則) |
卵巣機能低下(POI等) | エストロゲン低下→内膜増殖不足→過少月経・無月経へ移行 |
急激な体重減少・低体重 | 視床下部性無排卵→エストロゲン低下→内膜薄化 |
器質性原因
- 子宮内膜萎縮・菲薄化:長期のピル服用後や低体重による内膜の薄化
- アッシャーマン症候群:流産手術・帝王切開後の子宮内腔癒着。内膜が物理的に減少する
- 子宮内膜炎(慢性):慢性的な炎症による内膜の機能障害
- 子宮頸管狭窄:経血の排出が妨げられ「少なく見える」ことがある
子宮内膜への影響と不妊との関係
過少月経の多くは子宮内膜の菲薄化(薄くなること)を伴います。子宮内膜は排卵後にプロゲステロンの働きで肥厚し、受精卵の着床を受け入れる準備をします。内膜が薄いと着床環境が整わず、不妊や化学流産のリスクが高まります。
子宮内膜の厚さと着床の関係
- 着床に必要な内膜の厚さ:一般的に7mm以上が目安(排卵直前〜後)
- 5mm未満:着床率が著しく低下するとされる
- アッシャーマン症候群では内膜が部分的または全体的に欠損する場合がある
体外受精(IVF)の胚移植においても、内膜の厚さと着床率の相関は多くの研究で示されています。不妊治療を検討している方は、過少月経と内膜の状態を合わせて評価することが重要です。
診断と検査——婦人科での評価
過少月経の診断では、問診でホルモン剤の服用歴・体重変化・過去の子宮手術歴を確認します。続いて超音波検査・ホルモン検査・必要に応じて子宮鏡検査を行います。
- 経腟超音波検査:子宮内膜の厚さ・内腔の形態確認(月経周期の各フェーズで評価)
- ホルモン検査:FSH・LH・エストラジオール・プロゲステロン・TSH・プロラクチン・AMH
- 子宮鏡検査:アッシャーマン症候群・ポリープ・癒着の直視下評価
- 子宮内膜生検:慢性子宮内膜炎の診断(CD138陽性プラズマ細胞の確認)
治療法
原因に応じた治療を行います。ホルモン補充・排卵誘発・子宮内腔の改善が主な選択肢です。
ホルモン療法
- エストロゲン補充:内膜萎縮・卵巣機能低下に対し、経口または貼付薬で投与
- 排卵誘発療法:無排卵周期に対しクロミフェンやゴナドトロピンを使用
- 甲状腺ホルモン補充:甲状腺機能低下症が原因の場合
手術療法
- 子宮鏡下癒着剥離術:アッシャーマン症候群の癒着を切除・拡張
- 術後はエストロゲン補充で内膜の再生を促進する
よくある質問
Q. ピルを飲んでいると生理の量が減るのは正常ですか?
はい、低用量ピルは子宮内膜の増殖を抑制するため、月経血量が減少するのは正常な反応です。ピル服用中の「消退出血」は本来の月経より少ない傾向があります。ただし服用中断後も月経量が回復しない場合は受診を検討してください。
Q. 過少月経があると妊娠できませんか?
必ずしも妊娠できないわけではありませんが、子宮内膜が薄い状態は着床しにくくなることがあります。不妊治療を検討している場合は、超音波で内膜の厚さを確認し、原因に応じた治療を行うことが重要です。
Q. 急激なダイエット後に生理が少なくなりました。戻りますか?
適正体重に戻すことでホルモンバランスが改善し、月経が正常化することが多いです。ただし長期間の低体重・無月経は骨密度低下などのリスクがあるため、婦人科受診と栄養士への相談をお勧めします。
Q. 過少月経は閉経の前兆ですか?
40代以降の過少月経は卵巣機能低下のサインである可能性があります。ただし20〜30代でも無排卵や体重減少で過少月経になることがあります。AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査で卵巣予備能を評価することができます。
まとめ
過少月経は、ホルモンの乱れや子宮内膜の菲薄化・癒着などが原因で起こります。「生理の量が少ないだけ」と放置すると、不妊の原因となる子宮内膜の薄化や器質性疾患が進行する場合があります。
特に妊娠を希望している方は、超音波検査・ホルモン検査・必要に応じた子宮鏡検査で原因を特定し、早めに対処することをお勧めします。
※本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療の代替となるものではありません。症状が続く場合は医療機関を受診してください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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