
プロラクチンとは|高プロラクチン血症が不妊に与える影響
プロラクチンは脳下垂体から分泌されるホルモンで、本来は授乳中に母乳の産生を促す役割を担います。しかし授乳中でないにもかかわらずプロラクチンが高値を示す「高プロラクチン血症」は、排卵障害や月経不順を引き起こし、不妊の原因となることがあります。
この記事では、プロラクチンの基礎知識から高プロラクチン血症の原因・検査・治療法まで、不妊との関係を中心に解説します。
📌 この記事のポイント
- プロラクチンの正常値は非妊時で3〜30ng/mL
- 高プロラクチン血症は排卵を抑制し、不妊の原因となる
- 薬物治療(カベルゴリンなど)で多くの場合改善可能
- 潜在性高プロラクチン血症は通常の血液検査では見つかりにくい
プロラクチンの正常値と検査方法
プロラクチンの血中基準値は非妊時で3〜30ng/mLとされています。30ng/mL以上で高プロラクチン血症と診断されますが、ストレスや採血時の緊張でも一時的に上昇するため、複数回の測定が望ましいでしょう。
状態 | プロラクチン値 | 評価 |
|---|---|---|
正常 | 3〜30 ng/mL | 問題なし |
軽度上昇 | 30〜50 ng/mL | 薬剤性・ストレスを検討 |
中等度上昇 | 50〜100 ng/mL | 下垂体腫瘍の精査が必要 |
高度上昇 | 100 ng/mL以上 | プロラクチノーマの可能性 |
TRH負荷試験で潜在性高プロラクチン血症を発見
日中の血液検査では正常範囲でも、夜間や排卵期にのみプロラクチンが上昇する「潜在性高プロラクチン血症」が存在します。TRH負荷試験(TRHを注射し、15分・30分後のプロラクチン値を測定)で診断できます。
高プロラクチン血症の原因|薬剤性が最も多い
高プロラクチン血症の原因で最も多いのは薬剤性で、胃薬(ドンペリドン、メトクロプラミド)、抗精神病薬、抗うつ薬などが代表的です。次いで下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)、甲状腺機能低下症が挙げられます。
主な原因一覧
- 薬剤性:胃薬、抗精神病薬、抗うつ薬(SSRI)、制吐薬
- 下垂体腫瘍(プロラクチノーマ):良性腫瘍が多く、薬物療法で縮小可能
- 甲状腺機能低下症:TRHの上昇がプロラクチン分泌を刺激
- ストレス・睡眠不足:一時的な上昇の原因
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS):併存するケースがある
高プロラクチン血症と不妊のメカニズム
プロラクチンが高い状態が続くと、GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌が抑制され、FSH・LHの分泌低下を引き起こします。その結果、卵胞の発育が障害され、排卵が起こりにくくなります。
高プロラクチン血症が引き起こす症状
- 月経不順・無月経
- 排卵障害(無排卵・黄体機能不全)
- 乳汁漏出(授乳中でないのに乳汁が出る)
- 性欲の低下
治療法|カベルゴリンが第一選択
高プロラクチン血症の薬物治療では、ドパミン作動薬であるカベルゴリン(カバサール)が第一選択薬です。週1〜2回の服用で済み、副作用も比較的少ないのが特徴です。
薬剤名 | 服用頻度 | 特徴 |
|---|---|---|
カベルゴリン(カバサール) | 週1〜2回 | 副作用が少なく、第一選択 |
ブロモクリプチン(パーロデル) | 毎日 | 妊娠中の安全性データが豊富 |
テルグリド(テルロン) | 毎日 | 作用が穏やか |
治療開始後1〜2か月でプロラクチン値が正常化し、排卵が回復するケースが多く報告されています。妊娠が判明した時点で服用を中止するのが一般的な方針です。
妊活中の高プロラクチン血症への対応
不妊治療において高プロラクチン血症が見つかった場合、まず薬物療法でプロラクチン値を正常化させてから、タイミング法や人工授精などの不妊治療を進めるのが基本的な流れです。
治療のステップ
- 血液検査・TRH負荷試験でプロラクチン値を確認
- 原因の特定(薬剤性なら原因薬の変更を検討)
- カベルゴリン等の投薬開始
- プロラクチン値の正常化を確認
- 排卵の回復を確認後、不妊治療を開始
よくある質問
Q. 高プロラクチン血症は治りますか?
A. 薬剤性の場合は原因薬の変更で改善します。プロラクチノーマによるものも薬物療法で多くは管理可能です。
Q. プロラクチンが高いと自然妊娠できませんか?
A. 軽度の上昇では自然妊娠する方もいます。しかし治療により排卵が安定すれば、妊娠の確率は上がります。
Q. 薬の副作用はありますか?
A. カベルゴリンでは吐き気・めまい・便秘などが起こることがありますが、低用量から開始することで多くは軽減できます。
Q. ストレスでプロラクチンは上がりますか?
A. はい。ストレスや睡眠不足は一時的にプロラクチンを上昇させます。持続的な高値の場合は精密検査が必要です。
Q. 授乳中の高プロラクチンは問題ですか?
A. 授乳中のプロラクチン上昇は生理的な反応であり、問題ありません。断乳後に値が戻らない場合は検査をお勧めします。
まとめ|プロラクチンの異常は治療可能な不妊原因
高プロラクチン血症は不妊の原因の中でも治療効果が出やすい疾患です。薬物療法でプロラクチン値を正常化すれば、多くの方で排卵が回復し、妊娠の可能性が開けます。月経不順や不妊が気になる方は、一度プロラクチンの検査を受けてみることをお勧めします。
💡 不妊検査をお考えの方へ
当院ではプロラクチンを含む不妊ホルモン検査を実施しています。お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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