プロゲステロン(黄体ホルモン)とは?役割と不足時の症状|Women's Doctor
2026/4/14

「プロゲステロン(黄体ホルモン)」は、妊娠の成立と維持に不可欠な女性ホルモンです。排卵後に卵巣の黄体から分泌され、子宮内膜を着床に適した状態に整えます。不足すると不妊や流産のリスクが高まるため、妊活中の女性には特に重要なホルモンです。この記事では、プロゲステロンの役割、不足時の症状、検査と治療法を産婦人科医監修のもと解説します。
この記事のポイント
- プロゲステロンは排卵後の黄体から分泌され、子宮内膜を着床に適した状態に変化させる
- 不足すると黄体機能不全として不妊・流産の原因になりうる
- 黄体期中期(排卵後7日目頃)の血中プロゲステロン値10ng/mL以上が正常の目安
プロゲステロンとは?
プロゲステロンは「妊娠を助けるホルモン」という意味のラテン語「pro gestare」に由来する名称です。排卵後に形成される黄体から分泌され、妊娠が成立した場合は妊娠初期を経て胎盤が主な産生源となります。
プロゲステロンの主な作用
作用部位 | 具体的な作用 |
|---|---|
子宮内膜 | 増殖期内膜を分泌期内膜に変化させ、受精卵の着床に適した環境を整備 |
子宮筋 | 子宮の収縮を抑制し、妊娠の維持を助ける |
体温中枢 | 基礎体温を約0.3〜0.5℃上昇させる(高温期の形成) |
乳腺 | 乳腺の発達を促し、授乳の準備 |
子宮頸管 | 粘液を粘稠にし、細菌の侵入を防止 |
月経周期におけるプロゲステロンの変動
- 卵胞期:ほぼ検出されない水準(1ng/mL未満)
- 排卵後:急速に上昇し、排卵後5〜7日目にピーク(10〜25ng/mL)
- 月経前:黄体の退縮とともに急降下→月経開始
- 妊娠成立時:黄体が維持され高値が持続、妊娠10週頃から胎盤が産生を引き継ぐ
プロゲステロン不足(黄体機能不全)とは
黄体機能不全は、排卵後のプロゲステロン分泌が不十分な状態です。不妊症の原因の約3〜10%を占めるとされています。
主な症状
- 高温期が短い:10日未満(正常は12〜14日)
- 高温期の体温が低い:低温期との差が0.3℃未満
- 月経前の不正出血:月経開始数日前からの少量出血
- 着床障害:子宮内膜の分泌期変化が不十分
- 初期流産の繰り返し:妊娠維持に必要なプロゲステロンの不足
原因
- 排卵障害に起因:不十分な排卵により黄体の形成が不完全
- 高プロラクチン血症:プロラクチンの過剰が黄体機能を抑制
- 甲状腺機能異常:甲状腺ホルモンの異常がHPO軸に影響
- ストレス・過度のダイエット:視床下部の機能低下
- 加齢:35歳以降は卵巣機能低下に伴い黄体機能も低下
検査方法
検査 | 時期 | 基準値 |
|---|---|---|
血中プロゲステロン値 | 排卵後7日目頃(黄体期中期) | 10ng/mL以上が正常 |
基礎体温表 | 毎朝起床時 | 高温期12日以上・低温期との差0.3℃以上 |
子宮内膜日付診 | 黄体期 | 実際の日数と内膜の組織学的日付の一致 |
治療法
黄体ホルモン補充
- デュファストン(ジドロゲステロン):内服薬、排卵後から服用
- ルトラール(クロルマジノン):内服薬
- プロゲステロン腟坐薬:体外受精の際に頻用される
- プロゲステロン注射:筋肉内注射で確実な補充
排卵誘発剤
黄体機能不全の原因が排卵障害にある場合は、クロミフェン(クロミッド)やゴナドトロピン製剤で排卵を改善することで、結果として黄体機能も改善が期待できます。
よくある質問(FAQ)
Q. プロゲステロンの市販サプリはありますか?
日本では、プロゲステロンは医療用医薬品のため市販サプリとしては販売されていません。海外では「プロゲステロンクリーム」などが販売されていますが、効果と安全性が確立されていないため、医師の処方を受けることをお勧めします。
Q. 黄体機能不全は自然妊娠できますか?
軽度の黄体機能不全であれば自然妊娠も可能です。ただし、着床障害や初期流産のリスクがあるため、妊活中の方は婦人科で検査を受け、必要に応じて黄体ホルモン補充を行うことが推奨されます。
Q. 基礎体温だけで黄体機能不全はわかりますか?
基礎体温表は参考にはなりますが、確定診断にはなりません。高温期が短い・体温上昇が不十分などの所見があれば、血液検査(プロゲステロン値の測定)で確認することが必要です。
⚠ 医療情報に関する注意事項
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状や治療に関する具体的なご相談は、必ず産婦人科などの専門医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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