
プロゲステロン(黄体ホルモン)と妊娠|数値の見方と補充療法
プロゲステロン(黄体ホルモン)は排卵後に卵巣の黄体から分泌されるホルモンで、子宮内膜を着床に適した状態に整え、妊娠を維持する重要な役割を担います。プロゲステロンが不足すると、着床障害や早期流産のリスクが高まります。
この記事では、プロゲステロンの正常値・検査の見方・不足時の補充療法について解説します。
📌 この記事のポイント
- プロゲステロンは排卵後に急増し、着床と妊娠維持を支える
- 黄体期中期のP4が10ng/mL以上あれば正常な黄体機能
- 不足時はデュファストン・ウトロゲスタン等で補充可能
- 体外受精の胚移植では必ずプロゲステロン補充が必要
プロゲステロンの基準値
時期 | プロゲステロン値(ng/mL) | 意味 |
|---|---|---|
卵胞期 | 0.5以下 | 排卵前で正常な低値 |
排卵期 | 1〜3 | 排卵の移行期 |
黄体期中期(排卵後7日目) | 10〜25 | 正常な黄体機能を反映 |
妊娠初期 | 20〜90 | 黄体→胎盤からの分泌が増加 |
黄体期中期のプロゲステロンが10ng/mL未満の場合、黄体機能不全が疑われます。
プロゲステロンの役割|着床から妊娠維持まで
① 子宮内膜の分泌期変化
プロゲステロンはエストロゲンで増殖した子宮内膜を「分泌期」に変化させ、栄養分を蓄えた着床に適した環境を作ります。
② 子宮の収縮抑制
子宮筋の収縮を抑え、着床した胚が安定して発育できる環境を維持します。
③ 免疫環境の調整
母体の免疫系が胚を拒絶しないよう、免疫寛容の環境を作り出します。
④ 基礎体温の上昇
プロゲステロンは体温を約0.3〜0.5°C上昇させ、これが基礎体温の「高温期」として確認できます。
黄体機能不全とは
黄体機能不全は、排卵後の黄体からのプロゲステロン分泌が不十分な状態です。以下の所見がある場合に疑われます。
- 高温期が10日未満
- 高温期と低温期の差が0.3°C未満
- 黄体期中期のプロゲステロンが10ng/mL未満
- 月経前の不正出血
黄体機能不全の原因
- 加齢による卵巣機能低下
- 排卵誘発剤(クロミフェン)の副作用
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
- 高プロラクチン血症
- ストレス・運動過多
プロゲステロン補充療法
黄体機能不全や体外受精の胚移植では、プロゲステロンの補充が必要です。投与方法により特徴が異なります。
薬剤 | 投与方法 | 特徴 |
|---|---|---|
デュファストン | 内服 | 副作用少ない、基礎体温に影響しない |
ルトラール | 内服 | 強力な黄体作用、眠気が出やすい |
ウトロゲスタン | 腟坐薬 | 子宮への直接作用、体外受精で広く使用 |
プロゲステロン注射 | 筋肉注射 | 確実な効果、注射部位の痛み |
体外受精におけるプロゲステロン補充
体外受精のホルモン補充周期では排卵が起こらないため、自然な黄体が形成されません。そのため、胚移植前からプロゲステロンの外部補充が必須です。移植後も妊娠判定、さらに妊娠8〜10週まで補充を継続し、胎盤からの自己分泌が十分になった段階で終了します。
よくある質問
Q. プロゲステロンが低いと妊娠できませんか?
A. 低い場合でも補充療法で数値を改善すれば着床・妊娠維持が可能です。
Q. プロゲステロンは食事で増やせますか?
A. 食事で直接増やすことは難しいですが、ビタミンB6・亜鉛・ビタミンCなどがプロゲステロンの産生をサポートするとされています。
Q. 高温期が短いのは黄体機能不全ですか?
A. 高温期が10日未満の場合、黄体機能不全の可能性があります。血液検査でプロゲステロン値を確認することをお勧めします。
Q. プロゲステロン補充の副作用はありますか?
A. 眠気・だるさ・乳房の張りなどが報告されています。腟錠では分泌物の増加がありますが、いずれも管理可能な範囲です。
Q. いつプロゲステロンの検査を受ければよいですか?
A. 排卵後5〜7日目(黄体期中期)の採血が最も正確です。基礎体温で高温期を確認してからの検査が望ましいでしょう。
まとめ|プロゲステロンは妊娠の要
プロゲステロンは着床と妊娠維持に不可欠なホルモンです。不足が疑われる場合も補充療法で対応可能なため、基礎体温の異常や着床不全が気になる方は婦人科でプロゲステロン値を検査してもらいましょう。
💡 黄体機能の検査をお考えの方へ
当院では排卵後のプロゲステロン測定を含む不妊ホルモン検査を実施しています。お気軽にどうぞ。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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