
中用量ピルとは?低用量ピルとの違い・用途・副作用を解説
中用量ピルはエストロゲン含有量が50μgと低用量ピルより多い製剤で、月経移動(生理日の調整)や不正出血の治療に主に使用されます。日常的な避妊目的には低用量ピルが推奨されますが、中用量ピルにしかない用途があります。
【この記事のポイント】
・中用量ピルはEE 50μg含有で、月経移動(生理日のずらし)に最もよく使用される
・代表的な製品はプラノバール(ノルゲストレル・EE配合錠)
・低用量ピルより副作用(吐き気・頭痛)が出やすいため、短期使用が基本
中用量ピルと低用量ピルの違い
最大の違いはエストロゲン(EE)の含有量であり、中用量ピルは50μg、低用量ピルは20〜35μgです。EE量が多いぶん止血効果が強い反面、副作用も出やすくなります。
項目 | 中用量ピル | 低用量ピル |
|---|---|---|
EE含有量 | 50μg | 20〜35μg |
代表的な製品 | プラノバール | トリキュラー、マーベロン、ヤーズ |
主な用途 | 月経移動・不正出血の治療・緊急避妊 | 避妊・月経困難症・PMS |
服用期間 | 短期(数日〜2週間程度) | 長期(数か月〜数年) |
副作用の頻度 | 高い(特に吐き気) | 比較的少ない |
血栓リスク | やや高い | 低い |
保険適用 | 機能性子宮出血等 | 月経困難症・子宮内膜症 |
中用量ピルの主な用途
中用量ピルは「月経移動」「機能性子宮出血の止血」「ホルモン検査」の3つの目的で主に処方されます。
1. 月経移動(生理日のずらし)
- 生理を遅らせる場合:予定月経の5〜7日前から旅行・イベント終了まで服用
- 生理を早める場合:月経5日目から約10日間服用し、中止後2〜3日で消退出血
- 成功率は約90%以上
2. 不正出血の止血治療
- 機能性子宮出血(ホルモンバランスの乱れによる出血)の止血
- 1日1〜3回、出血が止まるまで服用し、以後漸減
3. ホルモン負荷試験
- 無月経の原因検索(ゲスターゲン・エストロゲン試験)に使用
中用量ピルの副作用と対処法
EE含有量が多いため、低用量ピルと比較して吐き気・嘔吐の発生率が約2〜3倍高く、制吐剤の予防的併用が推奨される場合があります。
副作用 | 頻度 | 対処法 |
|---|---|---|
吐き気・嘔吐 | 約20〜30% | 制吐剤(ドンペリドン)併用、就寝前服用 |
頭痛 | 約10〜15% | 鎮痛剤で対処 |
乳房の張り | 約10% | 短期使用のため通常は許容範囲 |
むくみ | 約5〜10% | 塩分控えめ・水分摂取 |
血栓症 | まれ | 長期使用を避ける、リスク因子確認 |
月経移動の具体的なスケジュール
旅行やイベントに合わせて生理をずらしたい場合、「遅らせる方法」が最も一般的で確実性が高い方法です。
生理を遅らせる方法
- 予定月経日の5〜7日前に受診
- プラノバールを1日1錠、月経を避けたい最終日まで服用
- 服用中止後2〜3日で消退出血(生理)が来る
- 最大10〜14日間程度の延長が可能
生理を早める方法
- 月経開始5日目から10〜14日間服用
- 服用中止後2〜3日で消退出血
- イベント当日に薬を飲まなくて済むメリットがある
- ただし計画が1か月前から必要
中用量ピルの処方を受ける際の注意点
中用量ピルは短期使用が原則であり、長期的な避妊やホルモン管理には低用量ピルへの切り替えが推奨されます。
- 処方前に血栓リスク因子(喫煙・肥満・片頭痛)を必ず確認
- 40歳以上は慎重投与
- 吐き気が心配な場合は制吐剤の同時処方を依頼
- 月経移動の場合は最低でもイベントの1〜2週間前に受診
よくある質問(FAQ)
Q. 中用量ピルで確実に生理をずらせますか?
A. 正しく服用すれば成功率は90%以上です。ただし、服用開始が遅すぎると間に合わない場合があるため、早めの受診が推奨されます。
Q. 中用量ピルは市販されていますか?
A. 中用量ピルは処方箋が必要な医薬品であり、市販されていません。婦人科を受診して処方を受けてください。
Q. 低用量ピルでも生理日の移動はできますか?
A. 1相性の低用量ピル(マーベロン等)を服用中であれば、実薬を延長することで月経を遅らせることが可能です。
Q. 中用量ピルの費用はどのくらいですか?
A. 月経移動目的は自費で、プラノバール1シート(21錠)で約1,500〜3,000円程度です。診察料が別途かかります。
Q. 吐き気がひどくて飲めない場合は?
A. 制吐剤の併用でも改善しない場合は、低用量ピル(1相性)を用いた月経移動に切り替えることが可能です。主治医に相談してください。
まとめ
中用量ピルはEE 50μg含有の製剤で、月経移動・不正出血の治療に短期的に使用されます。低用量ピルより副作用が出やすいため、制吐剤の併用や就寝前服用が対処法として有効です。日常的な避妊やホルモン管理には低用量ピルが推奨されます。
月経移動は早めの受診がポイント
旅行やイベントで月経を避けたい場合は、予定日の2週間前までに婦人科を受診してください。余裕を持った計画が、確実な月経移動の成功につながります。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
産婦人科・婦人科に関する正確で信頼性の高い情報をお届けします。医療監修のもと、女性の健康に役立つコンテンツを制作しています。
Next Action

