
低用量ピルと性欲低下:原因の概要と頻度
低用量ピル(経口避妊薬)を服用している女性の一部で性欲(リビドー)の低下が報告されています。その頻度は研究によって異なりますが、服用者の約15〜30%に何らかの性機能への影響があるとするデータがあります。原因はホルモン変化による複数のメカニズムが関与しており、全ての服用者に起きるわけではありません。性欲低下が生じた場合は婦人科での相談によって多くのケースで対処可能です。
この記事のポイント
- ピルによる性欲低下の主な原因はSHBG増加による遊離テストステロン低下・エストロゲンの変化
- ピルの種類(プロゲスチンの種類・エストロゲン量)を変更することで改善する場合がある
- 性欲低下は心理的要因(パートナーとの関係・抑うつ等)も複合的に影響するため、原因の特定が重要
性欲低下のメカニズム1:テストステロンへの影響
性欲にはテストステロンが重要な役割を果たします。女性でも副腎・卵巣から少量のテストステロンが分泌されており、性欲・性的覚醒に関与しています。ピル服用でSHBG(性ホルモン結合グロブリン)が増加すると、遊離(活性型)テストステロンが低下します。
- ピル非服用時のSHBGは約100nmol/L
- ピル服用中は2〜4倍に上昇することがある
- 遊離テストステロンが減少し、性欲・性的感受性の低下につながる可能性
性欲低下のメカニズム2:エストロゲンへの影響
ピル服用による性欲低下のもう一つの要因は、合成エストロゲンの変化です。外因性のエストロゲンが内因性ホルモン産生を抑制することで膣の分泌液産生が変化し、性行為時の不快感が生じる場合があります。これも間接的に性欲に影響します。
心理的・関係的要因との複合性
性欲低下は必ずしもピルだけが原因ではありません。以下の要因との複合的な影響を考慮することが重要です。
- 抑うつ・不安症状: 精神的な不調は性欲に大きく影響する
- パートナーとの関係: ストレス・コミュニケーション不足による性的関心の低下
- 疲労・過労: 慢性的な疲労は性欲を低下させる
- 自己イメージ・ボディイメージ: ピルによる体重変化・肌の変化が間接的に影響する場合
対処法1:ピルの種類変更を相談する
SHBG増加の程度はピルの種類によって異なります。以下の観点で婦人科に種類変更を相談することが有効な場合があります。
- 低アンドロゲン活性プロゲスチン含有ピル: SHBGへの影響が比較的少ないプロゲスチン種への変更を検討
- ドロスピレノン含有ピル: 抗アンドロゲン作用があるため、テストステロンが低下している方には不向きな場合がある
- エストロゲン量の調整: 超低用量ピルでは特にエストロゲン関連症状が出やすい場合がある
対処法2:SHBGとテストステロンを確認する
婦人科または産婦人科でSHBG・遊離テストステロンの採血検査を受けることで、ホルモン由来かどうかの判断材料になります。遊離テストステロンが著しく低い場合は、ピルの種類変更・あるいは中止を検討する根拠になります。
対処法3:パートナーとのコミュニケーションと心理的アプローチ
性欲低下は生理的原因だけでなく、関係性の文脈でも解決を図ることが重要です。
- パートナーへの正直な状況共有
- 性行為の前段階(スキンシップ・前戯)を丁寧に行うことで性的応答を高める
- 必要に応じてカップルカウンセリング・性機能専門クリニックへの相談
まとめ:性欲低下はピルの種類変更で改善できる可能性がある
ピルによる性欲低下はSHBG増加・遊離テストステロン低下が主要なメカニズムです。まずは婦人科でSHBG・テストステロンの採血を受け、ピルの種類変更を相談することが最も合理的なアプローチです。自己判断でのピル中止は避け、避妊の確保・月経管理を維持しながら対処法を探してください。
よくある質問
※本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。具体的な治療については、必ず医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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