
LHとFSHの比率|ホルモン値の正常範囲と異常時の対処法
LH(黄体化ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)は、排卵と生殖機能をコントロールする重要なホルモンです。LH/FSH比の異常は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や卵巣機能低下の診断手がかりとなります。
この記事では、LH・FSHの正常値・LH/FSH比の見方・異常値の原因と対処法を、不妊検査の観点から解説します。
📌 この記事のポイント
- LH/FSH比は月経3日目の採血で測定するのが基本
- 正常ではLH/FSH比は1以下(FSH>LH)
- LH/FSH比が高い場合はPCOSが疑われる
- FSHが高値の場合は卵巣予備能の低下を示唆
LHとFSHの役割|排卵を制御する2つのホルモン
LHとFSHはいずれも脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンです。FSHは卵胞の発育を促進し、LHは排卵を誘発して黄体を形成する役割を担います。この2つのホルモンのバランスが正常な排卵に欠かせません。
月経周期におけるLH・FSHの変動
時期 | FSH(mIU/mL) | LH(mIU/mL) | 特徴 |
|---|---|---|---|
卵胞期初期(月経3日目) | 3〜10 | 2〜7 | 基本の測定タイミング |
排卵直前 | 5〜20 | 20〜100(LHサージ) | 排卵のトリガー |
黄体期 | 1〜5 | 1〜10 | 黄体維持 |
LH/FSH比の見方|正常値と異常値
月経3日目のLH/FSH比は通常1以下です。LH/FSH比が1を超える場合(特に2以上)、PCOSの診断基準の一つとなります。一方、FSHが10 mIU/mL以上に上昇している場合は、卵巣予備能の低下が疑われます。
LH/FSH比の解釈
- LH/FSH比 ≦ 1:正常範囲
- LH/FSH比 1〜2:PCOSの可能性を検討
- LH/FSH比 ≧ 2:PCOSが強く疑われる
- FSH高値(10以上)かつLH正常:卵巣予備能低下
- FSH・LHともに低値:視床下部性排卵障害の可能性
LH高値・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)との関係
PCOSでは卵巣からのアンドロゲン分泌が増加し、これがLH分泌を促進する悪循環が生じます。LH高値による早期黄体化は卵子の質の低下や着床障害につながり、不妊の原因となります。
日本では生殖年齢女性の約5〜10%がPCOSに該当するとされています。月経不順、多毛、ニキビ、肥満などの症状を伴う場合は、ホルモン検査をお勧めします。
PCOSの治療アプローチ
- 生活習慣の改善(減量により自然排卵が回復するケースがある)
- クロミフェンやレトロゾールによる排卵誘発
- メトホルミンの併用(インスリン抵抗性がある場合)
- 腹腔鏡下卵巣多孔術(LOD)
FSH高値|卵巣予備能の低下を示すサイン
月経3日目のFSHが10 mIU/mL以上の場合、卵巣に残っている卵子の数が減少している可能性があります。AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査と合わせて卵巣予備能を総合的に評価することが重要です。
FSH値(月経3日目) | 卵巣予備能の評価 | 不妊治療への影響 |
|---|---|---|
3〜8 mIU/mL | 良好 | 標準的な治療で対応可能 |
8〜10 mIU/mL | やや低下傾向 | 早めの治療開始が望ましい |
10〜15 mIU/mL | 低下 | 排卵誘発への反応が低下しやすい |
15 mIU/mL以上 | 著明な低下 | 体外受精でも少数採卵の可能性 |
LH・FSHが低い場合|視床下部性排卵障害
LH・FSHがともに低値の場合は、過度なダイエット・ストレス・過度な運動などによる視床下部の機能低下(視床下部性無月経)が考えられます。体重の回復やストレス軽減で改善する場合もありますが、不妊治療ではGnRHパルス療法やhMG/FSH注射で排卵を誘発します。
よくある質問
Q. LH/FSH比の検査はいつ受けますか?
A. 月経2〜3日目(卵胞期初期)の採血が基本です。この時期が最も正確にベースラインを反映します。
Q. LH/FSH比が高いと妊娠できませんか?
A. 適切な治療(排卵誘発など)で排卵を回復させれば、妊娠は十分に可能です。
Q. FSHの値は改善できますか?
A. FSH高値は卵巣の卵子数の減少を反映しているため、数値自体を大きく改善する方法は限られます。早期の治療開始が重要です。
Q. ピル服用中にLH/FSHを測定できますか?
A. ピル服用中はホルモン値が抑制されるため正確な評価ができません。ピルを中止し、月経が再来してから検査します。
Q. 年齢とFSHの関係は?
A. 年齢が上がるにつれてFSHは上昇する傾向にあります。35歳以降はAMHと合わせての定期的なチェックをお勧めします。
まとめ|LH・FSHのバランスは不妊検査の基本
LHとFSHの数値とその比率は、排卵障害の原因特定や卵巣予備能の評価に欠かせない検査項目です。異常が見つかっても、原因に応じた治療で多くの場合は排卵の回復が期待できます。月経不順や不妊が気になる方は、まずホルモン検査から始めてみてください。
💡 ホルモン検査をご希望の方へ
当院では月経周期に合わせたホルモン検査を実施しています。結果のご説明も丁寧に行いますのでお気軽にどうぞ。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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