
更年期のプラセンタ注射は、ホットフラッシュ・倦怠感・不眠といった更年期症状の緩和を目的に用いられる治療法です。保険適用と自費診療の2種類があり、費用や頻度は製剤の種類によって異なります。この記事では、メルスモン・ラエンネックの違い、効果の根拠、費用相場、受診の流れを医療情報に基づいて詳しく解説します。
この記事のポイント
- 更年期のプラセンタ注射には保険適用(メルスモン)と自費診療(ラエンネック)がある
- 保険適用の場合、1回の自己負担は数百円〜1,000円程度が目安
- 効果には個人差があり、複数回の継続投与が必要なケースが多い
- 2024年現在、メルスモンは供給制限中のため医療機関に事前確認が必要
更年期のプラセンタ注射とは何か
プラセンタ注射とは、ヒト胎盤から抽出した有効成分を注射で投与する治療法です。更年期症状の緩和を目的として婦人科・産婦人科・内科などで処方されます。日本で承認されている医療用製剤は「メルスモン」と「ラエンネック」の2種類で、それぞれ成分や保険適用の条件が異なります。
メルスモンとラエンネックの違い
項目 | メルスモン | ラエンネック |
|---|---|---|
製造会社 | メルスモン製薬 | 日本生物製剤 |
保険適用 | 更年期障害・乳汁分泌不全に適用あり | 肝疾患のみ(更年期は自費) |
1アンプル量 | 2mL | 2mL |
投与頻度(目安) | 週2〜3回 | 週1〜3回 |
プラセンタの主な有効成分
- アミノ酸(グリシン・アラニン・プロリンなど)
- 活性ペプチド
- 核酸(DNA・RNA)
- 各種成長因子(EGF・FGFなど)
- ミネラル・ビタミン類
これらの成分が複合的に作用し、自律神経の調整や細胞活性化に関与すると考えられています。ただし、作用機序の詳細はすべて解明されているわけではありません。
更年期症状への効果と根拠
プラセンタ注射が更年期症状に一定の効果を示すことは、複数の臨床研究で報告されています。ただし「治る」と断言できるエビデンスレベルではなく、あくまでも症状緩和の補助的な選択肢として位置づけられます。
効果が報告されている主な症状
- ホットフラッシュ(顔のほてり・発汗)
- 不眠・睡眠の質の低下
- 倦怠感・疲労感
- 情緒不安定・イライラ
- 肩こり・腰痛
HRTとの比較
更年期症状の第一選択治療はホルモン補充療法(HRT)です。プラセンタ注射はHRTが適用できない方(乳がん既往など)や、HRTと併用したい方が選ぶケースが多くあります。日本産科婦人科学会のガイドライン(2023年版)でも、プラセンタ注射はHRTの代替ではなく補完的な位置づけとされています。
注意点:プラセンタ注射は献血が生涯禁止になります(vCJD感染リスクを排除できないため)。投与前に必ず医師から説明を受けてください。
費用相場と保険適用の条件
更年期のプラセンタ注射の費用は、保険適用か自費かで大きく異なります。保険適用時の自己負担は1回数百円〜1,000円程度ですが、自費診療では1回2,000〜5,000円程度が相場です。
費用の目安一覧
区分 | 製剤 | 1回の費用目安 | 月額目安(週2回の場合) |
|---|---|---|---|
保険適用(3割負担) | メルスモン | 400〜800円程度 | 3,500〜7,000円程度 |
自費診療 | メルスモン | 1,500〜3,000円程度 | 1.2〜2.4万円程度 |
自費診療 | ラエンネック | 2,000〜5,000円程度 | 1.6〜4万円程度 |
保険適用を受けるための条件
- 診断名が「更年期障害」または「乳汁分泌不全」であること
- メルスモンを使用すること(ラエンネックは更年期への保険適用なし)
- 保険診療を行っている医療機関を受診すること
2024年現在、メルスモンは製造上の都合により供給が制限されています。保険処方を希望する場合は、受診前に医療機関へ在庫状況を問い合わせることを強くお勧めします。
副作用とリスク
プラセンタ注射は比較的安全性が高いとされていますが、副作用がないわけではありません。注射部位の反応から全身症状まで、発生頻度別に整理します。
主な副作用
- 注射部位の発赤・腫れ・痛み:最も頻度が高い。通常1〜2日で消失
- 微熱・倦怠感:初回投与後に出やすい。発熱が続く場合は受診
- アレルギー反応:まれにじんましん・かゆみが出ることがある
- 血圧変動:ごくまれ
絶対禁忌・相対禁忌
- 妊娠中・授乳中の方(安全性未確立)
- 重篤なアレルギー歴がある方
- プラセンタ製剤の成分に過敏症のある方
受診の流れと治療継続の目安
初めてプラセンタ注射を希望する場合は、婦人科・産婦人科・または美容クリニックで相談できます。保険診療を希望する場合は、保険診療対応の婦人科を選ぶことが重要です。
受診から投与までの流れ
- 婦人科への予約・初診(問診・身体診察)
- 更年期障害の診断(SMIスコアや血液検査を参考)
- 治療方針の説明・同意(献血禁止の説明含む)
- 初回投与(注射自体は数分)
- 効果確認・継続判断(通常1〜2か月後)
効果を実感するまでの期間
早い方では2〜4週間で変化を感じる場合がありますが、多くは1〜3か月の継続投与が必要です。3か月継続しても改善が見られない場合は、HRTへの切り替えや他の治療法を検討します。
こんな方に向いている・向いていない
プラセンタ注射はすべての方に適しているわけではありません。自分に合った治療法を選ぶために、以下を参考にしてください。
プラセンタ注射が向いている方
- HRTが使えない方(乳がん既往・血栓症リスクが高い方など)
- ホルモン剤への抵抗感がある方
- 軽〜中等度の更年期症状がある方
- 肝機能改善も同時に期待したい方
プラセンタ注射より他の治療が向いている方
- 重症の更年期症状(日常生活に支障をきたすレベル)→ まずHRTを検討
- 注射が苦手な方 → 漢方薬・サプリメントの選択肢もある
- 費用を最小限にしたい方 → 保険適用HRTの方がコスパが高いケースもある
よくある質問(FAQ)
Q. プラセンタ注射は何回打てば効果が出ますか?
個人差がありますが、一般的には週2〜3回を1〜3か月継続することで効果を実感しやすくなります。10回未満で効果を評価するのは早すぎる場合が多いです。
Q. メルスモンとラエンネックはどちらが効きますか?
更年期症状に対する直接比較試験のデータは限られています。どちらも更年期症状への有効性が報告されており、保険適用・費用・在庫状況・医療機関の方針などを総合的に考えて選びます。
Q. 妊娠中でも打てますか?
妊娠中・授乳中は安全性が確立されていないため、原則として使用できません。主治医に相談してください。
Q. 献血禁止はずっと続きますか?
はい。プラセンタ注射(メルスモン・ラエンネック)を1回でも接種すると、生涯にわたり献血が禁止されます。投与前に医師からの説明を受け、納得した上で決断してください。
Q. 保険で打てる病院の探し方は?
「更年期外来」「婦人科 プラセンタ注射 保険」などで検索するか、かかりつけの婦人科に問い合わせるのが確実です。ただし2024年現在、メルスモンの供給制限で保険処方を停止している医療機関もあるため、事前確認が必須です。
まとめ
更年期のプラセンタ注射は、更年期症状の緩和を補助する選択肢の一つです。保険適用(メルスモン)では費用を抑えやすい一方、2024年現在は供給制限があるため事前確認が必要です。HRTが第一選択であることを念頭に置きつつ、自分の症状・体質・ライフスタイルに合った治療法を婦人科医と相談しながら選んでください。
- 献血が生涯禁止になる点は必ず理解した上で判断する
- 効果の実感には1〜3か月の継続投与が必要
- 重症の更年期症状にはHRTの方が適している場合が多い
※本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の治療法を推奨するものではありません。治療の選択は必ず医師にご相談ください。参考:日本産科婦人科学会「更年期障害診療ガイドライン2023」
この記事を書いた人
EggLink編集部
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