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男性更年期とテストステロン補充療法の効果とリスク

2026/4/19

男性更年期とテストステロン補充療法の効果とリスク

男性更年期(LOH症候群)は、加齢に伴うテストステロン低下によって引き起こされる症状群です。テストステロン補充療法(TRT)はその主要な治療法の一つですが、効果だけでなくリスクも正確に理解した上で受けることが重要です。この記事では、診断基準・治療の選択肢・副作用・費用を医学的根拠に基づいて解説します。

この記事のポイント

  • 男性更年期(LOH症候群)の診断にはテストステロン値の測定が必須
  • テストステロン補充療法(TRT)には筋肉注射・貼り薬・塗り薬の3形態がある
  • 前立腺がん・多血症・睡眠時無呼吸症候群は主要なリスク・禁忌
  • 日本泌尿器科学会のガイドラインでは、TRT開始前の前立腺評価が必須

男性更年期(LOH症候群)とは

LOH症候群(Late-Onset Hypogonadism:加齢男性性腺機能低下症)は、加齢によるテストステロン低下が原因で起こる身体的・精神的症状の総称です。40代以降の男性に多く、うつ病や過労と症状が重なりやすいため見落とされがちです。

主な症状

  • 身体症状:疲労感、筋力低下、体脂肪増加、発汗・ほてり、性機能低下(ED・性欲低下)
  • 精神症状:抑うつ、意欲低下、集中力低下、不眠、イライラ
  • 代謝関連:内臓脂肪増加、骨密度低下、メタボリックシンドローム

診断基準

日本泌尿器科学会のガイドライン(2022年版)によると、LOH症候群の診断には以下が必要です。

項目

内容

症状評価

AMS(Aging Males' Symptoms)スコア 27点以上

血中テストステロン値

総テストステロン 250ng/dL未満、または遊離テストステロン 8.5pg/mL未満

除外診断

うつ病・甲状腺疾患・貧血などの除外

テストステロン補充療法(TRT)の種類と特徴

TRTには投与方法によって3種類あり、それぞれ効果の安定性・利便性・副作用プロファイルが異なります。日本では筋肉注射が最も一般的です。

投与形態の比較

形態

製品例

頻度

メリット

デメリット

筋肉注射

エナント酸テストステロン

2〜4週に1回

保険適用・効果が強い

血中濃度の波がある

貼り薬(パッチ)

グローミン(国内未承認薬あり)

毎日

血中濃度が安定

皮膚刺激・自費が多い

塗り薬(ジェル)

グローミンゲル

毎日

使いやすい・濃度安定

接触移行に注意・自費

保険適用について

日本では筋肉注射(エナント酸テストステロン)がLOH症候群に保険適用される場合がありますが、適用条件は厳密です。ジェル・パッチ製剤の多くは自費診療となります。

TRTの効果

TRTは適切な適応がある場合、複数の症状に対して効果が報告されています。ただし、すべての症状に等しく効くわけではありません。

効果が認められている項目

  • 性機能改善:性欲・勃起機能の改善(最も証拠が強い)
  • 骨密度維持・改善:骨粗しょう症予防への効果が報告されている
  • 筋肉量・体組成改善:除脂肪体重の増加
  • 気分・意欲の改善:抑うつ症状の軽減(症例による)

効果が限定的な項目

  • 認知機能:現時点では明確なエビデンスが乏しい
  • 心血管疾患の予防:リスクが増加する可能性があるという報告もあり、慎重な評価が必要

TRTの副作用とリスク

TRTには有益な効果の一方で、無視できないリスクが存在します。治療開始前に必ず医師と確認することが重要です。

主な副作用

  • 多血症(赤血球増加):血栓症リスクが上昇。定期的なヘマトクリット測定が必要
  • 前立腺への影響:PSA値が上昇することがある。前立腺がんの活性化リスク
  • 精子産生の抑制:将来の挙児希望がある場合はTRTを避ける
  • 睡眠時無呼吸症候群の悪化:既存の場合は禁忌に近い
  • 女性化乳房:テストステロンがエストロゲンに変換されることによる

絶対禁忌

  • 前立腺がん(治療中・疑い含む)
  • 男性乳がん
  • 重篤な心疾患・肝疾患・腎疾患
  • 挙児希望がある男性

治療開始前に必ず行う検査

TRTは開始前の評価が特に重要です。日本泌尿器科学会ガイドラインでは、以下の検査を推奨しています。

  1. 血液検査(総テストステロン・遊離テストステロン・LH・FSH・血算・肝機能)
  2. PSA(前立腺特異抗原)測定
  3. 前立腺触診またはエコー
  4. ヘマトクリット・赤血球数
  5. 睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング

治療開始後は、3か月・6か月・12か月と定期的にモニタリングを行います。

費用の目安

TRTの費用は、投与形態・保険適用の有無によって大きく異なります。

治療法

保険適用

1回費用目安

月額目安

筋肉注射(保険)

あり(3割)

数百〜1,500円程度

1,000〜3,000円程度

筋肉注射(自費)

なし

3,000〜8,000円程度

6,000〜1.6万円程度

ジェル製剤(自費)

なし

月額1〜3万円程度

1〜3万円

よくある質問(FAQ)

Q. 男性更年期かどうか、自分で判断できますか?

AMSスコア(Aging Males' Symptoms)という自己チェックリストで目安を確認できます。ただし確定診断には血液検査が必須です。泌尿器科・メンズヘルス外来への受診をお勧めします。

Q. TRTはいつまで続けますか?

LOH症候群の場合、長期継続が必要なことが多いです。治療の継続・中断は定期的なモニタリングを踏まえて医師と相談します。自己判断での中断は症状再燃を招きます。

Q. 子どもがほしい場合はどうしますか?

TRTは精子産生を抑制するため、挙児希望がある方には使用できません。この場合はhCG製剤やクロミフェンなど、精子産生を維持しながらテストステロンを増やす治療法が検討されます。

Q. 受診する科は?

泌尿器科(メンズヘルス専門)が最も適しています。内科・男性更年期外来でも対応可能な施設があります。

Q. TRT以外の治療法はありますか?

生活習慣の改善(睡眠・運動・禁酒・ストレス管理)が基本です。漢方薬(八味地黄丸など)が補助的に使われることもあります。抑うつが強い場合は精神科との連携も重要です。

まとめ

男性更年期(LOH症候群)のテストステロン補充療法は、正確な診断と適切な管理のもとで実施すれば多くの症状改善が期待できます。一方で前立腺がんリスク・多血症・精子産生抑制など無視できないリスクもあります。自己判断での治療開始は危険であり、必ず泌尿器科専門医による診断・検査・モニタリングのもとで治療を進めてください。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の治療を推奨するものではありません。参考:日本泌尿器科学会「男性遅発性性腺機能低下症(LOH症候群)診療の手引き 2022」

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2