
当帰芍薬散とは?基本情報
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、血行改善と水分代謝促進の作用を持つ漢方薬で、冷え性・むくみ・生理不順・妊娠中の諸症状に広く処方される婦人科漢方の代表格です。
6種類の生薬(当帰・芍薬・川芎・茯苓・蒼朮・沢瀉)で構成されています。「血」を補い巡らせる当帰・芍薬・川芎と、「水」の偏在を整える茯苓・蒼朮・沢瀉のバランスが特徴です。
当帰芍薬散の効果・効能
当帰芍薬散は「血虚」と「水毒」を同時に改善し、冷え性・むくみ・めまい・生理痛・生理不順・妊娠中のむくみ等に効果が期待できます。
症状 | メカニズム | 効果の目安 |
|---|---|---|
冷え性 | 当帰・川芎による血行促進 | 2〜4週間で手足の温感 |
むくみ | 茯苓・沢瀉による利水作用 | 1〜2週間で軽減 |
生理痛 | 血行改善による子宮筋の緊張緩和 | 1〜2周期で変化 |
生理不順 | 血虚の改善→ホルモンバランスの安定 | 2〜3周期で安定 |
めまい・立ちくらみ | 水分代謝の改善 | 2〜4週間 |
妊娠中のむくみ | 利水作用+血行促進 | 1〜2週間 |
どんな体質の人に向いているか
当帰芍薬散は「虚証」の方、具体的には体力があまりなく、冷えやすく、顔色が蒼白で、むくみやすい女性に最も適した漢方薬です。
向いている方の特徴
- やせ型〜普通体型で体力があまりない
- 顔色が青白い・くすみがち
- 手足が冷たい(末端冷え性)
- むくみやすい
- 貧血気味で疲れやすい
- 月経周期が長い、経血量が少ない
向いていない方
- 体力がある・暑がり・赤ら顔(実証)→ 桂枝茯苓丸が候補
- イライラ・のぼせが強い → 加味逍遙散が候補
- 胃腸が極端に弱い → 胃もたれが出ることがある
飲み方と服用期間
1日3回、食前または食間に白湯で服用するのが標準的です。効果実感には最低2〜4週間、安定した効果には2〜3か月の継続が目安となります。
- 用法:ツムラ23番(2.5g/包)を1日3回
- 飲み方のコツ:ぬるま湯に溶かして飲むと吸収が良い
- 胃もたれが出る場合:食後に変更すると軽減することが多い
- 服用期間:通常3〜6か月を1クールとして効果を評価
妊娠中・妊活中の使用
当帰芍薬散は産婦人科で最も処方実績の豊富な漢方薬のひとつであり、妊娠中のむくみ・切迫流産の予防・妊活中の子宮内膜血流改善などに使用されています。
- 妊娠中の安全性は長い使用実績で確認されている
- 妊娠中のむくみ・腰痛・腹痛(安胎薬として)に処方
- 不妊治療との併用:子宮・卵巣の血流改善効果に期待
- 授乳中も服用可能(母乳への移行は微量)
ただし自己判断での服用は避け、必ず産婦人科医に相談のうえで使用してください。
副作用と注意点
当帰芍薬散は比較的副作用の少ない漢方薬ですが、胃もたれ・下痢・食欲不振が起こることがあり、まれに肝機能障害の報告もあるため注意が必要です。
副作用 | 頻度 | 対処法 |
|---|---|---|
胃もたれ・悪心 | やや多い | 食後服用に変更、量を減らす |
下痢・軟便 | 時にあり | 減量で改善することが多い |
発疹 | まれ | 中止して受診 |
肝機能障害 | まれ | 定期的な血液検査で早期発見 |
当帰芍薬散には甘草が含まれないため、偽アルドステロン症のリスクは低いという利点があります。
他の漢方薬との比較
当帰芍薬散・加味逍遙散・桂枝茯苓丸は「婦人科三大処方」と呼ばれ、体質に応じて使い分けることで効果を最大化できます。
項目 | 当帰芍薬散 | 加味逍遙散 | 桂枝茯苓丸 |
|---|---|---|---|
体質 | 虚証(冷え型) | 虚〜中間証 | 実証(のぼせ型) |
主な症状 | 冷え、むくみ | イライラ、ほてり | のぼせ、肩こり |
体型 | やせ型 | やせ〜普通 | がっちり型 |
顔色 | 蒼白 | やや赤い | 赤ら顔 |
甘草 | なし | あり | なし |
よくある質問(FAQ)
Q. 当帰芍薬散は市販で購入できますか?
はい。ツムラやクラシエなどから市販品が販売されています。ただし、処方薬と比べて1日あたりの成分量が少ないため、しっかり効果を得たい場合は医療機関での処方がおすすめです。
Q. 男性でも服用できますか?
可能です。当帰芍薬散は「婦人科漢方」のイメージが強いですが、冷え・むくみ・めまいのある男性にも処方されることがあります。
Q. 当帰芍薬散を飲んでも冷えが改善しません。どうすればよいですか?
4週間以上服用して改善しない場合、証(体質)が合っていない可能性があります。温経湯や当帰四逆加呉茱萸生姜湯への変更を医師に相談してください。
Q. ピルとの併用は可能ですか?
基本的に併用は可能です。低用量ピルと当帰芍薬散の併用は婦人科で行われることがあります。主治医にお伝えください。
Q. どのくらいの期間飲み続ける必要がありますか?
症状によりますが、3〜6か月を1クールとして評価するのが一般的です。症状が安定したら減量・中止を検討します。
まとめ
当帰芍薬散は、冷え性・むくみ・生理不順を抱える虚証タイプの女性に最も適した漢方薬です。妊娠中も使用でき、副作用も比較的少ないのが特長といえます。効果を最大化するには体質に合っていることが前提ですので、漢方専門医のいる婦人科で相談してみてください。
冷えやむくみ、生理のお悩みがございましたら、当院の漢方外来にお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
産婦人科・婦人科に関する正確で信頼性の高い情報をお届けします。医療監修のもと、女性の健康に役立つコンテンツを制作しています。
Next Action

