
漢方薬には保険適用されるものとされないものがあります。医師が処方する「医療用漢方エキス製剤」(ツムラ・クラシエ等の医療用製品)は保険適用になりますが、自分で薬局で購入する市販漢方は原則として保険対象外です。1回あたりの処方費用は保険適用で数百円〜千数百円程度が目安です。
保険適用になる漢方薬の条件
保険適用の漢方薬には明確な条件があります。以下を満たす場合に健康保険(国保・社保)が適用されます。
- 医師(または歯科医師)が処方箋を発行していること
- 厚生労働省が承認した「医療用漢方製剤」であること(現在148処方が承認)
- 処方する疾患が保険診療の適応範囲であること
保険適用の代表的な漢方処方(婦人科系)
処方名 | 主な適応症 | 保険適用 |
|---|---|---|
当帰芍薬散 | 月経不順、冷え、貧血、不妊補助 | あり |
加味逍遙散 | PMS、更年期、不眠、イライラ | あり |
桂枝茯苓丸 | 生理痛、子宮内膜症、のぼせ・冷え | あり |
温経湯 | 月経不順、不妊、更年期 | あり |
芍薬甘草湯 | こむら返り、急性の筋肉痛 | あり |
葛根湯 | 風邪の初期、肩こり | あり |
費用の内訳——保険適用時の実際の支払い金額
保険適用の漢方薬を医療機関で処方してもらった場合の費用は、自己負担割合(3割・2割・1割)によって異なります。以下は3割負担の場合の目安です。
費用の種類 | 目安(3割負担) | 備考 |
|---|---|---|
初診料 | 約840〜1,500円 | 医療機関の種類によって異なる |
再診料 | 約230〜690円 | 同上 |
処方料 | 約200〜700円 | 処方日数・薬の種類による |
薬剤費(漢方薬) | 1日分 約30〜150円(3割) | 処方によって異なる |
調剤料・薬局手数料 | 約400〜900円 | 薬局での調剤 |
1カ月あたりの費用目安(3割負担)
再診+30日分処方の場合:再診料230〜690円 + 薬剤費(1日30〜150円×30日=900〜4,500円)+ 調剤料400〜900円 ≒ 合計で約2,000〜7,000円程度が1カ月の目安です。ただし処方内容・医療機関・薬局によって大きく差があります。
市販漢方薬の費用と特徴
薬局・ドラッグストアで購入できる市販漢方(OTC漢方)は保険適用外ですが、処方箋なしで手軽に購入できます。
製品例 | 価格目安(1カ月分) | 医療用との違い |
|---|---|---|
ツムラ漢方(市販) | 1,500〜3,000円程度 | 生薬量が医療用の1/2〜2/3程度のものが多い |
クラシエ漢方(市販) | 1,500〜3,000円程度 | 同上 |
煎じ薬(漢方専門薬局) | 1〜3万円程度 | 個別調合で高品質・高コスト |
産婦人科・婦人科での漢方処方と保険
産婦人科・婦人科でも保険適用の漢方薬を処方することが可能です。月経痛・PMS・更年期障害・不妊補助などの疾患名がついていれば保険診療の対象になります。「漢方を処方してほしい」と医師に相談することで、保険内で処方してもらえるケースがあります。
不妊治療と漢方薬の保険適用
2022年4月から不妊治療の一部が保険適用になりましたが、漢方薬が不妊治療の「補助として」保険処方されることもあります。ただし不妊治療の主たる治療(体外受精・顕微授精など)と漢方薬の組み合わせでは、保険の算定ルールが複雑になる場合があります。担当医に保険適用の可否を確認することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 薬局で市販の漢方薬を買った場合、医療費控除の対象になりますか?
医師の診療なしに購入した市販薬は原則として医療費控除の対象外ですが、スイッチOTC(セルフメディケーション)税制の対象品目に指定されている場合は別途控除を申請できます。詳しくは税務署または国税庁のウェブサイトで確認してください。
Q. 産婦人科で漢方を処方してもらうには何を伝えればいいですか?
「漢方での治療を希望したい」と直接伝えてください。症状(月経痛・PMS・月経不順等)を具体的に伝えると、適切な処方につながります。すべての産婦人科で漢方に精通しているわけではないため、漢方外来や漢方専門医への紹介を求めることも有効です。
Q. 高額療養費制度は漢方薬にも使えますか?
保険適用の漢方薬を含む医療費が高額になった場合、高額療養費制度を利用できます。1カ月の自己負担額が上限を超えた分が払い戻されます(年収によって上限額が異なります)。
Q. 自費の漢方(煎じ薬・漢方専門薬局)はどのくらいかかりますか?
個別に調合する煎じ薬は1カ月1〜3万円程度が目安ですが、使用する生薬の種類・量・薬局によって大きく異なります。
まとめ
漢方薬の保険適用は「医師が処方する医療用漢方製剤」が条件です。3割負担の場合、月あたりの自己負担は薬剤費+診察料で2,000〜7,000円程度が目安(処方内容による)です。市販漢方は保険対象外ですが、費用や利便性の面でメリットもあります。産婦人科・婦人科での相談を通じて、保険内で漢方処方を受けられるか確認することをお勧めします。
※費用は目安であり、医療機関・薬局・処方内容によって異なります。正確な費用は各医療機関・薬局にお問い合わせください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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