
漢方薬にも副作用がある?
「漢方薬は天然成分だから安全」は誤解です。漢方薬にも副作用は存在し、厚生労働省の副作用報告でも漢方製剤による重篤な症例が毎年報告されています。
漢方薬は複数の生薬で構成されているため、その組み合わせによって予期しない反応が起こる場合があります。正しい知識をもって服用することが大切です。
とくに注意が必要な生薬と副作用
漢方薬の副作用で最も頻度が高いのは甘草(かんぞう)による偽アルドステロン症で、血圧上昇・むくみ・低カリウム血症を引き起こす可能性があります。
生薬 | 含まれる代表的漢方薬 | 主な副作用 |
|---|---|---|
甘草 | 芍薬甘草湯、加味逍遙散、補中益気湯 等 | 偽アルドステロン症(むくみ・血圧上昇・低K血症) |
麻黄 | 葛根湯、麻黄湯、小青竜湯 | 動悸、不眠、血圧上昇、排尿障害 |
大黄 | 大黄甘草湯、防風通聖散、桃核承気湯 | 下痢、腹痛、子宮収縮(妊娠中注意) |
附子 | 八味地黄丸、真武湯 | 動悸、のぼせ、舌のしびれ |
黄芩 | 小柴胡湯、柴苓湯 | 間質性肺炎、肝機能障害 |
重篤な副作用|間質性肺炎・肝機能障害
まれですが、小柴胡湯をはじめとする柴胡剤で間質性肺炎が報告されており、空咳・息切れ・発熱が出た場合は直ちに服用を中止し受診が必要です。
間質性肺炎
- 黄芩を含む漢方薬(小柴胡湯、柴苓湯、柴朴湯など)で報告
- 服用開始から1〜3か月以内に発症することが多い
- 症状:空咳、息切れ、微熱 → 放置で重症化のリスク
肝機能障害
- ほぼ全ての漢方薬で起こり得る(薬剤性肝障害)
- 症状:倦怠感、食欲不振、黄疸、褐色尿
- 定期的な血液検査で早期発見が可能
甘草の摂りすぎに注意|偽アルドステロン症
甘草は漢方薬全体の約7割に含まれており、複数の漢方薬を併用すると1日の甘草摂取量が過剰になり偽アルドステロン症のリスクが高まります。
- 甘草の安全上限の目安:1日あたりグリチルリチン酸として100mg(甘草換算で約2.5g)
- 芍薬甘草湯は1日量に甘草6gを含むため、頓服使用に留めるのが望ましい
- 甘草はサプリメント(リコリス)や甘味料にも含まれるため合算に注意
偽アルドステロン症の症状チェック
- 手足のむくみ・だるさ
- 血圧の上昇
- 筋力低下・筋肉痛(低カリウム血症による)
高齢者・低体重の方・利尿剤服用中の方はとくにリスクが高いため注意が必要です。
副作用が出やすい人の特徴
胃腸が弱い方、高齢者、腎機能が低下している方、複数の漢方薬を併用している方は副作用が出やすいため、慎重な服用が求められます。
リスク因子 | 注意点 |
|---|---|
胃腸虚弱 | 地黄・当帰で胃もたれが起きやすい |
高齢者 | 甘草・麻黄の副作用リスク上昇 |
腎機能低下 | カリウム値の変動に注意 |
妊娠中 | 大黄・牡丹皮・桃仁は子宮収縮の懸念 |
肝疾患 | 薬剤性肝障害のリスク上昇 |
副作用が出たときの対処法
漢方薬の服用後に体調の変化を感じたら、まず服用を中止し、処方した医師または薬剤師に連絡してください。自己判断での継続は危険です。
- 軽度の胃もたれ・下痢:食後に服用に変更、量を減らす等で改善することがある
- 発疹・かゆみ:アレルギー反応の可能性 → 中止して受診
- 空咳・息切れ:間質性肺炎の初期症状の可能性 → 即座に中止・受診
- むくみ・血圧上昇:偽アルドステロン症の疑い → 中止して受診・採血
安全に漢方薬を使うためのポイント
処方元への正確な情報提供、定期的な血液検査、自己判断での併用を避けることが、漢方薬を安全に使ううえで最も重要です。
- 服用中のすべての薬・サプリメントを医師に伝える
- 長期服用時は半年に1回の血液検査(肝機能・電解質)が望ましい
- 市販の漢方薬を自己判断で追加しない
- 体質が変われば適する漢方も変わるため、定期的に見直す
よくある質問(FAQ)
Q. 漢方薬の副作用はどのくらいの頻度で起きますか?
軽度の胃腸症状は5〜10%程度、重篤な副作用(間質性肺炎、肝障害等)は0.1%未満とされています。
Q. 漢方薬と西洋薬の飲み合わせで注意するものは?
甘草を含む漢方薬と利尿剤(フロセミド等)の併用は低カリウム血症のリスクが高まります。麻黄を含む漢方薬とエフェドリン製剤の併用も注意が必要です。
Q. 妊娠中でも漢方薬は飲めますか?
当帰芍薬散など妊娠中に使用実績の豊富な漢方薬もありますが、大黄・牡丹皮を含むものは避ける必要があります。必ず産婦人科医に相談してください。
Q. 漢方薬で太ることはありますか?
甘草による偽アルドステロン症でむくみが生じ、体重増加につながることがあります。急な体重増加は副作用の可能性を考慮しましょう。
Q. 市販漢方薬は処方薬より副作用が少ないですか?
市販品は成分量が少ないため、副作用リスクは若干低いと考えられますが、ゼロではありません。長期服用時は同様の注意が必要です。
まとめ
漢方薬は有効な治療選択肢ですが、副作用のリスクはゼロではありません。とくに甘草による偽アルドステロン症と、柴胡剤による間質性肺炎は見逃さないでください。正しい「証」の診断のもと、適切な処方と定期的なモニタリングで安全に漢方薬を活用しましょう。
漢方薬に関する不安や副作用の症状がありましたら、処方元の医療機関にお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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