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ホルモン補充療法(HRT)とは?効果・副作用・種類・乳がんリスクを産婦人科医が解説

2026/4/14

ホルモン補充療法(HRT)とは?効果・副作用・種類・乳がんリスクを産婦人科医が解説

ホルモン補充療法(HRT)とは|更年期症状を改善するホルモン治療

ホルモン補充療法(HRT)とは、閉経前後に減少するエストロゲン(卵胞ホルモン)を薬剤で補い、更年期症状を緩和する治療法です。ほてり・発汗・不眠・気分の落ち込みなど、つらい更年期の症状に対して高い改善効果が期待できます。

「更年期がつらいけれど、ホルモン療法は乳がんリスクが心配……」という方は少なくありません。この記事では、HRTの種類・効果・副作用・乳がんリスクとの関係をエビデンスに基づいて整理し、治療を検討するうえで必要な情報をお伝えします。

📌 この記事のポイント

  • HRTは更年期症状の約80〜90%を改善できる有効な治療法
  • エストロゲン単独療法と黄体ホルモン併用療法の2種類がある
  • 投与方法は飲み薬・貼り薬・塗り薬から選択可能
  • 乳がんリスクの上昇はわずかで、5年未満の使用ではほぼ変わらない

HRTの仕組み|なぜホルモンを補充するのか

女性は閉経を迎えると、卵巣からのエストロゲン分泌が急激に減少します。このホルモンの急減が、ほてり・発汗・動悸・不眠・イライラなどの更年期症状を引き起こす主な原因です。

HRTでは、不足したエストロゲンを体外から補充することで、ホルモンバランスの乱れを穏やかに整えます。子宮がある方は、子宮内膜を保護するために黄体ホルモン(プロゲステロン)も併用するのが標準的な方法です。

HRTの対象となる方

  • 更年期症状(ほてり、発汗、不眠、気分障害)が日常生活に支障をきたしている方
  • 閉経後の骨粗しょう症予防を目的とする方
  • 早発閉経(40歳未満)でホルモン補充が必要な方

HRTの種類と投与方法|飲み薬・貼り薬・塗り薬の違い

HRTにはエストロゲン単独療法(E療法)と、エストロゲン+黄体ホルモン併用療法(EP療法)の2種類があり、子宮の有無で選択が変わります。子宮がある方はEP療法、子宮摘出後の方はE療法が基本となります。

投与方法

代表的な薬剤

メリット

注意点

飲み薬(経口)

プレマリン、ジュリナ

服用が手軽

肝臓への負担・血栓リスクがやや高い

貼り薬(経皮)

エストラーナテープ

肝臓を経由せず血栓リスクが低い

かぶれることがある

塗り薬(ジェル)

ル・エストロジェル

肌への刺激が少ない

塗布量の調整が必要

周期的投与法と持続的投与法

閉経直後で月経様出血を許容できる場合は「周期的投与法」、閉経後数年が経過し出血を避けたい場合は「持続的併用投与法」が選ばれます。

HRTで期待できる効果|更年期症状の約80〜90%が改善

日本産科婦人科学会のガイドラインによると、HRTは血管運動神経症状(ほてり・発汗)に対して最も有効性が高く、約80〜90%の改善が報告されています。それ以外にも幅広い効果が期待できます。

改善が期待できる症状

  • ほてり・ホットフラッシュ:最も改善率が高く、多くの場合2〜4週間で効果を実感
  • 発汗・動悸:自律神経症状の安定化
  • 不眠:睡眠の質の向上
  • 気分の落ち込み・イライラ:精神症状の緩和
  • 腟の乾燥・性交痛:粘膜の改善
  • 骨密度の維持:閉経後骨粗しょう症の予防

HRTの副作用と対処法|不正出血・乳房の張りなど

HRT開始初期には不正出血・乳房の張り・頭痛などが起こることがありますが、多くの場合1〜3か月で軽減します。副作用が気になる場合は、薬剤の種類や用量の調整で対応可能です。

副作用

頻度

対処法

不正出血

開始後1〜3か月に多い

持続する場合は投与法の変更

乳房の張り・痛み

比較的多い

用量の減量で改善することが多い

頭痛

時々

経皮剤への変更を検討

むくみ

まれ

減塩・利尿作用のある食品で対応

乳がんリスクとHRT|エビデンスに基づく最新の見解

WHI(Women's Health Initiative)研究によると、EP併用療法を5年以上継続した場合の乳がんリスク上昇は1,000人あたり年間1人未満の増加であり、アルコール摂取や肥満による影響と同程度とされています。

リスクを正しく理解するためのポイント

  • 5年未満の使用では乳がんリスクの有意な上昇は認められていない
  • エストロゲン単独療法(子宮摘出後)はむしろリスク低下の報告もある
  • HRT中止後、リスクは速やかに通常レベルに戻る
  • 定期的な乳がん検診(マンモグラフィ)との併用が推奨される

日本産科婦人科学会は「更年期症状が強い場合、HRTのベネフィットはリスクを上回る」と見解を示しています。

HRTを受けられないケース|禁忌と注意が必要な方

乳がんの既往がある方、原因不明の不正出血がある方、重度の肝疾患がある方、血栓塞栓症の既往がある方などはHRTの禁忌に該当します。治療開始前に医師による詳細な問診と検査が必要です。

開始前に必要な検査

  • 血液検査(ホルモン値、肝機能、脂質プロファイル)
  • 乳がん検診(マンモグラフィ)
  • 子宮がん検診(子宮頸部・体部)
  • 骨密度測定(必要に応じて)

HRTに関するよくある質問

Q. HRTはいつから始められますか?

A. 更年期症状が出始めた時点で開始できます。閉経後10年以内、または60歳未満での開始が推奨されています。

Q. HRTはどのくらいの期間続けますか?

A. 症状の改善状況を見ながら通常5年程度を目安としますが、個人の状態に応じて医師と相談のうえ継続期間を決めます。

Q. HRT中に妊娠する可能性はありますか?

A. HRTは避妊を目的とした治療ではありません。閉経前後で排卵の可能性がある場合、避妊が必要です。

Q. 漢方薬とHRTは併用できますか?

A. 併用可能です。加味逍遙散や当帰芍薬散などの漢方薬とHRTを組み合わせることもあります。

Q. HRTで太ることはありますか?

A. HRT自体が直接的に体重増加を引き起こすという明確なエビデンスはありません。むくみが一時的に生じる場合はあります。

まとめ|更年期症状がつらい方はHRTの相談を

ホルモン補充療法(HRT)は、更年期症状を効果的に改善できる治療法です。乳がんリスクへの不安から治療を躊躇する方もいますが、5年未満の使用であればリスク上昇はわずかであり、定期検診と組み合わせることで安全に治療を受けられます。症状がつらい場合は、一人で我慢せず婦人科で相談してみてください。

💡 更年期の症状にお悩みの方へ

当院ではHRTの適応を判断するための検査・カウンセリングを行っています。お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/14更新:2026/5/4