
「HRTを始めたい」と思っても、最初の一歩で迷う方は多い。どの診療科に行けばいい?初診でどんな検査をするの?処方まで何回通院が必要?——この記事では、HRT開始の全体像を「受診前→初診→検査→処方」のステップで整理する。
この記事のポイント
- HRTは婦人科・産婦人科・更年期外来で処方を受けられる
- 初診から処方まで通常2〜3回の受診が目安
- 必要な検査は血液検査(ホルモン・肝機能)+乳房検診+子宮頸がん検診
ステップ1:受診する診療科と医療機関の選び方
HRTを処方できるのは婦人科・産婦人科・更年期専門外来・一部の内科だ。近年は「更年期外来」「女性外来」を設ける医療機関が増えており、待ち時間が少なく相談しやすい環境が整ってきている。かかりつけ医がいれば紹介状を依頼するのも一つの方法で、専門医へのスムーズな引き継ぎが期待できる。
医療機関を選ぶ際の確認ポイント
- 更年期外来・女性外来の設置があるか
- 経皮製剤(ジェル・パッチ)と経口製剤の両方を扱っているか
- 乳房検診(マンモグラフィーまたは超音波)を院内または連携施設で実施できるか
- 定期的な経過観察が可能か(月1〜3か月ごとの通院)
ステップ2:初診前に準備するもの
初診をスムーズに進めるため、事前に以下を準備しておくと診察が効率よく進む。
- 最終月経の時期と月経の変化の記録(不規則・減少・閉経の時期)
- 現在の症状リスト(ホットフラッシュ・不眠・気分変動など、頻度と強度も)
- 現在服用中の薬・サプリメントのリスト
- 過去の婦人科疾患・乳房疾患・血栓症の既往
- 直系家族(母・姉妹)の乳がん・子宮体がん歴
ステップ3:初診でおこなわれること
初診では問診・身体診察・検査指示がメインで、この日に処方が出るケースは少ない。
問診の内容
月経歴・閉経の時期・症状の種類と持続期間・既往歴・家族歴・喫煙や血栓リスクの確認が行われる。簡更年期指数(SMI)などのスコアリングシートを使用する医療機関もある。
身体診察
体重・血圧測定のほか、子宮・卵巣の触診が行われることがある。乳房の視触診を初診で実施する医療機関もある。
ステップ4:HRT開始前に必要な検査一覧
検査 | 目的 | タイミング |
|---|---|---|
血液検査(FSH・LH・E2) | 閉経の確認・ホルモン基準値の把握 | 初診時 |
血液検査(肝機能・脂質・血糖) | 経口製剤使用前の肝機能確認 | 初診時 |
血液検査(凝固系) | 血栓リスク評価(血栓既往者) | 必要時 |
子宮頸がん検診 | 頸がんの除外 | 初診〜2回目 |
子宮体がん検診(内膜細胞診) | 体がんリスク評価(出血症状ある場合) | 必要時 |
乳房検診(マンモグラフィー or 超音波) | 乳がんの除外 | 開始前 |
経膣超音波(子宮・卵巣) | 子宮筋腫・卵巣嚢腫の確認 | 初診〜2回目 |
ステップ5:処方されるまでの流れとスケジュール
一般的には初診で検査を行い、結果が出る2回目の診察(1〜2週間後)に治療方針を決定して処方が始まる。まれに初診で処方される場合もあるが、検査結果を確認してからスタートするのが安全だ。
標準的な受診スケジュール
- 1回目(初診):問診・身体診察・血液検査・経膣超音波
- 2回目(1〜2週間後):検査結果確認・乳房検診結果確認・処方開始
- 3回目(開始1か月後):副作用・症状の確認・用量調整
- 以降:3か月ごと→安定したら6か月〜年1回の定期通院
ステップ6:処方される製剤の種類と選択の考え方
HRTに使われる製剤は大きく「経口薬」と「経皮薬(パッチ・ジェル)」に分かれる。子宮がある方はエストロゲンに加えて黄体ホルモン(プロゲスチンまたは天然型プロゲステロン)を一緒に使うことが必須だ。
- 経口薬:飲み慣れていて使いやすい。胃腸症状がある方は不向きなことも
- パッチ:3〜4日ごとの貼り替え。肝機能への影響が少ない
- ジェル:毎日塗布。用量調整しやすく、皮膚刺激が少ない
費用の目安
保険診療でHRTを受ける場合の自己負担目安(3割負担)は月3,000〜8,000円程度だ。製剤の種類や処方日数によって異なる。乳房検診・子宮がん検診は自費または健康保険の定期検診として受けることができる。
よくある質問(FAQ)
Q. 閉経確定前でも(まだ生理がある状態で)HRTを受けられますか?
A. 受けられます。月経不順・更年期症状がある場合は閉経前でもHRTの対象になります。その場合は月経との関係を考慮した製剤選択が必要です。
Q. 婦人科と更年期外来、どちらに行くべきですか?
A. 更年期外来があれば更年期専門の知識を持つ医師に相談できます。近くにない場合は一般婦人科でも対応可能です。
Q. 初診でいきなりHRTを希望すると伝えて大丈夫ですか?
A. 問題ありません。「更年期症状でHRTを検討したい」と率直に伝えると診察がスムーズです。
Q. 乳がん検診は必ず受けないといけませんか?
A. HRT開始前の乳房検診は強く推奨されています。乳がんの有無を確認してから開始するのが安全です。
Q. オンライン診療でHRTの処方を受けることはできますか?
A. 初診時の検査が難しいため、初診は対面が原則です。ただし経過観察の処方更新はオンライン診療に対応している医療機関もあります。
まとめ
HRTの始め方は「婦人科・更年期外来への受診→検査→処方」の3段階で、通常2〜3回の受診で処方が始まる。検査は血液検査・乳房検診・子宮頸がん検診が基本セットで、これらをクリアしてから製剤選択・開始となる。受診前に自分の症状・月経歴・家族歴をまとめておくと初診がスムーズに進む。
※本記事は医療情報の提供を目的としており、個別の治療方針は担当医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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