
9価HPVワクチン(シルガード9)は、従来の2価・4価ワクチンに比べてカバーするHPV型数が大幅に増え、子宮頸がんを引き起こす原因の約90%に対応できるワクチンです。接種対象・費用・副反応・従来品との違いを詳しく解説します。
この記事のポイント
- シルガード9は9種類のHPV型(6・11・16・18・31・33・45・52・58)に対応。子宮頸がんリスクの約90%を防げると報告されている
- 日本では2023年4月から定期接種(無料)の対象。小学6年〜高校1年相当の女子が対象
- 従来の4価・2価ワクチン接種者もシルガード9へのキャッチアップ(追加接種)を検討できる
シルガード9(9価HPVワクチン)とは
シルガード9(Silgard9 / Gardasil9)は、MSD社が開発した9価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンです。2023年4月から日本の定期予防接種に追加され、これまでの2価(サーバリックス)・4価(ガーダシル)に代わって主流となっています。
9価ワクチンが防ぐHPV型
HPV型 | 主なリスク |
|---|---|
HPV16・18型 | 子宮頸がんの原因の約70% |
HPV31・33・45・52・58型 | 9価ワクチンで新たに追加した5型。子宮頸がんの追加15〜20%をカバー |
HPV6・11型 | 尖圭コンジローマ(性器いぼ) |
合計で、子宮頸がんリスクの約90%をカバーするとされています(国立がん研究センター等の報告より)。
従来ワクチン(2価・4価)との比較
9価ワクチンの最大の違いはカバーするHPV型数の拡大です。2価・4価で対応できなかったHPV31・33・45・52・58型をカバーすることで、子宮頸がんの予防率が70%から約90%に向上します。
ワクチン名 | 製品名 | 対応HPV型 | 子宮頸がん予防率の目安 | 接種回数 |
|---|---|---|---|---|
2価(二価) | サーバリックス | 16・18型 | 約70% | 3回 |
4価(四価) | ガーダシル | 6・11・16・18型 | 約70%(がん予防) | 3回 |
9価(九価) | シルガード9 | 6・11・16・18・31・33・45・52・58型 | 約90% | 2〜3回 |
接種回数の違い
シルガード9は初回接種が15歳未満であれば2回接種(0・6ヶ月)で完了します。15歳以上の初回接種では3回(0・2・6ヶ月)が必要です。2価・4価は原則3回でした。
定期接種の対象と費用
2023年4月から、シルガード9は日本の定期予防接種(無料)の対象となりました。定期接種の対象は小学校6年生〜高校1年生相当の女子(12〜16歳)です。
定期接種スケジュール
- 対象:小学校6年生〜高校1年生相当(12〜16歳)の女子
- 費用:定期接種は無料(自治体が費用負担)
- 接種回数:15歳未満の初回接種は2回、15歳以上は3回
キャッチアップ接種(2025年3月まで)
2013〜2021年度に定期接種を受けられなかった1997〜2006年度生まれの女性を対象に、2022年4月〜2025年3月の期間でキャッチアップ接種(無料)が実施されていました。期間終了後は自費接種となります。
自費接種の費用目安
- シルガード9の自費接種費用:1回あたり約2〜3万円(3回で6〜9万円)
- クリニックによって価格差があるため、複数施設への確認を推奨
副反応と安全性
シルガード9の主な副反応は注射部位の痛み・赤み・腫れです。重篤な副反応(アナフィラキシー・CRPS様症状)は極めてまれですが、接種後20〜30分は医療機関内で安静にすることが推奨されます。
頻度の高い副反応
- 注射部位の痛み・赤み・腫れ:非常に多い(80〜90%以上)
- 頭痛・倦怠感:やや多い(10〜40%)
- 発熱(37.5度以上):比較的少ない(〜10%)
- 立ちくらみ・失神(迷走神経反射):接種後まれに起こる。立ち上がり時に注意
安全性に関する国際的な評価
WHO(世界保健機関)・EMA(欧州医薬品庁)・厚生労働省のいずれもシルガード9の有効性と安全性を認めており、接種継続を推奨しています。過去の4価ワクチンの積極的勧奨中止時(2013〜2022年)の経緯を踏まえ、現在は副反応モニタリングを強化しながら接種が進められています。
すでに2価・4価を接種した人の対応
2価(サーバリックス)または4価(ガーダシル)の接種を完了した方も、シルガード9を追加接種することで9型のHPVに対する予防効果を得られる可能性があります。ただし効果・接種のタイミング・自費負担などの条件があるため、かかりつけの婦人科に相談することが推奨されます。
- 定期接種の範囲外(自費接種)になることが多い
- 2価・4価接種後どのくらい間隔を空けるかは医師の判断による
- すでにHPVに感染している型に対しては予防効果はない
HPVワクチン接種後も子宮頸がん検診が必要な理由
シルガード9は子宮頸がんの原因の約90%をカバーしますが、残り10%のHPV型や、接種前にすでに感染していた場合はワクチンでは防げません。接種後も定期的な子宮頸がん検診(細胞診)を続けることが重要です。
- 日本産科婦人科学会は「接種後も2年に1回の子宮頸がん検診の受診を推奨」
- 性交渉経験のある女性は早めの検診開始が望ましい
- 20歳以上を対象とした自治体の子宮頸がん検診(無料・2年に1回)を活用する
よくある質問(FAQ)
Q. 性交渉経験がある場合でもHPVワクチンの効果はありますか?
A. あります。HPVは複数の型があり、まだ感染していない型への予防効果は期待できます。ただし、すでに感染している型の治療効果はありません。性交渉経験の有無にかかわらず、未接種の方は接種を検討する価値があります。
Q. 男性もHPVワクチンを接種できますか?
A. 日本では2023年度から男子も定期接種の対象に加わりました。男性への接種は咽頭がん・肛門がん・尖圭コンジローマの予防に有効とされています。
Q. 妊娠中・授乳中でも接種できますか?
A. 妊娠中は接種を推奨しません(安全性データが不十分)。授乳中については有害な影響は報告されていませんが、接種前に産婦人科医に相談することが推奨されます。
Q. キャッチアップ接種の期間が終わった後は?
A. キャッチアップ接種(2025年3月終了)後は自費接種のみとなります。1回2〜3万円の費用がかかります。接種を検討している方は早めに婦人科に相談してください。
Q. ワクチンを接種した後はいつから子宮頸がん検診を受けるべきですか?
A. 性交渉経験のある女性は20歳からの定期検診開始が推奨されています。ワクチン接種の有無にかかわらず、2年に1回の検診を継続してください。
まとめ
9価HPVワクチン(シルガード9)は従来の2価・4価に比べて子宮頸がん予防率が大幅に向上しました。2023年から定期接種に追加され、対象の方は無料で接種できます。ただしワクチンはすべての型を防げるわけではなく、接種後も子宮頸がん検診の継続が不可欠です。
接種を検討している方・すでに従来品を接種した方は、まず婦人科に相談して最新の情報を確認しましょう。
※本記事は医療情報の提供を目的としており、特定のワクチン・医療機関を推奨するものではありません。接種の判断は必ず医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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