
市販のホルモンクリームには「ホルモンクリーム」と呼ばれるものの、実際にはホルモンを含まない製品がほとんどです。ホルモン(エストロゲン等)を含む外用剤は医療用医薬品であり、処方箋なしに購入することは日本では認められていません。
市販ホルモンクリームとは何か
日本の市場で「ホルモンクリーム」「女性ホルモンクリーム」として販売されている製品の多くは、以下のいずれかです。
- 植物性エストロゲン(フィトエストロゲン)含有クリーム:大豆イソフラボン・プエラリア・ザクロ等を含む。実際の女性ホルモンは含まない
- 保湿・スキンケアクリーム:コラーゲン・ヒアルロン酸等を含む美容クリームで、「ホルモンケア」を謳う
- プロゲステロンクリーム(海外製):天然プロゲステロンをヤムイモ等から合成したクリーム。日本での販売は規制対象
日本では医薬品の有効成分(エストロゲン・プロゲステロン等)を含む製品は医療用医薬品として分類され、医師の処方が必要です。薬局で処方箋なしに購入できる「市販のホルモンクリーム」は、法的にはホルモンを含まないはずです。
ヒメロスについて
「ヒメロス」は婦人科向けとして販売されていた製品ですが、現在の流通・販売状況については医療機関・薬局にて確認が必要です。このカテゴリの製品は成分・濃度・製造元によって性質が大きく異なります。
- 植物成分由来のエストロゲン様物質を含む製品が多い
- 医薬品としての有効性・安全性の審査を受けていない(一般的な市販品の場合)
- 含有成分・濃度を自分で確認することが重要
処方薬としての外用ホルモン剤
医師の処方で使用される外用ホルモン剤には、以下のような製品があります。
製品名 | 成分 | 主な適応 | 投与部位 |
|---|---|---|---|
ルティナスVS膣錠 | プロゲステロン | 黄体補充(不妊治療) | 膣内 |
ル・エストロジェル | エストラジオール | 更年期症状・骨粗鬆症予防 | 腕・腹部(経皮) |
ジュリナ(内服) | エストラジオール | 更年期障害・HRT | 内服 |
ディビゲル | エストラジオール | 更年期症状 | 腹部・大腿(経皮) |
これらは医師の診察・処方が必要な医療用医薬品です。自己判断での使用は効果の見込みが低く、副作用のリスクが生じます。
植物性エストロゲン含有クリームの実態
市販品で多い植物性エストロゲン(フィトエストロゲン)含有クリームについて、科学的に整理します。
大豆イソフラボン系クリーム
- エストロゲン受容体に弱く結合するが、体内のエストロゲンより作用は大幅に弱い(約1/1,000〜1/10,000)
- 経皮吸収によるエストロゲン様作用の有意な臨床効果はほぼ確立されていない
- 皮膚保湿・コラーゲン合成補助としての効果は期待できる場合がある
プエラリア・ミリフィカ含有クリーム
- 強いエストロゲン様作用を持つミロエストロールを含む
- 月経不順・不正出血・乳房痛・卵巣嚢腫の副作用報告あり
- 消費者庁が2017年に安全性に関する注意喚起を発出
- 使用は推奨しません
市販品使用のリスク
- ホルモン異常の根本原因が見落とされ、治療が遅れる可能性
- 成分・含有量が不明確な製品による予期しない副作用
- エストロゲン感受性のある腫瘍(乳がん等)がある場合のリスク増大
- 他の薬剤との相互作用(特にホルモン治療中)
- 海外個人輸入品はより不明確な安全性
産婦人科受診を優先すべき症状
以下の症状がある場合は、市販品で対処せず産婦人科を受診してください。
- 月経が3カ月以上来ない・不規則な出血がある
- ホットフラッシュ・発汗・動悸などの更年期症状が日常生活を妨げている
- 性交痛・膣乾燥が強い
- 40代以降の骨密度低下が気になる
よくある質問(FAQ)
Q. 市販のホルモンクリームを塗ると胸が大きくなりますか?
根拠のある効果はありません。「バストアップ」を謳う製品の多くはプエラリア・ミリフィカなどの植物成分を含みますが、バストサイズの有意な増大を示す信頼性の高いエビデンスはありません。プエラリアには重篤な副作用リスクがあります。
Q. 海外のプロゲステロンクリームは安全ですか?
日本に正規ルートで輸入・販売することは薬機法上禁止されています。個人輸入品は成分・含有量の品質管理が担保されておらず、安全性は保証できません。プロゲステロン補充が必要な場合(黄体機能不全・不妊治療等)は医師の処方を受けてください。
Q. 更年期症状の改善に塗るクリームは婦人科で処方されますか?
はい。ル・エストロジェルゲルやディビゲルなど、エストラジオールを含む経皮吸収型外用剤が更年期症状に処方されます。内服薬より胃腸への負担が少なく、血栓リスクが低いとされる利点があります。
Q. ホルモンクリームを塗ることで子宮内膜が厚くなることはありますか?
医薬品グレードのエストラジオール外用剤では、子宮内膜肥厚の可能性があります。このため、子宮を持つ女性がエストロゲン外用剤を使用する場合、子宮内膜を保護するためのプロゲステロン併用が通常推奨されます。市販の植物性成分クリームではこの作用は通常起きないとされています。
Q. 膣に直接塗るタイプのクリームはありますか?
エストリオール膣錠・クリーム(エストリール等)が更年期の萎縮性膣炎・膣乾燥に処方されます。局所への低用量エストロゲン投与で全身吸収が少なく、安全性が高いとされています。これらは医師の処方が必要です。
まとめ
日本の市販品として「ホルモンクリーム」と呼ばれる製品の多くは、実際には女性ホルモンを含みません。植物性エストロゲン含有製品は弱い効果しか期待できず、プエラリア含有品は副作用リスクがあります。更年期症状・月経異常・膣乾燥などでホルモン外用剤が必要な場合は、産婦人科で適切な医薬品の処方を受けることが最も安全で有効です。
免責事項:本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療を目的としたものではありません。個別の症状については必ず医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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