婦人科では、月経や更年期などの症状に漢方薬を使うことがあります。同じ症状でも適する薬が異なり、体型や「冷えがある」といった情報だけでは選べません。自然由来でも副作用や妊娠中の注意があるため、いまの症状、妊娠の可能性、使っている薬を伝えて選びます。
先に確認したい、相談の目安
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 初めて使う・市販薬を追加したい | 商品名と成分、ほかの薬を医師・薬剤師などに確認する。症状名だけで追加しない |
| 妊活中・妊娠の可能性がある・授乳中 | 服用前に相談する。処方によって注意が異なり、以前の処方を自分で再開しない |
| むくみ、脱力、筋肉の異常、血圧上昇など | 甘草を含む薬の副作用などの評価が必要なことがある。薬の一覧を持って早く相談する |
| 黄疸や強いだるさ、繰り返す腹痛・下痢・便秘など | 服用を続けて慣れるのを待たず、医療機関へ相談する。強い症状や急な悪化は急いで受診する |
| 症状が改善しない・悪化した | 全員2〜3か月待つのではなく、再診の時期を確認する。漫然と長く続けない |
代表的な3処方も、対象と注意が異なります
以下は、今回確認したツムラの医療用製品の電子添文にある対象の一部を整理したものです。自己選択の早見表ではありません。同じ処方名でも、メーカー・製品・医療用と一般用の説明を区別します。
| 処方名 | 添付文書にある対象の例と確認点 |
|---|---|
| 当帰芍薬散 | 疲れやすく腰脚が冷えやすいなどの状態で、月経不順・月経困難・更年期障害など。妊婦は有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ |
| 加味逍遙散 | 虚弱、肩こり、疲れやすさ、精神不安などを伴う月経不順・月経困難・更年期障害など。甘草・山梔子を含むことと、妊娠の可能性に注意 |
| 桂枝茯苓丸 | 比較的しっかりした体格や下腹部の抵抗などを踏まえ、月経不順・月経困難・更年期障害など。妊娠中・可能性がある場合の注意を確認 |
出典:PMDA:当帰芍薬散、PMDA:加味逍遙散、PMDA:桂枝茯苓丸(いずれも今回確認したツムラ医療用製品)。効能欄の掲載だけで、個人に効くことや妊娠・出産を保証するものではありません。
「証」は、体格だけの三択ではありません
添付文書は、証(体質・症状)を考慮し、経過を観察して使うよう求めています。やせ型なら当帰芍薬散、どちらでもなければ加味逍遙散、と単純には選びません。症状の起きる時期や経過、診察、胃腸の状態、ほかの病気なども含めて確認します。
月経痛、不正出血、不安などの原因を漢方の体質だけで決めず、必要な診療を受けます。痛みや出血が強い、急に悪化した場合は、漢方を試してから受診しようと待たないでください。
甘草の重複と、製品ごとの副作用に注意します
今回の加味逍遙散には甘草が含まれます。電子添文は、偽アルドステロン症や低カリウム血症に伴うミオパチーなどを挙げ、血圧や血清カリウムへの注意を求めています。芍薬甘草湯・補中益気湯・抑肝散などや、グリチルリチン酸を含む薬との重複も確認します。薬の種類が違っても、同じ生薬が重なることがあります。
加味逍遙散の山梔子を含む製剤の長期使用では、腸間膜静脈硬化症への注意もあります。腹痛・下痢・便秘・腹部膨満などが繰り返す場合は相談してください。添付文書に多くは5年以上とあっても、それ以前は安全、という境界ではありません。
肝機能の異常や胃腸症状・発疹などにも注意が必要です。当帰芍薬散・桂枝茯苓丸を含め、すべての漢方薬が甘草を含むわけではなく、必要な観察・検査も製品や状態によって異なります。副作用が疑われるときの服用の扱いは、その製品の指示と医療者に確認します。
妊娠中に使えるかは、処方ごとに確認します
今回確認した加味逍遙散・桂枝茯苓丸の電子添文は、妊婦または妊娠の可能性がある女性には投与しないことが望ましいとしています。当帰芍薬散は、有益性が危険性を上回ると判断される場合のみの投与です。「漢方なら妊娠中も安心」「当帰芍薬散なら誰でも使える」とはしません。
妊活中や授乳中も、いま使っているものを伝えてください。服用した事実だけで妊娠への影響を自己判定せず、製品・量・期間を処方元へ相談します。
飲み方・効果を見直す時期を、一律に決めません
今回の医療用3製品の通常成人量は、添付文書では1日量を2〜3回に分けて食前または食間に服用する内容です。ただし、量は年齢・体重・症状などで調整されます。自分の処方指示を確認し、全員1日3回や食後何分と決めません。お湯に溶かせば効果や吸収率が必ず上がる、という指示もここではしていません。
医療用3製品とも、症状・所見の改善が認められない場合は継続投与を避けるよう記載されています。市販の「ツムラ漢方加味逍遙散エキス顆粒」の説明では、1か月位でよくならない場合の中止・相談を案内しています。
薬ごとの説明と再診予定に従い、症状が強い場合はそれを待たず相談します。ツムラ:一般用加味逍遙散の用法と注意
市販薬・処方薬の違いと、費用の確認
上記の一般用加味逍遙散は成人1日2回、医療用の通常成人量とは1日量や説明が異なります。処方薬がすべて市販薬の2倍の成分で効果が高い、という比較はできません。購入・処方の区分だけで優劣を決めず、個々の成分量・対象・服用方法を確認します。
費用も全員月1,000〜2,000円とはいえません。保険診療での処方か自由診療か、日数、負担割合、診察・検査や薬局での費用を含めて確認します。ピルやほかの西洋薬との併用は一律に可とはせず、お薬手帳に市販薬・サプリも加えて相談してください。
出典と確認日
2026年10月26日に、PMDA掲載のツムラ医療用3製品の採用箇所と一般用加味逍遙散の公式説明を確認しました。各医療用電子添文は2023年12月改訂版です。すべての漢方製品の比較試験や、本記事の医師による個別監修は行っていません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。