月経の変化や更年期の不調が気になっても、特定の食べ物や飲み物でエストロゲンを狙いどおり増やせるとはいえません。「女性ホルモンを整える食品」の一覧から量を増やすより、食事が足りているか、不調について診療が必要かを確認しましょう。
食品の成分と、体内のホルモンは同じではない
大豆イソフラボンはエストロゲンの受容体に作用する成分ですが、体内で作られるエストロゲンそのものではありません。豆乳や納豆を増やせば血液中のエストロゲンが一定量上がる、という意味ではなく、ホルモン補充療法の代わりにもできません。
ざくろ、アボカド、生姜、ハーブティーなども、食べれば卵巣機能や月経が回復すると決めつけないでください。成分の働きや小規模な研究の説明だけでは、その食品で自分の症状が改善するかは判断できません。
大豆食品と、濃縮したサプリメントを分ける
豆腐や納豆などは、たんぱく質などを摂る食事の一部として使えます。女性ホルモンを増やす目的で同じ食品ばかりにせず、主食・主菜・副菜を組み合わせましょう。食品安全委員会も、イソフラボンの量だけではなく栄養のバランスに配慮するよう案内しています。
同委員会が示すイソフラボンの70〜75mg/日(アグリコン換算)は、安全性評価に基づく上限目安で、毎日摂るべき目標ではありません。特定保健用食品としての追加摂取の上限目安30mg/日も別にあり、「食品分にさらに75mg足してよい」という意味ではありません。
上限以下なら全員に問題がないという保証でもありません。
妊娠中や妊娠の可能性がある場合、日常の食生活に上乗せしてイソフラボンを濃縮した製品を摂ることは推奨されていません。通常の豆腐や納豆まで一律に避けるという案内ではありません。治療中にサプリメントを検討する場合は、成分と量がわかる表示を担当医・薬剤師へ見せてください。
食事を減らしすぎている場合は、量や運動も確認する
食事とホルモンの関係がないわけではありません。摂取エネルギーが足りず、運動などの消費に見合わない状態が、月経が止まる一因になることがあります。この場合、特定の食品を追加するだけでなく、食事の量・運動・体重の変化などを医療者と確認する必要があります。
米国内分泌学会の機能性視床下部性無月経の指針では、他の原因を除外したうえで、エネルギー不足を是正することが治療に含まれます。ただし、月経不順がすべて食事不足で起こるわけではなく、妊娠や甲状腺の病気なども確認対象です。体重だけで原因を決めたり、食品だけで受診を先延ばしにしたりしないでください。
普段の食事で見直しやすいこと
- 食事を抜く日が続いていないか、急に量を減らしていないかを振り返る
- ごはん・パンなどの主食、魚・肉・卵・豆類などの主菜、野菜などを組み合わせる
- 飲み物やサプリメントだけで食事を済ませていないかを確認する
- 食品の「ホルモン効果」より、無理なく食事を続けられる方法を考える
持病や食物アレルギー、医師からの食事指示がある場合は、それに合わせて相談してください。誰にでも同じ食品や個数を指定するものではありません。
妊娠の可能性がある場合の食品・飲み物
レバーを「ホルモンを増やす食品」として積極的に食べる方法は勧められません。食品安全委員会は、妊娠中の鶏・豚レバーはビタミンAが多いため、なるべく控えるよう案内しています。妊娠中は飲酒を避け、甘酒なども名称だけで決めず、アルコールを含むか表示を確認しましょう。
「天然」「植物由来」「ノンカフェイン」だけで、妊娠中のすべてのハーブや濃縮製品の安全性が確認されるわけではありません。複数の成分を含む製品や、成分・量が不明なものは、使用前に医師や薬剤師へ相談してください。
食事の工夫だけで様子を見ないほうがよいとき
月経が長く来ない、周期が大きく変わった、不正出血がある、ほてりや不眠などが生活の負担になる場合は、産婦人科へ相談できます。妊娠の可能性があれば、そのことを先に伝えてください。強い腹痛、大量の出血、失神しそうな状態などは、食事の調整を待たず速やかに医療機関へ連絡してください。
相談時は、最後の月経、周期の変化、食事・運動・体重の変化、使っている薬やサプリを整理すると伝えやすくなります。自分でホルモン不足と診断して、食品やサプリだけで治そうとしないことが大切です。
確認した資料
- 食品安全委員会:大豆・イソフラボンQ&A(働き、通常食品、上限、妊娠時の追加摂取)
- 米国内分泌学会:機能性視床下部性無月経の指針(2017年・評価とエネルギー不足への対応)
- 食品安全委員会:妊娠前からの食べ物・ビタミンA・飲酒
2026年10月23日に関連箇所を確認。食品の成分作用と、特定食品によるホルモン値・症状の改善を区別しています。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。