子宮内膜症では、手術後も症状や病変が再び現れることがあります。再発を防ぐ治療は、病変の場所、手術内容、痛み、妊娠を希望する時期などで考えます。全員に同じ薬を同じ期間使う、薬を飲めば再発しない、というものではありません。
術後の相談で分けて考えること
| 状況 | 確認すること |
|---|---|
| 今すぐの妊娠を希望しない | 痛みや病変の再発を抑える長期のホルモン治療を検討する。使える薬と副作用を確認 |
| 妊娠を希望している・時期を変えたい | 年齢、卵巣の状態、病変、ほかの不妊要因を踏まえ、薬の調整と妊娠への方針を相談 |
| 痛みや出血が戻った・薬がつらい | 自己増量や薬の追加をせず、再評価と別の治療を相談する |
| 再手術を勧められた | 目的・代替・負担と、卵巣への影響や妊娠希望を合わせて確認する |
長期の薬物療法は、対象と目的を確認します
ESHREの2022年の指針は、卵巣の子宮内膜症性嚢胞の術後で、すぐの妊娠を希望しない人に、病変や関連症状の再発を抑えるための長期のホルモン治療を勧めています。一方、深部子宮内膜症の再発予防は、根拠の確実性が低い、より弱い推奨として扱っています。
ホルモン配合剤、黄体ホルモン製剤、子宮内システムなどには、それぞれ目的・使い方・使えない条件があります。海外指針での選択肢と、日本の各製品の承認効能・用法は分けて確認します。薬の比較表の再発率だけで、全員に一つの薬を推奨しません。ESHRE:子宮内膜症指針・術後の再発予防
再発率は、同じ条件で比べます
「再発」は、痛みの再燃、超音波などで見える嚢胞、再手術など、研究により意味が異なります。対象の病変、観察期間、薬の継続なども違います。別々の条件から取った5年再発率を並べて、薬の優劣や自分の確率を決めることはできません。
長期使用できる場合も、「期間制限がないから安全」「10年以上でも重大な問題がない」と一律には説明できません。効果、出血などの副作用、持病や年齢の変化を確認しながら継続を考えます。
妊娠希望がある場合は、別の目的を相談します
ESHREは、妊娠率を上げることだけを目的として、妊娠を希望する人へ術後のホルモン抑制療法を処方することを勧めていません。今すぐ妊娠を試みない人に、痛みや再発への治療を行うこととは区別しています。
「薬を止めた後6か月〜1年が全員のゴールデンタイム」と考えて、自分で中止しないでください。自然妊娠を目指すか、不妊治療を考えるか、その時期を主治医と相談します。月経や排卵を抑える薬の治療効果と、避妊目的として使えるかも同じではないため、必要な避妊方法を確認してください。
検査の間隔は、一律の回数に決めません
ESHREは、最適な経過観察の頻度・方法が確立していないとして、過去と現在の治療、病気の程度、症状に応じて個別に考えるよう述べています。定期受診は主治医と決め、痛みの再燃、出血、排便・排尿の変化、薬の副作用などは予約日を待たず相談します。
急に強い腹痛が起きる、失神する、大量に出血するなどの場合は、いつもの内膜症の痛みと決めず、救急へ相談してください。妊娠の可能性も医療機関へ伝えます。
再発しても、直ちに再手術とは限りません
再発が疑われたら、症状・病変の再評価、薬の変更、手術などの選択を相談します。特に卵巣の手術では、卵巣予備能への影響も考える必要があります。嚢胞の大きさや病名だけで、再手術、体外受精、子宮や卵巣の摘出を自動的に選ぶものではありません。
何を改善したいか、治療を変えない場合はどうなるか、妊娠希望や生活への影響を含めて説明を受けます。薬の量を増やす・ほかの薬を足すなどは、自分で行わないでください。
食事や運動は、生活を支える工夫として
症状や生活の質を支える工夫は相談できますが、特定の食品・サプリメント・運動で再発を防げると保証できません。ESHREも、特定の非薬物療法の利益と不利益が不明な部分があるとしています。生活を変えても再発したことを、自分の努力不足のせいにしないでください。
薬や治療の疑問は、処方した医療機関・薬剤師へ相談してください。受診先を探す方は、地域から婦人科を探すをご利用ください。
出典と確認日
2026年10月27日にESHRE2022の再発予防、妊娠希望、経過観察・非薬物療法の採用節を確認しました。推奨の対象と根拠の違いを保持し、国内の薬剤の用法は処方元で確認する説明としています。本記事の個別の医師監修はありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。