デュファストンを飲んでも基礎体温が上がらないからといって、薬が効いていないとは判断できません。成分のジドロゲステロンは黄体ホルモンとして作用しますが、国内の添付文書には、基礎体温の上昇作用がないことが記載されています。「高温期を作るため、体温が上がるまで増やす」という使い方はしないでください。
薬を使う目的、始める日・終了する日と量を確認し、体温や市販の妊娠検査の結果だけで中止・追加しないことが大切です。
黄体ホルモン作用と、体温を上げる作用は同じではない
デュファストンはジドロゲステロンを含む飲み薬です。黄体機能不全による不妊症、生殖補助医療での黄体補充、月経周期の異常等、複数の目的で処方されます。体温を一定の高さへ調整することだけを目的とした薬ではありません。
添付文書の「基礎体温に及ぼす作用」は、投与中の観察で上昇作用が認められていないと説明しています。黄体ホルモンに似た作用があるから、本人の基礎体温が必ず上がる、という言い換えはできません。
高温期の日数やP4一つで、原因を決めない
基礎体温は測定条件などの影響も受けます。記録は診察の材料になりえますが、一日の低下、高温期の日数、低温期との差だけで、黄体機能不全や流産・妊娠を自分で診断することはできません。
ASRMの不妊評価の見解も、基礎体温は精度・負担の限界があり、血液のプロゲステロン値一つで黄体期の質を評価できないとしています。全員に「P4が10ng/mL以上」「内膜8mm以上」を合格条件として当てはめないでください。
妊娠を確認する検査は、使う製品・治療施設の指示日に行います。高温が続くことも、薬をやめて体温が下がることも、それだけで妊娠や治療の成否を確定するものではありません。
同じ薬でも、処方目的で用量と時期が異なる
| 処方の目的 | 確認すること |
|---|---|
| 黄体機能不全による不妊症など | 生殖補助医療の黄体補充と、添付文書の用量区分が同じではない。今回の目的と量を確認する。 |
| 生殖補助医療の黄体補充 | 新鮮胚移植・自然周期・ホルモン補充周期で開始・継続期間の説明が異なる。処方元の日程に従う。 |
| 調節卵巣刺激下の早発排卵の防止 | 承認された別の使用目的もある。「デュファストンはすべて排卵後だけに使う」と決めない。 |
| 月経周期の調整など | ほかのホルモン剤を含む計画の場合もある。別の人の処方回数・日数を使わない。 |
添付文書には、例えば生殖補助医療の黄体補充として通常1回10mgを1日3回という用法があります。一方、別の目的には異なる用量が記載されています。「誰でも1回5mgを14日間」という共通表で、自分の量を変更しないでください。指示が分からない場合は医師・薬剤師へ確認します。
飲み忘れたときと、気になる症状があるとき
患者ガイドは、気付いたときに1回分を飲み、次の飲む時間が近い場合は1回とばして次の時間に1回分と説明しています。2回分を一度に飲まないでください。「近い」の判断などに迷う場合は、最後の服用と次の予定時刻を薬剤師へ伝えて確認しましょう。
電子添文には、眠気・めまい、頭痛、吐き気等の消化器症状、発疹、出血、肝機能異常などが記載されています。天然に近いから副作用が少ないと決めず、気になる症状を相談してください。眠気等があるときは運転など危険な作業を避けます。
出血や痛みも薬の影響だけとは限りません。特に強い腹痛、大量出血、失神しそう、意識や呼吸の異常などでは、次の予約を待たず診察を求め、緊急時は119へ連絡してください。
別の黄体補充薬へ自己判断で替えない
ウトロゲスタン等のプロゲステロン腟剤と、デュファストンの内服は、成分や使い方が異なります。国内のウトロゲスタン腟用カプセルを口から飲むことはできません。体温が上がらないから腟剤・注射を追加する、旅行のため飲み薬へ替えるといった変更は、担当医へ相談してください。
相談するときは、体温の記録に加え、処方の目的、実際に飲めた日時、出血や痛み、ほかの薬を伝えると、確認する内容を共有しやすくなります。
確認した資料
初回確認は2026年10月24日。不妊評価のASRM資料は2026年版を10月25日に照合しました。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。