
ジエノゲスト(ディナゲスト)とは
ジエノゲスト(商品名:ディナゲスト)は、子宮内膜症の治療に特化した黄体ホルモン製剤で、エストロゲン成分を含まないため血栓リスクが低く、長期使用が可能な標準治療薬です。
2008年に日本で承認され、子宮内膜症治療における第一選択薬のひとつとして広く使用されています。1日2mg(1mg×2回)を連続服用することで、子宮内膜症病巣を萎縮させます。
効果とメカニズム
ジエノゲストは排卵を抑制し、子宮内膜の増殖を抑え、内膜症病巣のアポトーシス(細胞死)を促進することで、痛みの軽減と病巣の縮小をもたらします。
作用 | 効果 |
|---|---|
排卵抑制 | 月経の停止→月経痛の消失 |
子宮内膜の萎縮 | 内膜症病巣の縮小 |
抗炎症作用 | 骨盤内の炎症軽減→慢性疼痛の改善 |
血管新生抑制 | 内膜症組織への血液供給を減少 |
GnRHアゴニストとの違い
- GnRHアゴニスト:エストロゲンを閉経レベルまで低下→骨密度低下のため最長6か月
- ジエノゲスト:エストロゲンを「やや低い」レベルに維持→骨密度への影響が少なく長期使用可能
副作用と対処法
ジエノゲストの最も多い副作用は不正出血(約70〜80%)で、とくに服用開始1〜3か月に多く見られますが、継続することで徐々に減少します。
副作用 | 頻度 | 発現時期 | 対処法 |
|---|---|---|---|
不正出血 | 70〜80% | 開始1〜3か月 | 継続で軽減、止血剤併用も |
頭痛 | 10〜15% | 開始初期 | 鎮痛薬で対応 |
ほてり・発汗 | 5〜10% | — | 軽度なら経過観察 |
気分の落ち込み | 5%前後 | — | 主治医に相談、必要なら変更 |
体重増加 | 5%前後 | — | 食事・運動で管理 |
骨密度低下 | わずか | 長期使用時 | 定期検査(年1回程度) |
不正出血は最も悩まされる副作用ですが、6か月以降は約60%の方で出血が消失または軽微になります。
服用方法と注意点
1回1mg(1錠)を1日2回、朝夕に毎日服用します。月経周期2〜5日目に開始するのが一般的で、飲み忘れた場合は気づいた時点で服用してください。
- 用法:1mg×2回/日(朝夕)、食事に関係なく服用可能
- 開始日:月経2〜5日目が原則
- 飲み忘れ:気づいた時点で1回分を服用、2回分を同時に飲まない
- 避妊効果:排卵を抑制するが、確実な避妊薬として設計されていないため別途避妊が必要
長期使用の安全性
ジエノゲストは5年以上の長期投与の安全性データがあり、国内外のガイドラインで長期治療薬として推奨されています。ただし、骨密度の定期チェックが推奨されます。
- 国内臨床試験で52週間の連続投与の安全性が確認
- 海外では5年以上の長期投与データが蓄積
- GnRHアゴニスト(6か月制限)と異なり、期間制限なし
- 骨密度:わずかな低下は認められるが臨床的に問題となるレベルではないとの報告
- 年1回の骨密度検査と定期的な血液検査が推奨
ジエノゲストが適している方
子宮内膜症による月経痛・慢性骨盤痛がある方、内膜症の術後再発予防が必要な方、GnRHアゴニストの使用期限に達した方にジエノゲストは適しています。
- 子宮内膜症と確定診断されている方
- 低用量ピルで効果不十分な方
- 40歳以上で血栓リスクのため低用量ピルが使えない方
- 内膜症手術後の再発予防
- チョコレート嚢胞の縮小目的
他の治療法との比較
ジエノゲストは低用量ピル・GnRHアゴニストと並ぶ子宮内膜症薬物療法の柱であり、長期使用の安全性で優位性があります。
治療法 | 痛み軽減 | 使用期間 | 主な副作用 | 費用(月額) |
|---|---|---|---|---|
ジエノゲスト | ◎ | 制限なし | 不正出血 | 約3,000〜5,000円(3割) |
低用量ピル(LEP) | ○ | 制限なし | 血栓リスク | 約2,000〜3,000円(3割) |
GnRHアゴニスト | ◎ | 最長6か月 | 骨密度低下、更年期様症状 | 約15,000〜20,000円(3割) |
GnRHアンタゴニスト | ◎ | 経口で長期可 | ホットフラッシュ | 約8,000〜10,000円(3割) |
よくある質問(FAQ)
Q. ジエノゲスト服用中に妊娠することはありますか?
排卵が抑制されるため妊娠の可能性は低いですが、100%ではありません。妊娠を望まない場合はバリア法の併用が推奨されます。
Q. 不正出血がひどくて続けられません。どうすればいいですか?
開始3か月は様子を見ることが推奨されますが、出血量が多い場合はトラネキサム酸の併用や一時的な中断が検討されます。主治医に相談してください。
Q. ジエノゲストを中止したらすぐに妊娠できますか?
中止後1〜3か月で排卵が回復する方がほとんどです。妊活開始のタイミングは主治医と相談しましょう。
Q. 保険は適用されますか?
子宮内膜症の診断がある場合、保険適用で処方されます。3割負担で月額約3,000〜5,000円です。
Q. ジエノゲストとピルはどちらがいいですか?
年齢・血栓リスク・症状の重さで判断します。40歳以上や血栓リスクがある方はジエノゲスト、避妊効果も求める方はピルが適しています。
まとめ
ジエノゲスト(ディナゲスト)は子宮内膜症の長期治療に最適な薬剤です。不正出血は最大の課題ですが、継続で改善する方がほとんどです。血栓リスクなく長期使用できる点は大きなメリットであり、術後の再発予防にも有効です。治療の選択に迷ったら、婦人科専門医にご相談ください。
子宮内膜症の治療についてのご相談は、当院の婦人科外来で承ります。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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