
カバサール(一般名:カベルゴリン)は、高プロラクチン血症の治療に使用されるドパミン受容体作動薬です。週1〜2回の服用でプロラクチン値を正常化し、月経不順・不妊・性機能低下などの症状を改善します。同系統の薬テルグリドに代わり広く使われています。
カバサール(カベルゴリン)とは
カバサールは下垂体からのプロラクチン分泌を抑制するドパミン受容体(D2)作動薬です。プロラクチンは通常、授乳中に高値を示しますが、非妊娠・非授乳時にも高値を示す「高プロラクチン血症」は月経不順・無月経・不妊の主な原因の一つです。
- 一般名:カベルゴリン(cabergoline)
- 商品名:カバサール
- 製造販売元:ファルマシア(現在ファイザー)・アステラス製薬
- 薬効分類:エルゴリン系ドパミン受容体作動薬
- 用法・用量:週1〜2回の経口投与(0.25mg〜2mg/週)
- 半減期:約65時間(週1〜2回服用が可能な理由)
高プロラクチン血症とは
プロラクチン(PRL)は下垂体前葉から分泌され、乳腺発達・乳汁産生を促すホルモンです。非妊娠・非授乳時の基準値は女性では概ね3〜30ng/mLとされていますが、施設によって異なります。
高プロラクチン血症の原因 | 主な例 |
|---|---|
機能性(特発性) | 原因不明(最多)。ストレスや甲状腺機能低下症に伴う場合も |
薬剤性 | 抗精神病薬・制吐薬(メトクロプラミド等)・H2ブロッカー・降圧薬など |
下垂体腺腫 | プロラクチノーマ(プロラクチン産生下垂体腺腫):最も多い下垂体腫瘍 |
甲状腺機能低下症 | TSRHがプロラクチン分泌を刺激 |
腎不全・肝障害 | プロラクチンのクリアランス低下 |
高プロラクチン血症の症状
- 月経不順・無月経(プロラクチンがGnRH分泌を抑制しLH・FSHを低下させる)
- 排卵障害・不妊
- 乳汁漏出(非妊娠・非授乳時の乳汁分泌)
- 性欲低下
- プロラクチノーマが大きい場合:頭痛・視野障害(視交叉圧迫)
- 長期的骨密度低下(エストロゲン低下に伴う)
カベルゴリンの作用機序
カベルゴリンは下垂体のラクトトロフ(プロラクチン産生細胞)のD2受容体に選択的に結合します。ドパミンはプロラクチン分泌の主要な抑制因子であり、カベルゴリンがD2受容体を刺激することで、プロラクチン産生・分泌を強力かつ持続的に抑制します。
- 半減期が長い(約65時間)→週1〜2回の服用で効果が持続
- 同系統の旧薬テルグリド(ブロモクリプチン)より効果が強く副作用が少ない
- プロラクチノーマ(腫瘍)の縮小効果も期待できる
臨床効果
- プロラクチン正常化率:高プロラクチン血症患者の80〜95%で正常化(ブロモクリプチンの65〜80%より高い)
- 月経再来・排卵回復:プロラクチン正常化とほぼ同時に月経・排卵が回復
- 妊娠率:不妊を主訴とする高プロラクチン血症患者でカベルゴリン使用後の妊娠率70〜85%(報告によって異なる)
- プロラクチノーマの縮小:マクロアデノーマ(10mm以上)でも50〜80%で縮小が報告されている
用法・用量
- 開始用量:0.25mgを週2回、または0.5mgを週1回
- 増量:4週ごとに0.5mg/週ずつ増量。最大3mg/週
- 服用タイミング:食事中または食直後(空腹時は吐き気が増す)
- プロラクチン正常化後:用量を最低有効量に減量し維持療法
- 妊娠希望時:妊娠が確認されたら中止(医師の指示に従う)
副作用
- 吐き気・嘔吐(10〜15%):服用開始初期に多い。食事とともに服用・就寝前服用で軽減
- 頭痛・めまい
- 便秘・腹部不快感
- 起立性低血圧:特に開始初期
- 衝動制御障害(まれ):病的な賭博・過食・性欲亢進等が報告(高用量で多い)
- 心臓弁膜症(まれ・高用量長期使用):パーキンソン病治療に用いる高用量(3mg/日以上)で報告。婦人科用量(最大3mg/週)では通常問題とならない
妊活・妊娠中の注意
- 妊娠希望の場合、プロラクチン正常化・排卵回復後にタイミング法・人工授精を行う
- 妊娠が確認されたら通常は中止(催奇形性を示すデータは現時点でないが、不必要な胎児曝露を避ける目的)
- プロラクチノーマが大きい場合(マクロアデノーマ)は妊娠中も継続が必要な場合があり、個別に判断
- 授乳中は乳汁分泌に影響するため使用不可
よくある質問(FAQ)
Q. カバサールを飲み始めてどのくらいでプロラクチン値は下がりますか?
通常、開始後2〜4週間でプロラクチン値の低下が確認でき、多くの場合1〜3カ月で正常範囲に入ります。月経の再来は通常プロラクチン正常化後1〜3カ月以内です。
Q. プロラクチン値が正常になったら薬を止めていいですか?
医師の指示なしに自己判断で中止しないでください。正常化後も維持療法として服用を継続することが多いです。機能性高プロラクチン血症では徐々に減薬・中止を試みることもありますが、プロラクチノーマでは再増大のリスクがあります。
Q. カバサールとテルグリドの違いは何ですか?
テルグリド(ブロモクリプチン)は旧世代のドパミン作動薬で、効果がカベルゴリンより弱く副作用(特に吐き気)が多い。現在は多くの施設でカベルゴリンが第一選択となっています。
Q. 甲状腺機能低下症があるとプロラクチンが上がるのはなぜですか?
甲状腺機能低下症ではTRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)が過剰分泌され、このTRHがプロラクチン分泌も刺激するためです。甲状腺機能低下症を治療するとプロラクチンが正常化することがあります。プロラクチン高値の場合は甲状腺機能検査も確認が必要です。
Q. カバサールで妊娠した場合、胎児への影響はありますか?
これまでの研究では、カベルゴリン服用中に妊娠した場合の先天異常率増加は確認されていませんが、妊娠確認後は通常中止されます。プロラクチノーマが大きい場合は妊娠中の継続が必要な場合もあり、産婦人科医・内分泌科医と相談してください。
まとめ
カバサール(カベルゴリン)は高プロラクチン血症の標準治療薬で、プロラクチン正常化率80〜95%という高い有効性を持ちます。月経不順・不妊を主訴とする高プロラクチン血症の女性では、投薬により多くの場合月経・排卵が回復し、妊娠が可能となります。副作用は旧世代薬より少なく忍容性が高いですが、長期使用や高用量では定期的なモニタリングが必要です。高プロラクチン血症の疑いがある場合は産婦人科または内分泌内科へ受診してください。
免責事項:本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療を目的としたものではありません。個別の症状については必ず医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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