【この記事のポイント】
- PGT-Aは体外受精で得た受精卵の染色体数異常を移植前に調べる検査。妊娠率向上・流産率低下に寄与
- 2025年9月から学会が対象を拡大し、35歳以上なら誰でも受けられるように
- 費用は受精卵1個7万円+保険診療の体外受精費用。先進医療として保険併用可能
「PGT-Aって何?」「受けるべき?」——PGT-Aは体外受精成功率に大きく影響する技術で、2025年に対象が拡大されました。本記事では仕組み・適応・費用・リスクを整理します。
PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)とは
体外受精・顕微授精で得られた受精卵(胚)の染色体数の過不足を、移植前に調べる検査です。染色体数に異常がある胚は流産・着床不全の原因となるため、検査で正常胚を選別することで:
妊娠率向上流産率低下採卵周期あたりの効率改善
が期待できます。
PGT-Aの適応条件(2025年9月拡大後)
日本産科婦人科学会は2025年9月に対象拡大を発表。
新基準(2025年9月以降)
以下のいずれかに該当:
- 女性年齢が35歳以上
- 反復着床不全(過去に複数回の体外受精で妊娠未成立)
- 反復流産(2回以上の流産歴)
- 染色体構造異常の保因者(パートナー含む)
「35歳以上」の追加により、対象患者が大幅に拡大しました。
旧基準
- 反復着床不全
- 反復流産
- 染色体構造異常保因者
PGT-Aの流れ
Step 1: 体外受精・顕微授精で受精卵作成
↓
Step 2: 胚盤胞(5〜6日目)まで培養
↓
Step 3: 胚から数細胞を採取(生検)
↓
Step 4: 染色体数を検査(次世代シーケンサー)
↓
Step 5: 結果報告(1〜2週間後)
↓
Step 6: 正常胚のみを子宮に移植胚は採取後に凍結保存し、検査結果を待ってから融解・移植します。
PGT-Aの効果
妊娠率
- 1回の胚移植あたりの妊娠率向上
- 特に高齢患者で効果顕著
- 胚移植1回あたり50〜70%の妊娠率(年齢・条件依存)
流産率低下
- 染色体異常胚を移植しないため流産リスク減少
- 流産率を半分以下に抑える効果報告も
累積妊娠率
- 採卵あたりの累積妊娠率も向上
- 不要な移植・流産を避けることで時間短縮
検査結果の分類
結果 | 意味 | 対応 |
|---|---|---|
正常胚(ユープロイド) | 染色体数正常 | 移植可能 |
モザイク胚 | 一部の細胞に異常 | 慎重に移植検討 |
異常胚(アヌプロイド) | 染色体数異常 | 移植不可 |
モザイク胚は条件次第で移植検討可能。医師と相談して判断します。
費用
PGT-A自体
- 胚1個あたり: 7万円(税別)程度
- 検査胚数で総額変動
体外受精費用
- 保険診療: 3割負担で約10〜15万円/周期
- 先進医療として保険併用可能
費用シミュレーション
#### 例: 38歳・採卵で胚盤胞5個・PGT-A実施
- 採卵・凍結保存: 約12万円(保険3割)
- PGT-A検査: 7万円 × 5 = 35万円(自費・先進医療)
- 胚移植: 約5万円(保険3割)
- 合計: 約52万円
#### 高額療養費・確定申告 保険診療部分は高額療養費の対象。先進医療部分は医療費控除対象。
PGT-Aのリスク・限界
検査リスク
- 胚生検時の胚へのダメージ(極小だが0ではない)
- 凍結融解による影響
検査精度
- 検出感度99%程度
- 偽陽性: 正常胚を異常と判定するケース
- 偽陰性: 異常胚を正常と判定するケース
倫理的論点
- 「望ましい胚の選別」への倫理的議論
- 性別判定は禁止
- 微小欠失等は対象外
限界
- 単一遺伝子疾患は対象外(別途PGT-Mが必要)
- すべての流産・着床不全を防げるわけではない
- 胚自体が少ない場合は検査メリットが減る
「受けるべきか」の判断軸
受ける価値が高いケース
- 35歳以上(妊娠率改善大)
- 反復流産(流産予防効果大)
- 反復着床不全
- 良好胚が多数得られる見込み
慎重に判断するケース
- 採卵で得られる胚が少ない(検査対象不足)
- 経済的負担が大きい
- 倫理的に抵抗がある
- 35歳未満で初回体外受精
医師と十分に相談して決定してください。
PGT-Aを行う施設
PGT-Aは日本産科婦人科学会の認定施設で実施。すべての不妊クリニックで受けられるわけではありません。
認定施設の特徴
- 学会基準を満たす設備・人員
- 遺伝カウンセリング体制
- 臨床遺伝専門医の関与
通院しているクリニックがPGT-A未対応の場合、紹介状で認定施設へ転院するケースもあります。
FAQ
Q1. PGT-Aを受ければ100%妊娠できますか?
A. 100%ではありません。子宮の状態・移植後の着床等、卵子以外の要因が妊娠成立に影響します。
Q2. 検査で胚は傷つきませんか?
A. 胚生検技術は確立されており、影響は極小です。胚盤胞の段階で行うため胚への影響は限定的とされます。
Q3. 性別はわかりますか?
A. 日本では性別判定は禁止されており、性別の通知はありません。
Q4. モザイク胚は移植できますか?
A. 条件次第で移植検討可能。健康な児が生まれる例もあります。医師と相談して判断。
Q5. 30代前半でもPGT-Aを受ける意味は?
A. 反復流産・着床不全がなければ、メリットとデメリットのバランスが微妙です。35歳以上で効果が顕著です。
まとめ
PGT-Aは妊娠率向上・流産率低下に有効な技術で、2025年から対象が35歳以上に拡大されました。費用・倫理的考慮を踏まえ、医師と相談して受けるかを決定してください。
次のステップ
免責事項: 個別治療は医師にご相談ください。 監修: PLACEHOLDER 最終更新日: 2026-05-15 参考文献: 日本産科婦人科学会、JISART
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EggLink編集部
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