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続発性(後天性)男性不妊の原因

2026/4/19

続発性(後天性)男性不妊の原因

続発性(後天性)男性不妊とは、過去に正常な精子産生機能があったにもかかわらず、後から生じた原因により精子の質・量が低下した状態をいいます。先天性不妊と異なり、原因の多くは「特定・除去・改善」が可能です。本記事では、後天性男性不妊の主な原因を整理し、それぞれの改善策と受診の目安を解説します。

この記事のポイント

  • 後天性男性不妊の主な原因は精索静脈瘤・感染症(精巣炎)・生活習慣(肥満・喫煙・熱暴露)・内分泌障害・薬剤・外傷など
  • 精索静脈瘤は後天性男性不妊原因の第1位(不妊男性の35〜40%)で、外科的手術により精液パラメータが改善する可能性がある
  • 後天性の原因は多くが特定・対処可能。原因究明を先行させることが、治療の最短経路になる

後天性男性不妊の主な原因一覧

後天性男性不妊の原因は、精巣(造精機能)に直接影響するものと、ホルモン調節系や精路に影響するものに大別されます。

原因カテゴリ

代表的な疾患・状態

頻度・重要度

精索静脈瘤

精巣静脈の逆流拡張

最多(不妊男性の35〜40%)

感染症

ムンプス精巣炎、クラミジア・淋菌性精巣上体炎

中程度

生活習慣・環境因子

肥満、喫煙、過度の飲酒、熱暴露(長時間の入浴・サウナ)

見落とされやすいが改善可能

内分泌障害

高プロラクチン血症、後天性低ゴナドトロピン血症、甲状腺機能異常

治療反応性が高い

薬剤・化学療法

ステロイド、テストステロン補充、抗がん剤、一部の降圧薬

原因として見落としやすい

外傷・手術後

精巣外傷、鼠径ヘルニア手術後精管閉塞

状況依存

免疫・抗精子抗体

精巣外傷・精路手術後の抗精子抗体産生

稀だが見逃しやすい

精索静脈瘤——後天性男性不妊の第1位

精索静脈瘤は、精巣から戻る静脈(精索静脈)が逆流・拡張した状態で、精巣周囲温度を上昇させ、酸化ストレスを増加させることで精子産生を障害します。

精索静脈瘤の特徴

  • 左側に多い(約90%)
  • 外来診察で触診・超音波検査で診断できる
  • 自覚症状は「精巣の重だるさ・鈍痛」程度で気づかないケースも多い
  • 不妊男性の35〜40%、男性全体の約15%に存在する

治療(精索静脈瘤手術)の効果

顕微鏡下精索静脈瘤高位結紮術(micro-TESE)または腹腔鏡手術により、精液パラメータが改善するエビデンスがあります。

手術後の変化

期待できる改善割合

精子数の増加

約60〜70%の患者で改善

精子運動率の改善

約50〜60%で改善

自然妊娠率の向上

術後2年以内で約30〜40%

DNA断片化指数の低下

有意な改善が報告されている

感染症——精巣炎・精巣上体炎

性感染症(クラミジア・淋菌)や、おたふく風邪ウイルスによる精巣炎は、精細管・精巣上体を炎症により障害します。

性感染症(クラミジア・淋菌)の影響

  • クラミジア・淋菌による精巣上体炎は、治療が遅れると精路(精管・精巣上体)の閉塞につながる
  • 閉塞性無精子症の原因になりうる
  • 早期の抗菌薬治療が精路閉塞を防ぐ
  • パートナーにも感染している可能性があるため、同時治療が必要

ムンプス精巣炎

  • 思春期以降のおたふく風邪感染で20〜30%に合併
  • 片側性では自然妊娠が可能なことが多いが、両側性では無精子症リスクが高い
  • 感染後3〜6ヶ月以降に精液検査が推奨される

生活習慣・環境因子——今すぐ変えられること

生活習慣に起因する精子障害は、改善することで精子の質が回復する可能性があります。

喫煙の影響

  • 喫煙男性は非喫煙者と比べて精子濃度が約13〜17%低く、運動率も有意に低い(WHO精液基準値データ)
  • 活性酸素(ROS)産生を増加させ、精子DNA断片化を促進する
  • 禁煙3〜6ヶ月後から精子パラメータの改善が期待できる

熱暴露(長時間の高温浴・サウナ・デスクワーク)

  • 精巣温度が1℃上昇するごとに精子形成効率が約14%低下するという研究データがある
  • 毎日40℃以上の長時間入浴・サウナは精子数の一時的な低下をもたらす可能性がある
  • 長時間のデスクワーク・ノートPC膝上使用・タイトなパンツも温度上昇のリスク因子

アルコール・薬物

  • 大量飲酒(純アルコール換算で週140g以上)は、テストステロン産生を低下させ精子の形態異常を増加させる
  • 大麻(マリファナ)は精子運動率の低下と形態異常の増加が報告されている
  • アナボリックステロイド(筋肉増強目的)はLH・FSHを強力に抑制し、無精子症を引き起こすことがある(中止後回復に数ヶ月〜1年以上かかる)

後天性の内分泌障害

ホルモン異常が後天的に生じることで精子産生が障害されるケースがあります。

高プロラクチン血症

  • 下垂体腺腫・薬剤(一部の抗精神病薬・胃薬)などが原因でプロラクチンが過剰に分泌されると、LH・FSHを抑制し精子産生が低下する
  • 血液検査でプロラクチン値を測定することで診断可能
  • 下垂体腺腫が原因の場合はカベルゴリンなどのドーパミンアゴニストで治療できる

甲状腺機能異常

  • 甲状腺機能低下症・亢進症ともに精子の運動率・形態に悪影響を与えることがある
  • 甲状腺機能を適切にコントロールすることで精子パラメータの改善が期待できる

薬剤性の精子障害——見落とされやすい原因

既に服用中の薬剤が精子に悪影響を与えているケースがあります。

  • テストステロン製剤・アナボリックステロイド:ゴナドトロピン分泌を強力に抑制。無精子症の原因になる
  • スルファサラジン(潰瘍性大腸炎治療薬):精子運動率を著しく低下させる。メサラジンへの変更で改善することが多い
  • 一部の抗てんかん薬・カルシウム拮抗薬:精子機能に影響する可能性がある
  • 化学療法・放射線:精子産生を一時的または永続的に障害する(詳細は別記事参照)

よくある質問(FAQ)

Q. 精索静脈瘤の手術を受けると必ず精子が改善しますか?

手術後、約60〜70%の患者で精液パラメータの改善が見られます。ただし全員が改善するわけではなく、精巣の基礎機能や年齢・静脈瘤の重症度によって効果が異なります。手術の適応(不妊と静脈瘤の因果関係)については担当医と相談のうえ判断することが重要です。

Q. 生活習慣を改善すれば精子は必ず良くなりますか?

禁煙・適正体重の維持・熱暴露の回避などは精子の質改善に有効なエビデンスがあります。ただし、精索静脈瘤や染色体異常など別の原因が同時に存在する場合は生活改善だけでは不十分なことがあります。精液検査で現状を確認し、医師と相談しながら総合的に対処することが大切です。

Q. 性感染症(クラミジア)に感染しましたが治療しました。精子への影響は残りますか?

早期に適切な抗菌薬治療を受けた場合、精路の閉塞は起こりにくいとされています。ただし、治療が遅れた場合や重症化した場合は精巣上体炎が慢性化し、精路に瘢痕(線維化)が残ることがあります。精液検査で精子パラメータを確認することをお勧めします。

Q. 筋トレ用のプロテインやサプリで精子への影響はありますか?

一般的なプロテイン(ホエイ・ソイなど)は精子への悪影響を示す確立したエビデンスはありません。問題はアナボリックステロイド(筋肉増強目的のホルモン薬)で、これはLH・FSHを強力に抑制し無精子症を引き起こすことがあります。使用中の場合は担当医に相談してください。

Q. 受診前に自分でできることはありますか?

受診前にできる生活習慣の改善として:禁煙・アルコール制限(週140g未満)・適正体重の維持・長時間の高温浴・サウナの回避・適度な有酸素運動・十分な睡眠が挙げられます。ただし効果確認には最低3ヶ月かかります。受診と並行して取り組むことが最も効率的です。

まとめ

後天性(続発性)男性不妊の原因は多様ですが、多くが特定・改善可能です。

  • 精索静脈瘤は最も多い原因(不妊男性の35〜40%)で、手術により精液パラメータが改善することがある
  • 感染症(ムンプス・クラミジアなど)は早期治療が精路障害を防ぐ鍵
  • 喫煙・肥満・熱暴露・大量飲酒などの生活習慣は改善することで精子の質が回復しうる
  • 薬剤(アナボリックステロイドなど)が知らずに原因になっているケースもある
  • 原因を特定するためには精液検査・ホルモン検査・精巣超音波検査が基本

次のステップへ

後天性男性不妊の原因調査を受けたい方は、泌尿器科(男性不妊外来)または不妊専門クリニックへのご相談をお勧めします。精液検査・ホルモン検査・超音波検査の組み合わせで原因を特定し、的確な治療プランを立てることが妊活の近道です。

※本記事は医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状や治療については必ず専門医にご相談ください。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2