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射精管閉塞の原因と治療

2026/4/19

射精管閉塞の原因と治療

射精管閉塞(EJD閉塞)は、精子を精嚢から尿道へ運ぶ「射精管」が詰まることで発症する閉塞性無精子症のひとつです。男性不妊全体の約1〜5%を占め、精路の手術的開通によって自然妊娠が期待できる数少ない治療可能な男性不妊疾患です。

【この記事のポイント】

  • 射精管閉塞の原因・診断方法(経直腸超音波・精管造影)
  • 経尿道的射精管切開術(TUIED)の成功率と合併症
  • 手術適応外の場合の代替治療(精子採取+ICSI)

射精管閉塞とはどういう状態か

射精管は左右それぞれ約2cmの細い管で、前立腺内を通って尿道に開口します。この管が炎症・結石・嚢胞・手術後の瘢痕などで詰まると、精液量は減少し、精液中の精子・フルクトース・酸性フォスファターゼが欠如します。

主な原因

原因

特徴

頻度

前立腺小嚢胞(Müllerian管嚢胞)

先天性・前立腺正中部の嚢胞が射精管を圧迫

最多

射精管結石

精液成分の石灰化・開口部の閉塞

中頻度

炎症後瘢痕

前立腺炎・精嚢炎の後遺症

中頻度

手術後瘢痕

前立腺手術・骨盤手術の合併症

低頻度

症状と気づくきっかけ

射精管閉塞の多くは無症状で、精液検査による無精子症・乏精子症の発見が最初のきっかけです。一部の患者では以下の症状を伴います。

  • 射精時・射精後の骨盤・会陰部痛(慢性骨盤痛症候群との鑑別が必要)
  • 精液量の著明な減少(通常1mL以下)
  • 血精液症(まれ)

診断方法

射精管閉塞の診断には、精液検査・血液検査・画像検査を組み合わせます。経直腸超音波(TRUS)が最も重要な診断ツールで、精嚢拡張(幅15mm以上)や射精管内の結石・嚢胞を確認できます。

診断基準(典型例)

  • 精液量:1mL以下
  • 精液pH:酸性(精嚢液のフルクトース欠如)
  • 無精子症(または重症乏精子症)
  • 血清FSH:正常範囲(精巣機能は正常)
  • TRUS:精嚢拡張 and/or 射精管の嚢胞・石灰化

精管造影の役割: TRUSで閉塞が疑われる場合、確定診断に「精管造影(vasography)」を行うことがあります。造影剤を精管から注入して閉塞部位を特定します。ただし侵襲的なため、手術直前に行うことが多いです。

経尿道的射精管切開術(TUIED)

射精管閉塞の標準手術治療はTUIED(経尿道的射精管切開術)です。膀胱鏡を尿道から挿入し、前立腺内の射精管開口部付近を切開・開通させます。

TUIED の成績

指標

成功率・数値

精液中への精子出現(手術成功)

65〜85%

自然妊娠達成率

20〜30%

ICSIを含む妊娠率

40〜50%

主な合併症

逆行性射精(5〜15%)、再閉塞、尿路感染

手術のリスクと対策

  • 逆行性射精(5〜15%):精液が膀胱へ逆流する合併症。妊娠を目指す場合は尿中精子の回収が必要
  • 再閉塞:術後1〜2年以内の再閉塞が約20〜30%に起こりうる
  • 尿路感染・前立腺炎:術後の抗菌薬投与で予防

手術不適応・手術失敗時の代替治療

TUIED の適応がない場合、または手術後に再閉塞が起きた場合は、精子採取(PESA/TESE)+顕微授精(ICSI)が選択肢になります。閉塞性無精子症であるため精子回収率は高く(85〜95%)、ICSIの成績は妻の年齢に依存しますが概ね良好です。

治療費の目安

  • TRUS検査:保険適用で5,000〜1万5,000円程度
  • TUIED(手術):保険適用(約3割負担)で10〜20万円程度
  • PESA:保険適用(不妊治療保険化後)で外来なら1〜3万円程度
  • ICSI 1周期:保険適用で15〜30万円程度(自己負担3割)

よくある質問(FAQ)

Q. 射精管閉塞は薬で治りますか?

炎症が原因の初期段階では、抗菌薬・抗炎症薬で改善する可能性がありますが、確立した瘢痕や嚢胞による閉塞は薬物療法のみでの改善は困難です。手術(TUIED)が標準治療です。

Q. TUIEDを受けた後、どのくらいで妊娠を試みられますか?

術後1〜3ヵ月で精液検査を再検し、精子が確認できれば自然妊娠を試みられます。精子の質が低い場合やパートナーの年齢を考慮してICSIに進む場合もあります。

Q. 前立腺小嚢胞が原因の場合、嚢胞を摘出する手術は必要ですか?

TUIED(切開術)で嚢胞との交通を作ることで、嚢胞の完全摘出なしに射精管の開通が得られます。嚢胞の完全摘出は技術的に難しく、通常は行いません。

Q. 片側性の射精管閉塞でも不妊になりますか?

片側のみの閉塞であれば、もう片方の精管から精子が射出されるため不妊にはなりません。ただし精液量減少・精子濃度低下が見られる場合は精子輸送路全体の評価が必要です。

Q. Y染色体微小欠失や染色体異常と組み合わさることはありますか?

閉塞性無精子症はY染色体微小欠失を合併することは少ないですが、念のため診断時にY染色体検査・染色体核型検査も実施することが推奨されます。

まとめ

射精管閉塞は、TUIED(経尿道的射精管切開術)によって65〜85%で精路が開通し、自然妊娠の可能性が生まれる数少ない「治せる」男性不妊疾患です。精液量減少・無精子症・骨盤痛の組み合わせがあれば、泌尿器科(男性不妊専門)への受診とTRUS検査を早期に受けることが重要です。手術が難しい場合でも、PESA+ICSIで妊娠が期待できます。

次のステップ
精液検査で精液量減少・無精子症を指摘された方は、男性不妊専門の泌尿器科を受診してTRUS・ホルモン検査を受けてください。射精管閉塞は早期発見・早期治療で自然妊娠の可能性が高まります。

【免責事項】本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状や治療については必ず担当医にご相談ください。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新の医学知見と異なる場合があります。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2