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精子生存率検査|ヘマトキシリン・エオジン染色

2026/4/19

精子生存率検査|ヘマトキシリン・エオジン染色

(情報取得日:2026年5月2日)精子生存率検査(viabilityテスト)は、精液中の生きている精子の割合を確認する検査です。運動しない精子がすべて死滅しているわけではなく、逆に運動していても細胞膜が損傷した精子がいる場合もあります。この記事では、検査の目的・方法・結果の解釈・受診の流れを医学的根拠に基づいて解説します。

この記事のポイント(要約)

項目

内容

検査の目的

生存精子の割合を測定し、不動精子の原因を鑑別する

WHO 2021年正常値

生存率54%以上

主な染色法

エオシン-ニグロシン法(死細胞染色)

低生存率の主な原因

精巣・精巣上体の機能障害、酸化ストレス

臨床的意義

ICSI(顕微授精)の適応判断に重要

精子生存率検査とは何か

精子生存率(viability)とは、精液中の生存精子(細胞膜が完全な精子)の割合です。精子が「運動しているかどうか」と「生きているかどうか」は別の問題であり、次の4パターンが存在します。

パターン

状態

臨床的意義

運動あり・生存

正常な精子

受精能あり

不動・生存

線毛不動症候群(PCD)等の可能性

ICSI適応

不動・死滅

精子壊死症(necrozoospermia)

精巣上体機能障害等

運動あり・膜損傷

酸化ストレス等による膜障害

DNA断片化リスク

特に「運動率は0%だが生存率は高い」という結果は、線毛不動症候群(PCD)の疑いを示し、適切な鑑別診断につながります。

検査方法:エオシン-ニグロシン染色とHOSテスト

精子生存率の測定には主に2種類の方法が使われます。

  • エオシン-ニグロシン染色(Eosin-Nigrosin):死滅した精子の細胞膜はエオシン(赤色)を取り込むため、赤色に染まった精子=死滅、白(染まらない)精子=生存と判定します。WHOが推奨する標準的手法です。
  • 低浸透圧膨張試験(HOS test):低浸透圧液に精子を浸すと、生存精子の尾部が膨張します。染色試薬を使わないため、ICSI用精子の生死確認(熱感受性テストと組み合わせ)にも活用されます。

なお、ヘマトキシリン・エオジン(HE染色)は主に精子形態の評価(形態正常率測定)に使われる染色法で、生存率測定とは目的が異なります。

正常値と異常の判断基準

WHO 2021年版精液分析マニュアルでは、精子生存率の下限基準値を54%と定めています。

生存率

評価

臨床的意義

54%以上

正常範囲

通常、生存率は問題なし

54%未満

低値(精子壊死症の疑い)

詳細検査・原因検索が必要

運動率0%・生存率高値

線毛不動症候群疑い

電子顕微鏡検査等を追加

生存率の低下は、精巣上体での精子成熟過程の障害、生殖器感染症、または高度の酸化ストレスと関連することが多いです。

低生存率の主な原因

精子生存率が低下する原因は多岐にわたりますが、大きく分けると以下の通りです。

  • 精巣上体障害:精子が精巣上体に長期滞留すると細胞膜が損傷する
  • 精巣静脈瘤(バリコセール):精巣の温度上昇が酸化ストレスを増加させる
  • 生殖器感染症:白血球精子症(WBC増加)による酸化ストレス
  • 線毛不動症候群(PCD):精子の鞭毛構造の先天的異常(不動だが生存)
  • 精索静脈瘤後の酸化ダメージ:活性酸素種(ROS)による膜脂質の過酸化
  • 禁欲期間の長期化:7日超の禁欲で精子の老化・死滅が進む

受診・検査の流れと費用の目安

精子生存率検査は精液検査の一部として実施されます。泌尿器科・男性不妊専門外来で受診し、自宅採精した精液を持参します。

検査・治療

費用目安

保険適用

精液検査(基本)

3,000〜5,000円

一部適用

精子生存率(viability)検査

5,000〜1万円

自費(クリニックによる)

ROS・酸化ストレス検査

1〜2万円

自費

精索静脈瘤手術

20〜40万円

保険適用

顕微授精(ICSI)

30〜60万円/回

保険適用(要件あり)

※2022年4月より不妊治療の保険適用が拡大されています。費用はクリニックによって異なりますので、事前に確認してください。

受診時のポイント

精子生存率検査を受ける前に準備すべきことと、医師に伝えるべき情報を整理します。

  • 禁欲期間:2〜7日間が推奨(長すぎると死精子が増加する傾向)
  • 採取から検査まで:1時間以内が理想(時間が長いほど生存率は低下)
  • 問診で伝えること:性感染症の既往、精巣の手術・外傷歴、長期服用薬(特に抗生剤・免疫抑制剤)
  • 生活習慣の見直し:喫煙・過度の飲酒・長時間のデスクワーク(陰部の温度上昇)は改善を検討
  • 検査の繰り返し:1回の結果で判断せず2〜3回の検査を推奨

アクセス・受診先の探し方

精子生存率検査を含む詳細な精液分析は、すべての泌尿器科で実施しているわけではありません。男性不妊に特化した施設を選ぶことが重要です。

  • 日本生殖医学会「生殖医療専門医」在籍施設を選ぶ
  • 「精子DNA断片化検査」「精子機能検査」対応と明記している施設が理想
  • 不妊治療専門クリニックの泌尿器科部門も選択肢
  • 女性パートナーの通院クリニックと同系列または連携施設だと情報共有がスムーズ

よくある質問(FAQ)

Q1. 生存率が低くても顕微授精(ICSI)で妊娠できますか?

生存精子が1つでも採取できればICSIに使用できます。特に精子壊死症(necrozoospermia)では精巣内精子採取術(TESE)と組み合わせることで妊娠例が報告されています。

Q2. 線毛不動症候群(PCD)と診断されたらどうなりますか?

PCDは精子の尾部構造の先天的異常で、運動率は0%に近いですが生存率は正常であることが多いです。ICSIによって妊娠が可能なケースがあります。呼吸器症状(慢性気管支炎・気管支拡張症)を合併することがあるため、呼吸器科との連携も重要です。

Q3. 生存率を改善するために自分でできることはありますか?

禁欲期間の短縮(2〜5日程度に調整)、禁煙、アルコール制限、陰部の過熱を避ける(長風呂・サウナ・ノートPCを膝に置くことを控える)などが精子生存率の改善に寄与する可能性があります。ただし改善には3〜4ヶ月(精子の成熟サイクル)が必要です。

Q4. 精子生存率検査は保険適用になりますか?

基本的な精液検査は保険適用の場合がありますが、詳細な精子機能検査(生存率・ROS測定等)は自費となるクリニックが多いです。事前に確認してください。

Q5. 何歳から精子生存率が低下し始めますか?

精子の質(濃度・運動率・生存率)は40代以降で緩やかに低下する傾向があります。ただし個人差が大きく、生活習慣の影響も大きいため、年齢だけで判断することはできません。

まとめ

精子生存率検査は、不動精子の原因を鑑別し(死滅 vs. 運動障害)、顕微授精(ICSI)の適応判断に重要な検査です。WHO基準の正常値は54%以上で、低下の原因には精巣上体障害・線毛不動症候群・酸化ストレスなどがあります。精液検査で運動率が極めて低い場合は、生存率の測定を併せて依頼することで、より適切な治療方針の選択につながります。妊活中で精液検査に不安がある方は、早めに泌尿器科・男性不妊専門外来に相談してください。

【免責事項】本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。症状・治療の判断は必ず医師にご相談ください。掲載情報は2026年5月時点のものです。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2