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精液中の白血球(膿精液症)|感染症のサイン

2026/4/19

精液中の白血球(膿精液症)|感染症のサイン

精液中に白血球が増える「膿精液症」とは何か

精液中の白血球(白血球精液症・膿精液症)は、WHO基準で1mLあたり100万個以上(または1×10⁶/mL以上)の白血球が検出された状態を指します。精液に白血球が多い場合、生殖器系の感染症・炎症が背景にある可能性があり、不妊の原因になり得るため精査が必要です。ただし、白血球増多が必ずしも感染症を意味するわけではなく、原因を正確に特定することが重要です。

早めに受診を検討すべき状態

  • 精液中に白血球が多いと精液検査で指摘された
  • 陰部・鼠径部・前立腺周辺に痛みや違和感がある
  • 排尿時の痛み・頻尿・残尿感がある
  • 精液の色が黄色みを帯びていたり、膿のような臭いがある

精液中の白血球増多:考えられる原因一覧

精液中に白血球が増える原因は多岐にわたります。最も重要なのは感染症・炎症ですが、それ以外の要因も存在します。

原因

詳細

緊急度

細菌性前立腺炎(急性・慢性)

前立腺への細菌感染。大腸菌・クレブシエラ等が多い

高(急性)〜中(慢性)

精巣上体炎(副睾丸炎)

淋菌・クラミジア・大腸菌による精巣上体の炎症

尿道炎

クラミジア・淋菌が主因。無症状例も多い

中〜高

精嚢炎

前立腺炎に続発することが多い

性感染症(STI)

クラミジア・淋病・マイコプラズマ等

中〜高

非感染性炎症

自己免疫・アレルギー反応。原因菌が検出されない場合

低〜中

生活習慣・環境因子

長時間の坐位・サウナ・過度のアルコール摂取など

感染症が疑われるサイン(レッドフラッグ)

以下の症状がある場合は、速やかに泌尿器科を受診してください。

  • 発熱(38℃以上)+会陰部・陰嚢の強い痛み:急性精巣上体炎・急性前立腺炎の可能性。抗菌薬治療が急務です
  • 陰嚢の腫脹・発赤・熱感:精巣捻転との鑑別も必要なため緊急受診が必要
  • 尿道からの膿性分泌物:淋菌感染症のサイン。パートナーへの検査・治療も必要
  • 排尿困難・急性尿閉:急性前立腺炎の重篤な症状

慢性前立腺炎の場合は、会陰部・下腹部の鈍痛・不快感、頻尿・排尿痛など比較的軽微な症状が続くことが多く、気づきにくい場合があります。

膿精液症が男性不妊に与える影響

白血球が増加した精液は、精子にどのような影響を与えるのでしょうか。

活性酸素種(ROS)による精子障害

白血球(特に好中球・マクロファージ)は活性化すると活性酸素種(ROS)を大量に産生します。過剰なROSは精子DNA損傷・精子運動率の低下・受精能力の低下を引き起こします。精子DNA断片化指数(DFI)が上昇している場合、体外受精・顕微授精の成功率にも影響します。

精子運動率・形態への影響

研究データでは、膿精液症がある男性は精子前進運動率・総精子数・正常形態精子率のいずれかが低下している傾向が報告されています(ただし、必ずしも全例で低下するわけではありません)。

診断の流れ:どんな検査をするのか

精液中の白血球増多が指摘された場合の標準的な検査の流れを示します。

  1. 精液検査の再確認:WHOマニュアル(第6版)基準での白血球数定量。ペルオキシダーゼ染色(白血球と未熟精子の区別)
  2. 尿検査・尿培養:細菌感染の有無・起因菌の特定
  3. 精液培養:精液中の細菌・真菌の検出
  4. STI検査:クラミジア・淋菌(尿または尿道拭い液のPCR検査)
  5. 直腸診・前立腺超音波:前立腺炎・膿瘍の確認
  6. 精液ROSスコア・DFI検査:精子への酸化ストレスの評価(必要に応じて)

治療の選択肢

原因に応じた治療が行われます。

原因

主な治療

治療期間目安

細菌性前立腺炎(急性)

キノロン系・テトラサイクリン系抗菌薬

2〜4週間

慢性前立腺炎

抗菌薬+α1ブロッカー・植物エキス製剤

1〜3ヶ月

精巣上体炎

抗菌薬(病原菌に応じて選択)+安静・鎮痛

2〜4週間

クラミジア・淋菌

アジスロマイシン・セフトリアキソン等(パートナーも同時治療)

1〜2週間

非感染性炎症

抗酸化サプリメント(ビタミンE・C・CoQ10)・生活習慣改善

3〜6ヶ月

治療後は精液再検査(通常3ヶ月後)で白血球数・精子パラメータの改善を確認します。

様子を見ていいケースと、急いで受診すべきケース

経過観察が可能(低緊急度)

  • 精液検査で白血球がわずかに高い(100万個/mL前後)が無症状の場合
  • 生活習慣改善(禁煙・禁酒・坐位時間短縮)で改善が期待できる場合
  • 不妊治療中で精子パラメータ自体は正常範囲の場合

すぐに受診が必要(中〜高緊急度)

  • 発熱+会陰部・陰嚢の痛みがある
  • 白血球数が著しく多い(500万個/mL以上)
  • 精子運動率が著しく低下している
  • 不妊治療中でARTを繰り返しても結果が出ない

よくある質問(FAQ)

Q. 膿精液症があると自然妊娠は難しいですか?

A. 必ずしも不可能ではありませんが、精子DNA損傷・精子運動率低下を伴う場合は妊娠率が低下する可能性があります。原因を治療した後に精液が改善し、自然妊娠した例も多数あります。

Q. パートナーへの感染リスクはありますか?

A. クラミジア・淋菌など性感染症が原因の場合は、パートナーへの感染リスクがあります。必ずパートナーも同時に検査・治療を受けることが重要です。

Q. 精液培養で細菌が検出されなかった場合は?

A. 細菌が検出されなくても白血球が多い場合、非細菌性前立腺炎・骨盤内炎症・自己免疫反応が疑われます。抗酸化療法・生活習慣改善を中心に対応します。

Q. 治療後、精子は元に戻りますか?

A. 原因となった感染症・炎症が治癒すれば、精子パラメータが改善することが多いです。ただし慢性的な炎症が長期間続いた場合は完全な回復が難しいケースもあります。

まとめ

精液中の白血球増多(膿精液症)は、感染症のサインである可能性があり、男性不妊に関係する重要な所見です。急性前立腺炎・精巣上体炎は放置すると精巣機能に恒久的なダメージを与える可能性があるため、発熱・強い陰嚢痛がある場合は迷わず受診してください。

無症状で精液検査で指摘された場合も、泌尿器科専門医に相談し、原因精査と適切な治療を受けることで精液質の改善が期待できます。不妊治療を検討している場合は、パートナーと一緒に受診することが最も効果的です。

免責事項
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、診断・治療の代替となるものではありません。症状がある場合は必ず泌尿器科・不妊治療専門医を受診してください。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2