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停留精巣(陰睾)と不妊|治療の重要性

2026/4/19

停留精巣(陰睾)と不妊|治療の重要性

停留精巣(停留睾丸・陰睾)は、精巣が正常な位置(陰嚢内)に下降しないまま生まれる状態で、男性不妊の重要な原因の一つです。生後6〜12ヶ月以内に自然下降しない場合、早期(2歳以前)の精巣固定術が不妊リスクを低減するうえで重要とされています。本記事では、停留精巣が不妊につながるメカニズムと、治療のタイミング・不妊治療の選択肢を解説します。

この記事のポイント

  • 停留精巣は、体温より2〜4℃高い腹腔内温度が精子産生を阻害することで男性不妊につながる
  • 精巣固定術(オーキドペクシー)は2歳以前の早期実施が推奨される。治療が遅れるほど精子産生能の回復が困難になる
  • 成人で診断された停留精巣患者でも、micro-TESEにより精子採取が可能なケースがある

停留精巣が男性不妊を引き起こすメカニズム

精巣が陰嚢内に収まらず、腹腔内・鼠径管内・鼠径部皮下などにとどまると、体温(37℃)に近い高温環境にさらされます。正常な精子産生には精巣温度が体温より2〜4℃低いことが必要であり、高温環境が続くと精細管が不可逆的に障害されます。

温度障害の進行タイムライン

年齢

精細管の状態

不妊リスク

生後〜6ヶ月

精原細胞数の減少開始

まだ回復可能な時期

1〜2歳

精原細胞の顕著な減少が始まる

早期手術が最も重要な時期

2〜5歳

精細管の線維化・萎縮が進行

不妊リスクが高まる

思春期以降

精子産生機能の障害が固定化

高度(両側の場合は非常に高い)

片側性と両側性の違い

  • 片側性停留精巣:健側の正常な精巣が精子産生を代償することが多い。ただし、罹患側精巣の腫瘍リスク(精巣腫瘍)は健常側より5〜10倍高い
  • 両側性停留精巣:精子産生機能が大幅に低下するリスクが高く、無精子症になる割合が高い。早期治療が特に重要

精巣固定術(オーキドペクシー)——治療の詳細

停留精巣の根本的な治療は精巣固定術(オーキドペクシー)です。精巣を陰嚢内の正常な位置に固定する手術で、腹腔鏡補助下または開放手術で行われます。

推奨される手術時期

  • 日本小児泌尿器科学会の推奨:生後6〜12ヶ月で自然下降が見られない場合、生後12〜18ヶ月(遅くとも2歳以前)での手術を推奨
  • 欧州小児泌尿器科学会(ESPU)の推奨:生後6〜12ヶ月での手術を推奨(精子産生能保護の観点)
  • 2歳を過ぎてからの手術でも精巣固定術の意義はあるが(腫瘍リスク低減・審美的観点)、精子産生能の改善効果は早期手術より低い

手術後の精子産生能の改善

精巣固定術後の精子産生能は、手術時期によって大きく異なります。

手術を受けた時期

成人後の精液所見

自然妊娠の可能性

1歳以前

多くで正常範囲

高い

1〜2歳

軽度低下のことも

比較的高い

2〜5歳

中等度低下傾向

中程度

思春期以降

高度低下または無精子症

低い〜非常に低い

成人で発見された停留精巣——対応と不妊治療

成人になってから停留精巣と診断されるケースもあります。この場合、精巣固定術の精子産生能への改善効果は低く、精巣腫瘍の発生リスク評価と不妊治療のアプローチが中心になります。

精巣腫瘍リスクへの対処

  • 停留精巣(特に腹腔内停留)は精巣腫瘍(精上皮腫・非精上皮腫)リスクが正常男性より5〜10倍高い
  • 成人で停留精巣が発見された場合、精巣腫瘍の評価を泌尿器科で受けることが最優先
  • 精巣腫瘍が疑われる場合は精巣摘除術が検討される

成人停留精巣後の不妊治療選択肢

精液検査で高度乏精子症または無精子症と診断された場合:

  • 高度乏精子症(精子数100万/mL未満):顕微授精(ICSI)が最も有効な選択肢
  • 無精子症(閉塞性でない場合):micro-TESEによる精巣内精子採取を試みる。成功率は症例によって異なるが30〜60%程度
  • 精子採取ができなかった場合:精子提供(AID)・特別養子縁組の選択肢について情報提供を受けられる

停留精巣の自己確認チェックポイント

以下の状況に当てはまる場合、泌尿器科への受診を推奨します。

  • □ 小児期に「精巣が下がっていない」と医師に言われた記録がある
  • □ 片方または両方の陰嚢が空(精巣が触れない)
  • □ 片側の精巣が著しく小さい(萎縮している可能性)
  • □ 1年以上妊活しているが妊娠しない(精液検査未実施)
  • □ 鼠径部に精巣様の硬い腫瘤がある

よくある質問(FAQ)

Q. 子供のころに手術を受けました。精液検査は必要ですか?

手術時期が2歳以降であった場合や、両側性だった場合は、成人後の精液検査を受けることを強くお勧めします。手術が早期でも、精索静脈瘤などの追加的な原因が合併していることがあります。妊活前に1度は精液検査を受けて現状を把握することが重要です。

Q. 片側のみの停留精巣でも不妊になりますか?

片側性の場合、健側精巣が正常であれば多くの男性で自然妊娠が可能です。ただし、停留精巣側の精巣も精子産生に寄与している場合があり、手術時期や残存機能によっては乏精子症になることがあります。精液検査で確認することが最善です。

Q. 子どもに停留精巣があります。いつ手術すべきですか?

生後6〜12ヶ月で自然下降がない場合、1歳〜遅くとも2歳以前の手術が推奨されています。早期手術ほど、精子産生能の保護効果と将来の不妊リスク低減が期待できます。小児泌尿器科・小児外科に相談してください。

Q. 停留精巣の手術をしないとどうなりますか?

不妊リスクの増大に加え、精巣腫瘍(悪性)の発生リスクが5〜10倍高くなります。腹腔内停留では特にリスクが高く、成人になっても放置することは推奨されません。成人であっても、泌尿器科で精巣腫瘍のリスク評価と対処法について相談することが重要です。

Q. 無精子症と診断されました。諦めなければなりませんか?

停留精巣後の無精子症でも、micro-TESEによる精巣内精子採取が可能なケースがあります。成功率は症例によって異なりますが、30〜60%程度の報告があります。採取できた精子をICSIで使用することで妊娠が可能です。まず男性不妊専門の泌尿器科を受診し、評価を受けてください。

まとめ

停留精巣は男性不妊の重要な原因であり、早期の外科的治療が不妊リスクを最小化するうえで不可欠です。

  • 精巣の高温環境が精細管を不可逆的に障害し、精子産生能を低下させる
  • 精巣固定術は2歳以前(可能なら1歳以前)の実施が最も効果的
  • 成人で診断された場合は、精巣腫瘍リスク評価と不妊治療の両方を進める
  • 無精子症でもmicro-TESEにより妊娠の可能性がある
  • 妊活を始める前に精液検査を受け、現状を把握することが重要

次のステップへ

停留精巣の手術歴がある方、または停留精巣と指摘された方は、泌尿器科(男性不妊外来)への受診をお勧めします。精液検査とホルモン検査を受けて現状を把握し、必要に応じて適切な不妊治療プランを立てましょう。

※本記事は医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状や治療については必ず専門医にご相談ください。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2