EggLink

hCG/hMG注射(男性)|ホルモン療法の効果

2026/4/19

hCG/hMG注射(男性)|ホルモン療法の効果

hCG/hMG注射(男性)とは|ホルモン療法の仕組みと効果

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)とhMG(ヒト閉経期ゴナドトロピン)注射は、下垂体性・視床下部性の性腺機能低下症による男性不妊に対して使用されるホルモン補充療法です。精巣のテストステロン分泌と精子産生を促し、造精機能の回復を目指します。

この記事のポイント

  • hCG/hMG注射が適応となる男性不妊のタイプ
  • 治療の仕組み・スケジュール・期待できる効果
  • 副作用・費用・治療期間の目安

hCG/hMG注射の基本:なぜ男性不妊に使われるのか

男性の精子産生には、脳下垂体から分泌されるLH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)が必要です。これらが欠乏する「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症」では、精巣がテストステロンを作れず、精子も産生されません。hCGはLH様作用を、hMGはFSH・LH両方の作用を持ち、不足しているシグナルを外部から補います。

適応となる主な疾患

  • 低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(HH):先天性(カルマン症候群など)または後天性
  • 特発性低ゴナドトロピン症(IHH):脳下垂体・視床下部の機能不全
  • 下垂体腫瘍・頭部外傷後のゴナドトロピン欠乏

精巣機能そのものは正常であるが、刺激するホルモンが不足しているケースに効果を発揮します。

治療プロトコル:注射の種類・頻度・期間

hCG/hMG療法は通常、フェーズ分けして実施されます。まずhCG単独でテストステロン産生を刺激し、その後hMGを追加してFSHによる精子産生を促します。

フェーズ

使用薬剤

投与頻度

目標

第1フェーズ(3〜6か月)

hCG単独

週2〜3回

テストステロン正常化・精巣容積増大

第2フェーズ(6〜18か月)

hCG+hMG

週2〜3回

精子産生の誘導・精子数増加

投与方法

hCGは筋肉内注射または皮下注射で投与します。日本では通常、医療機関での投与ですが、自己注射指導を受けることで在宅での投与も可能な場合があります。hMGは筋肉内注射が一般的です。

治療効果のエビデンス

低ゴナドトロピン性性腺機能低下症に対するhCG/hMG療法は、適応が正確であれば有効性が高く確立された治療法です。

  • 精子出現率:先天性IHH患者で治療開始後12〜18か月以内に60〜80%で精子が確認される
  • 自然妊娠率:精子数が正常化した症例では自然妊娠・ARTでの妊娠が期待できる
  • テストステロン正常化:hCG開始後3〜6か月で多くの症例で達成

予後に影響する因子

治療効果は以下の因子によって異なります:精巣容積(治療前が小さいほど治療期間が長い)、思春期発来の有無、以前のテストステロン補充療法の既往などが影響します。

副作用と注意点

hCG/hMG注射は比較的安全な治療ですが、以下の副作用に注意が必要です。

  • 女性化乳房:hCGによるテストステロン増加の一部がエストロゲンに変換されることで起こる(5〜15%)
  • 注射部位の疼痛・硬結:長期治療では部位を変えて対応
  • 精巣の腫大:精巣内精子産生が始まることによる一時的変化
  • アレルギー反応:まれだが蕁麻疹・アナフィラキシーの可能性

費用と保険適用

hCG注射・hMG注射は、適応疾患(低ゴナドトロピン性性腺機能低下症)に対しては保険適用となります。2022年4月の不妊治療保険適用拡大以降、生殖補助医療の一部としての使用も保険対象になっています。

項目

目安(3割負担)

hCG注射(1回)

1,000〜2,000円程度

hMG注射(1回)

3,000〜6,000円程度

月間通院費(合計)

1〜3万円程度(頻度による)

保険適用外で使用する場合(自費治療)はクリニックによって大きく異なります。事前に確認してください。

よくある質問

hCG注射はすべての男性不妊に効きますか?

いいえ。hCG/hMG療法が有効なのは「ゴナドトロピン(LH/FSH)が低い」低ゴナドトロピン性性腺機能低下症に限られます。精巣そのものの機能に問題がある「高ゴナドトロピン性性腺機能低下症」や、精路閉塞による無精子症には効果がありません。血液検査(FSH・LH・テストステロン測定)による原因の特定が先決です。

治療開始から妊娠までどのくらいかかりますか?

精子が確認されるまで通常6〜18か月かかります。精子産生に成功した後、自然妊娠・ARTによる妊娠を目指すことになるため、合計2〜3年かかるケースもあります。パートナーの年齢を考慮した治療計画の立案が重要です。

テストステロン補充療法とhCG療法の違いは何ですか?

テストステロン製剤(注射・ゲル)は症状改善(性欲・筋力・気分)には有効ですが、精子産生を抑制するため不妊治療には使えません。妊孕性を希望する場合は必ずhCG/hMG療法を選択してください。

自己注射は可能ですか?

医療機関での指導を受けることで、自己注射が認められる場合があります。週複数回の通院負担を軽減できます。担当医に相談してください。

治療をやめると精子はなくなりますか?

hCG/hMG療法は原因を根本治療するものではないため、治療を中断すると精子産生が低下することが多いです。長期的な治療計画について専門医と相談することが重要です。

まとめ

hCG/hMG注射は、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症による男性不妊に対して高い効果が確立された治療法です。適応が正確であれば60〜80%で精子産生が回復します。まず血液検査でLH・FSH・テストステロン値を確認し、泌尿器科または生殖医療専門医による診断を受けることが重要です。パートナーの年齢も考慮した上で、治療タイミングを逃さないようにしてください。

免責事項
本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療・処方を推奨するものではありません。治療方針については必ず医師にご相談ください。

E

この記事を書いた人

EggLink編集部

医療・婦人科専門メディア

産婦人科・婦人科に関する正確で信頼性の高い情報をお届けします。医療監修のもと、女性の健康に役立つコンテンツを制作しています。

公開:2026/4/19更新:2026/5/2