男性不妊の手術は、名前や成功率だけを比べて選ぶものではありません。原因と今の状態、目指すこと、妊娠に向けた次の計画に応じて、男性不妊を診る泌尿器科医と相談します。
日本泌尿器科学会の2024年版ガイドラインは、主な外科的治療として精索静脈瘤への手術、無精子症で精子を採取するTESE、閉塞性無精子症での精路再建を示しています。日本泌尿器科学会:男性不妊症診療ガイドライン2024年版・外科的治療
同じ目的の手術ではありません
| 主な手術 | 目的と相談するポイント |
|---|---|
| 精索静脈瘤に対する手術 | 診察や精液所見等から適応を判断し、所見の改善等を目指す。全員の妊娠を保証するものではない |
| TESE・micro-TESE | 精巣内の精子を探して採取する方法。閉塞性・非閉塞性等の評価で方法を相談する |
| 精路再建術 | 閉塞の部位や原因を評価し、精子の通り道の再建を検討する。術後の開存と妊娠の結果は別に確認する |
適応は、診察と必要な評価から確認します
精索静脈瘤がある、精液に精子が見つからない、という情報だけで手術を自己選択しません。ガイドラインの精索静脈瘤の推奨には、触診の所見や精液所見の条件があります。非閉塞性無精子症に合併する場合も、同じ効果を前提にせず説明を受けて個別に判断する内容です。同ガイドライン:CQ7
無精子症では閉塞の有無等を評価し、精子採取や再建の選択肢を相談します。必要な検査は目的と結果の使い方を聞き、全員に同じホルモン・染色体・Y染色体検査一式を自己判断で予約するものではありません。
再建の対象となる部位・原因は人によって違います。micro-TESEも非閉塞性無精子症での選択肢として説明されますが、採取できることや妊娠を保証するものではありません。同ガイドライン:CQ8・CQ9
成績は、何ができた割合かを確かめます
精液所見の改善率、精子採取率、精路の開存率、妊娠率、出生率は違う結果です。たとえば精子を採取できた割合を、そのまま妊娠する確率に置き換えません。
説明される数字については、対象となる原因や状態、方法、単回か累積か、いつまでの観察か、分母を確認します。ガイドラインにも研究ごとの患者背景や方法の違いが記載されており、別々の対象の数字を横並びにして本人に最も成功しやすい手術と順位付けしません。
採取した精子をどう使うか、必要な生殖補助医療、妊娠を担う人の診療と日程の連携、採取できなかった場合の計画を、実施先へ確認できます。
合併症と術後の確認まで、説明を受けます
手術前には、本人の方法で起こり得る合併症、麻酔や活動の注意、連絡先、再診や検査計画を聞きます。ガイドラインのTESEの節も、血腫、炎症、テストステロン低下等への注意と術後の確認を説明しています。同ガイドライン:CQ9・外科的精子採取の合併症
全員が一〜二週間で回復する、三か月で精液が改善する、採取できなければ必ず一年後に再手術する、と一つの予定表にはしません。既往や手術内容と結果から、次の評価と選択肢を相談します。
術後に症状が気になる場合は、指示された連絡先へ相談してください。急な強い症状や意識の異常等、切迫した状態では予定の再診を待たず緊急の医療につなぎます。
手術料だけでなく、次の診療に含む費用を確認します
見積もりでは、診察・検査、片側か両側か、麻酔・入院、精子の処理や保管、再診、妊娠に向けた次の治療等の範囲と追加費用を聞きます。保険の対象と条件、自己負担は、今回の診療計画をもとに実施先へ確認してください。
全方法が無条件に保険になる、手術料の一つの金額ですべて完了する、とは説明しません。手術の件数を見る場合も対象や期間、担当者と連携体制を確かめ、年間五十例等を共通の合格基準にはしません。
2024年版の該当節を参照しています。確認時の学会一覧でも同版が掲載されていますが、一覧の更新年月とガイドラインの発行年、本人への診療判断は別です。日本泌尿器科学会:ガイドラインの公式一覧
出典と確認日
2026年10月31日、本文で示した原典の採用節を照合しました。本人の回復時期や治療の適否・結果、全施設の費用や体制を確認したものではありません。
免責事項
一般的な情報提供です。症状、処置後の注意や薬、必要な検査・治療と支援は医療機関等へ相談してください。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。