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脊髄損傷と男性不妊|電気射精法

2026/4/19

脊髄損傷と男性不妊|電気射精法

(情報取得日:2026-05-02)脊髄損傷(SCI)は交通事故やスポーツ外傷などで生じる重篤な障害ですが、若い男性に発症することも多く、子どもを望む当事者にとって「自分は父親になれるのか」という問いは切実です。本記事では脊髄損傷と男性不妊の関係、および電気射精法をはじめとする精子採取の選択肢を解説します。

この記事のポイント

  • 脊髄損傷後の男性の多くは射精障害・精子の質低下を経験するが、精子採取の方法は複数ある
  • 電気射精法・振動射精法・TESEなどの選択肢が状況に応じて使い分けられる
  • 採取した精子でのART(体外受精・顕微授精)により父親になった例は世界中に報告されている

脊髄損傷と男性不妊の基本情報

脊髄損傷後の男性の約95%が射精障害を経験すると報告されています。損傷部位・完全損傷か不完全損傷かによって、影響の程度は異なります。

損傷部位

射精障害の傾向

主な精子採取法

頸髄(C1〜C8)完全損傷

自発射精ほぼ不可能

電気射精法・TESE

胸髄(T1〜T10)損傷

射精障害が多い

振動射精法・電気射精法

T11以下・腰髄損傷

逆行性射精・部分的射精障害

振動射精法・尿中精子回収・TESE

不完全損傷

部分的に保存されている場合も

状態に応じて選択

精子採取法の特徴と選択基準

脊髄損傷後の精子採取には、侵襲性・成功率・精子の質がそれぞれ異なる複数の方法があります。

  • 振動射精法(PVS:Penile Vibratory Stimulation):亀頭部に振動刺激を与えて反射的な射精を誘発。T10以上の損傷で有効率が高い。外来で実施可能なケースが多い
  • 電気射精法(EEJ:Electroejaculation):直腸プローブで電気刺激を加えて精液を採取。麻酔が必要なことが多い。PVSで採取できない場合に使用
  • 外科的精子採取(TESE・MESA):精巣または精巣上体から直接精子を採取。精子の運動率・形態に優れていることが多い
  • 尿中精子回収法:逆行性射精がある場合に射精後の尿から精子を回収

世界的には振動射精法が第一選択として推奨されることが多く(特にT10以上の不全損傷)、電気射精法はその次の選択肢とされています。

脊髄損傷後の精子の質と妊娠への影響

脊髄損傷後は精子の運動率・形態が低下しやすいことが報告されています。主な原因は以下の通りです。

  • 精巣温度の調節障害(体温調節機能の低下)
  • 精子貯留期間の延長(射精頻度の低下による)
  • 尿路感染や炎症の影響
  • 前立腺・精嚢の分泌機能変化

これらのため、採取した精子を体外受精や顕微授精(ICSI)に使用するケースが多くなります。精子の質が低い場合でもICSIにより妊娠した例は多数報告されています。

治療・検査にかかる費用の目安

治療・処置

費用目安

備考

精液検査

500〜1,500円

保険適用あり

振動射精法

1万〜3万円程度

外来で実施可能なケースも

電気射精法

3万〜8万円程度

麻酔を要する場合は別途費用

TESE(精巣内精子採取術)

3万〜10万円

保険適用条件あり

顕微授精(ICSI)

5万〜15万円(採卵費用別)

保険適用あり(条件による)

受診・相談のポイント

脊髄損傷後に父親を目指す際のステップをまとめます。

  • リハビリ主治医または泌尿器科医に「子どもを望んでいる」と伝え、男性不妊外来・生殖医療専門医への紹介を依頼する
  • 損傷後早期(受傷後1年以内)に精子を凍結保存しておくことで将来の選択肢が広がる
  • パートナーにも不妊治療クリニックへの同行を依頼し、ART(体外受精・顕微授精)の適応・流れを一緒に確認する
  • 自律神経過反射(ADR)が高位脊髄損傷(T6以上)で起きる場合、電気射精法実施時の医療管理が重要

専門医・相談窓口へのアクセス

脊髄損傷後の男性不妊に対応できる施設や窓口を活用してください。

  • 日本リハビリテーション医学会 認定施設:脊髄損傷の包括的リハビリと性機能ケアに対応
  • 日本泌尿器科学会 男性不妊専門施設:電気射精法・TESE実施施設を確認できる
  • 公益財団法人日本脊髄障害者等協会:当事者同士のネットワークと情報共有の場

よくある質問(FAQ)

Q1. 脊髄損傷後でも子どもを持てますか?

A. 可能です。振動射精法・電気射精法・TESEなどで精子を採取し、体外受精や顕微授精を行うことで妊娠した例は国内外に多数あります。損傷後早期に専門医に相談することをお勧めします。

Q2. 振動射精法はどこで受けられますか?

A. 泌尿器科の男性不妊外来や生殖医療専門クリニックで実施しています。全ての施設で対応しているわけではないため、事前に確認が必要です。

Q3. 精子の質が低くても妊娠できますか?

A. 運動率・形態が低下していても、顕微授精(ICSI)で1個の精子を直接卵子に注入する方法では妊娠の可能性があります。精子の状態を精液検査・DNA損傷検査で確認したうえで治療方針を決めます。

Q4. 受傷直後から精子凍結は可能ですか?

A. 急性期の状態が安定してから可能になります。体の状態が許す限り早期の凍結保存が推奨されます。精子の質は受傷から時間が経つほど低下しやすいためです。

Q5. 電気射精法は危険ですか?

A. T6以上の高位脊髄損傷の方では、刺激に伴い自律神経過反射(急激な血圧上昇など)が起こるリスクがあります。適切な医療管理下で実施される必要があります。専門施設での実施が不可欠です。

まとめ

脊髄損傷後の男性は射精障害・精子の質低下を経験することが多いですが、振動射精法・電気射精法・TESEなどの手段により精子採取が可能なケースが多くあります。採取した精子でのARTにより父親になった事例は多数報告されています。早期の精子凍結保存と専門医への相談が、将来の選択肢を広げる最善策です。

【免責事項】本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。治療の判断は必ず担当医師にご相談ください。掲載情報は執筆時点(2026-05-02)のものです。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2