
男性不妊外来の問診では、何を聞かれるのか、何を準備すれば良いのか不安に思う方は多いです。この記事では、男性不妊外来の問診内容・医師に伝えるべき情報・準備すべきものを、受診前に知っておくべき観点から詳しく解説します。
この記事のポイント
- 男性不妊外来の問診で聞かれる具体的な質問内容と準備すべき情報
- 医師に必ず伝えるべき既往歴・服用薬・生活習慣の情報
- 問診をスムーズに進めるための受診前チェックリスト
男性不妊外来の問診で聞かれること:全体像
男性不妊外来の初診問診は、精子の状態を評価する前に「なぜ妊娠しにくい可能性があるか」の背景情報を収集する重要なプロセスです。問診にかかる時間は通常10〜20分程度で、問診票に事前記入することが多いです。大きく5つの領域で情報を確認されます。
問診の5つの領域
- 1. 妊活の経緯と性生活:妊活期間・性交頻度・性機能の状態(ED・射精障害の有無)
- 2. 既往歴・手術歴:精子の質や精路(精液の通り道)に影響する病歴
- 3. 服用中の薬・サプリ:精子に影響する薬剤の確認
- 4. 生活習慣:喫煙・飲酒・職業(化学物質暴露など)・運動・睡眠
- 5. 家族歴:遺伝的な男性不妊因子の確認
問診の具体的な質問内容
各領域で尋ねられる具体的な質問内容を事前に把握しておくことで、スムーズに答えられます。
妊活の経緯について
- 妊娠を希望し始めてから何ヵ月(何年)経過しているか
- 1週間あたりの性交頻度(排卵日前後にどのくらい行っているか)
- 過去に妊娠・出産したことがあるか(パートナーとの間・以前の関係で)
- 勃起・射精に問題はあるか(ED・早漏・射精障害・膣内射精障害)
- 性交痛・性機能への不安はあるか
既往歴・手術歴(特に重要な病歴)
以下の既往歴は精子の質・精路の開通性に直接影響するため、必ず申告が必要です。
病歴・手術歴 | なぜ重要か |
|---|---|
停留精巣(潜在精巣)・その手術 | 精巣機能低下・精子生成障害のリスク因子 |
精索静脈瘤 | 精巣温度上昇による精子生成阻害の原因 |
流行性耳下腺炎(おたふく風邪) | 精巣炎の既往がある場合、精子生成機能が低下している可能性 |
鼡径部ヘルニア手術・陰嚢手術 | 輸精管・精巣血管への損傷リスク |
STI(クラミジア・淋菌等) | 精路(副睾丸・輸精管)の閉塞リスク |
糖尿病・高血圧 | EDや射精障害の器質的原因になりうる |
がん治療(化学療法・放射線) | 精巣機能に重篤な影響を及ぼす |
脊髄損傷・神経疾患 | 射精・勃起機能への影響 |
服用中の薬・サプリメント(必ず申告が必要)
以下の薬剤は精子の質・性機能に直接影響するため、服用中の場合は必ず医師に申告してください。
- 精神科薬(抗うつ薬・抗精神病薬):射精障害・精子運動率低下の原因になりうる
- ステロイド(アナボリックステロイドを含む):フィードバック抑制によるテストステロン低下→精子生成停止
- 5α還元酵素阻害薬(フィナステリド等・AGAの薬):精子濃度・運動率の低下が報告されている
- 降圧薬(一部):EDや射精障害の原因になりうるもの
- テストステロン補充療法:外因性テストステロン投与は精子生成を停止させる
- 免疫抑制剤:精巣機能への影響あり
サプリメントについても、高用量のビタミンA・ホウ素・亜鉛(過剰摂取)は精子に影響する場合があります。すべて申告することをお勧めします。
生活習慣に関する質問
- 喫煙歴(現在の喫煙本数・過去の喫煙期間)
- 飲酒量(週あたりの日本酒換算合数)
- 職業(高温環境・化学物質・放射線への職業的暴露)
- BMI・最近の体重変化
- 週あたりの運動量と強度
- 睡眠時間と質
受診前に準備すべき情報・持ち物チェックリスト
受診前に以下の情報をメモしておくと、問診票記入がスムーズになります。
受診前準備チェックリスト
- 妊活開始からの経過月数
- 週あたりの性交頻度の目安
- ED・射精障害の有無と程度(普段と排卵日前後でどう違うか)
- 既往歴(停留精巣・精索静脈瘤・おたふく風邪・STI・手術歴)
- 現在服用中の薬・サプリの名前(お薬手帳を持参する)
- 喫煙本数・飲酒量の目安
- 職業で化学物質・高温・放射線への暴露があるか
- 過去の精液検査結果(他院で受けたことがある場合は報告書を持参)
- パートナーの年齢・不妊検査歴(一緒に受診する場合)
問診後の診察の流れ
問診後、通常以下の順序で診察が進みます。初診当日に精液検査を行うクリニックも多いです。
- 問診票確認・医師による詳細問診:10〜20分
- 身体診察(視診・触診):陰嚢・精巣のサイズ・精索静脈瘤の確認
- 精液検査の実施(当日採取の場合):採取・分析・結果説明まで1〜2時間
- 必要に応じて血液検査(ホルモン値):FSH・LH・テストステロン・プロラクチン等
- 超音波検査:精巣・副精巣の形態評価、精索静脈瘤の確認
よくある質問(FAQ)
Q. 初診は一人で行ってもよいですか?パートナーと一緒に行くべきですか?
男性不妊外来は一人での受診が可能です。ただし、不妊治療は夫婦双方の検査・治療を並行して進めることが多いため、可能であればパートナーと一緒に受診することで、治療方針の共有がスムーズになります。
Q. 初診で精液検査は当日受けられますか?
多くのクリニックで当日の精液検査が可能です。事前に2〜3日の禁欲期間を確保した上で、採取容器を準備して受診するとスムーズです。当日採取が難しい場合は次回に設定できます。
Q. AGAの薬(フィナステリド)を飲んでいます。やめるべきですか?
フィナステリド(プロペシア等)は精子濃度・運動率の低下が報告されています。妊活中は服用の継続について担当医と相談することを強くお勧めします。服用中止から精子の質が改善するまで3〜6ヵ月かかります。
Q. 性的な質問が恥ずかしいのですが、正直に答えるべきですか?
正確な診断のために、ED・射精障害についての情報は非常に重要です。医師は専門家として守秘義務があり、判断せずに中立的に聞きます。症状を正直に伝えることが、最適な治療につながります。
Q. 会社の健康診断で精子検査を受けられますか?
通常の会社健診には精液検査は含まれていません。不妊治療専門クリニック・泌尿器科・一部の内科で個別に受けることができます。
まとめ
男性不妊外来の問診は、正確な診断と適切な治療方針を立てるための重要なプロセスです。特に「停留精巣・精索静脈瘤の既往」「AGA治療薬・精神科薬の服用」「射精障害の有無」は必ず申告してください。
- 既往歴(停留精巣・手術歴・おたふく風邪・STI)を事前にまとめておく
- 現在服用中のすべての薬・サプリを申告する(お薬手帳持参推奨)
- 問診票はできるだけ詳しく、正直に記入することが最短での解決につながる
免責事項
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を提供するものではありません。男性不妊に関しては、泌尿器科または男性不妊専門医の診察を受けてください。本記事の情報は2024年時点のものです。
次のステップへ
男性不妊外来への受診を検討されている方は、上記のチェックリストを参考に情報をまとめて受診してください。事前準備をするだけで、初診の問診がスムーズになり、より早く適切な治療につながります。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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