
バセドウ病(男性)と不妊は、甲状腺ホルモン過剰が性ホルモン軸に影響を与えることで起こります。女性に多いバセドウ病ですが、男性でも発症し、不妊につながることがあります。この記事では、バセドウ病の男性における不妊メカニズムと治療の実際を、2026年5月2日時点の情報をもとに解説します。
この記事のポイント
- バセドウ病(甲状腺機能亢進症)が男性の性機能・精子形成に与える影響
- 診断・検査と治療の選択肢
- 費用目安と受診のポイント
- 治療後に不妊が改善するケースの特徴
バセドウ病と男性不妊の関係
バセドウ病は甲状腺ホルモン(T3・T4)が過剰分泌される自己免疫疾患です。甲状腺ホルモン過剰は、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)の増加を引き起こし、遊離テストステロン(活性型)を低下させます。また、エストロゲン過剰傾向が生じることで、LH・FSHのフィードバックが乱れ、精子形成に影響が出ます。未治療のバセドウ病男性では、精子運動率の低下・奇形率上昇・精子DNA損傷が報告されています。
基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
疾患名 | バセドウ病(Graves病)/甲状腺機能亢進症 |
有病率(男性) | 女性の約5〜10分の1。男性人口の0.1〜0.2%程度 |
男性不妊への影響 | SHBG増加→遊離テストステロン低下、精子運動率低下・DNA損傷 |
主な症状 | 動悸・体重減少・発汗過多・手の震え・眼球突出(グレーブス眼症) |
主な診断科 | 内分泌内科・甲状腺専門外来・泌尿器科(男性不妊専門) |
主な検査 | TSH・FT3・FT4・TRAb(TSH受容体抗体)、精液検査、精巣超音波 |
診療内容の特徴
バセドウ病による男性不妊の治療は、甲状腺機能の正常化が最優先です。甲状腺機能が正常に戻ることで、精子パラメーターが改善するケースが多く報告されています。
- 抗甲状腺薬(ATD)療法:チアマゾール(MMI)またはプロピルチオウラシル(PTU)を内服。甲状腺ホルモン合成を抑制。男性不妊治療中はPTUを慎重に使用(肝毒性リスク)
- 放射性ヨウ素(RI)治療:甲状腺を選択的に破壊する。治療後に甲状腺機能低下症になる場合があり、甲状腺ホルモン補充が必要
- 外科的甲状腺切除:再発リスクが高い例や薬が使えない例に選択。術後も甲状腺ホルモン補充が必要
- 精子凍結保存:甲状腺機能が安定するまでの期間、精子の質が低下している可能性があるため、治療前に凍結保存を検討する価値がある
口コミ・評判の傾向
バセドウ病を持つ男性の不妊に関する情報は少ないため、患者コミュニティ・専門医の声・学会報告から傾向を整理します。
- 「バセドウ病の治療後に精液検査が改善した」:甲状腺機能を正常化した後、精子運動率が回復した報告が複数ある
- 「男性の甲状腺疾患は見落とされやすい」:バセドウ病は女性疾患のイメージが強く、男性不妊の精査で初めて発覚するケースがある
- 「内分泌科と泌尿器科を別々に受診するのが大変」:二つの科を掛け持ちする負担を軽減するため、連携体制のある病院を選ぶ声が多い
- 「薬を続けながらでも妊娠できた」:抗甲状腺薬の内服中でも精液所見が改善し、自然妊娠に至ったとの報告がある
費用の目安
項目 | 費用目安(税込) | 備考 |
|---|---|---|
初診・甲状腺機能検査 | 2,000〜6,000円 | 保険適用(3割負担) |
TRAb(TSH受容体抗体)検査 | 2,000〜4,000円 | 保険適用 |
抗甲状腺薬(月あたり) | 500〜2,000円 | 保険適用 |
RI治療(放射性ヨウ素) | 5万〜10万円 | 保険適用 |
甲状腺手術(入院含む) | 30万〜60万円 | 高額療養費制度の適用対象 |
精液検査 | 3,000〜8,000円 | 経過確認のため定期的に実施 |
受診時のポイント
- 不妊精査にTSH・FT4を必ず追加する:不妊専門外来の初診時に、精液検査・男性ホルモン検査と合わせて甲状腺機能を測定してもらう
- 抗甲状腺薬内服中は定期的な精液検査を継続する:甲状腺機能が安定してきた時期(治療開始後3〜6か月)に精液検査を再実施し、改善を確認する
- 眼症状がある場合はグレーブス眼症の専門評価も受ける:眼症がある場合はステロイド治療が必要なことがあり、性機能への影響を考慮した薬剤選択を医師に相談する
- 治療前に精子凍結を検討する:甲状腺機能が安定するまでの期間、精子の質が低下しているリスクがあるため、余裕があれば治療前に凍結しておく
- パートナーも甲状腺検査を:バセドウ病の自己免疫的背景からパートナーへの甲状腺疾患リスクを考慮し、両者で検査を受けることが勧められる場合がある
アクセス情報
バセドウ病の管理と男性不妊治療を並行して行うには、内分泌内科(甲状腺専門)と泌尿器科(男性不妊専門)が連携できる施設が理想です。
施設タイプ | 特徴 | 探し方 |
|---|---|---|
大学病院・附属病院 | 甲状腺専門内科・泌尿器科・生殖医療科が揃う | 「バセドウ病 男性不妊」で大学病院を検索 |
甲状腺専門クリニック | 抗甲状腺薬の細かな調整・甲状腺エコー・TRAb測定が充実 | 日本甲状腺学会認定施設リストを参照 |
男性不妊専門クリニック | 精液検査・精子凍結・補助生殖技術に対応 | 日本生殖医学会「生殖医療専門医」検索サイト |
よくある質問(FAQ)
Q1. バセドウ病を治療すれば、精子の状態は必ず改善しますか?
甲状腺機能が正常化することで精子パラメーターが改善するケースは多いですが、全例で改善するわけではありません。精子形成の回復には治療開始後3〜6か月程度かかることが多く、治療後に精液検査を繰り返して評価することが重要です。
Q2. 抗甲状腺薬の服用中に子どもをつくっても問題ありませんか?
男性が抗甲状腺薬(チアマゾール・PTU)を内服している場合、薬が精子に与える直接的な影響については現時点で明確なエビデンスは限られています。不安がある場合は担当の内分泌内科医・泌尿器科医に相談し、治療の継続方法を確認してください。
Q3. RI治療後、妊活はいつから再開できますか?
放射性ヨウ素治療後の妊活開始時期については、一般的に治療後6か月以上の間隔を置くことが推奨されている場合があります。ただし施設・個人の状況によって異なるため、担当医の指示に従ってください。
Q4. バセドウ病と男性不妊の両方を一つのクリニックで診てもらえますか?
内分泌内科と泌尿器科が同一施設にある大学病院・総合病院であれば、連携した診療が可能です。甲状腺専門クリニックと男性不妊クリニックを別々に受診し、紹介状で情報共有する形も選択肢です。
Q5. 甲状腺機能が正常になっても精子数が少ない場合、次の手段は?
甲状腺機能が正常化しても精液所見が改善しない場合は、精巣生検で精子形成の状態を確認し、IUI・IVF・ICSIなどの補助生殖技術を検討します。精子が採取できれば、顕微授精(ICSI)で妊娠の可能性があります。
まとめ
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)は、SHBG増加や遊離テストステロン低下を介して男性の精子形成に悪影響を与えます。甲状腺機能の正常化によって精液所見が改善するケースは多く、早期診断・治療が不妊解消につながる可能性があります。不妊精査の際には甲状腺機能検査をセットで行い、内分泌内科と泌尿器科の連携のもとで治療を進めることが重要です。
【免責事項】本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の医療機関や治療法を推奨するものではありません。個別の症状・治療については、必ず担当医にご相談ください。掲載情報は2026年5月2日時点のものです。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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