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養子縁組という選択肢|男性不妊カップルの道

2026/4/19

養子縁組という選択肢|男性不妊カップルの道

男性不妊を含む不妊治療を経験したカップルにとって、養子縁組は「子どもを持つ」選択肢の一つです。しかし、日本における養子縁組の実態や手続きは複雑で、正確な情報を持っている人は少ないのが現状です。この記事では、養子縁組の種類・手続き・費用・心理的な準備について、医学的・法的観点から中立的に解説します。

この記事のポイント

  • 普通養子縁組・特別養子縁組の違いと、不妊カップルが選択することの多い制度
  • 養子縁組に至るまでの手順・期間・費用の実態
  • 養子縁組を検討する際の心理的な準備と、相談できる機関の情報

養子縁組とは:2種類の制度の違い

日本の養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があります。不妊カップルが子どもを育てることを目的として選ぶ場合は、ほとんどが特別養子縁組です。

普通養子縁組

  • 養子は生みの親(実親)との法的な親子関係を継続したまま、養親の子どもとなる
  • 成人でも可能(一般的な相続目的での活用も多い)
  • 家庭裁判所の許可が必要な場合と不要な場合がある

特別養子縁組

  • 養子は実親との法的な親子関係を断ち切り、養親の実子と同等の法的地位を持つ
  • 対象:原則として申立時に15歳未満(2020年改正により18歳未満への拡大も可能に)
  • 養親の年齢:原則25歳以上(一方が25歳以上であれば他方は20歳以上でも可)
  • 家庭裁判所の審判が必要
  • 実親の同意が必要(虐待等の例外あり)

特別養子縁組に至るまでの流れ

特別養子縁組の手続きは、民間養子縁組あっせん機関または児童相談所(里親制度経由)を通じて進めることが一般的です。全体で数年単位の時間がかかることを想定してください。

基本的な流れ

ステップ

内容

期間の目安

1. 説明会・申し込み

機関による説明会参加、申し込み書類提出

〜3ヶ月

2. 審査・研修

書類審査、面接、家庭訪問、研修受講

6ヶ月〜1年

3. マッチング待機

子どもが生まれるのを待つ期間

数ヶ月〜数年

4. 試験養育期間

子どもと生活しながら適合性を確認(原則6ヶ月以上)

6ヶ月〜

5. 家庭裁判所審判

特別養子縁組の審判申立〜決定

数ヶ月

マッチング待機が長くなる理由

特別養子縁組を希望するカップルに対して、毎年の特別養子縁組成立件数は限られています(2022年:約700件)。希望する子どもの条件(年齢、健康状態など)によって待機期間は大きく変わります。「健康な新生児」への希望が集中する傾向があり、この場合は特に待機が長くなります。

費用の実態

費用は経由する機関(民間あっせん機関・児童相談所)によって大きく異なります。

費用比較

経路

費用の目安

特徴

民間養子縁組あっせん機関

50〜100万円程度(機関により異なる)

マッチングが比較的早い場合がある、サポートが手厚い

児童相談所(里親・養子縁組)

費用はほぼ発生しない

時間がかかる場合が多い。乳幼児のマッチングは難しいことも

民間機関の費用には、研修費・審査費・出産医療費補助(実母の分娩費用を機関が立て替える場合)などが含まれることがあります。必ず詳細な費用明細を確認してください。

税制上の取り扱い

特別養子縁組が成立した子どもは、税務・相続上は実子と同等に扱われます。扶養控除・医療費控除なども通常通り適用されます。

心理的な準備:知っておくべきこと

養子縁組は、単に「子どもを迎える手続き」ではありません。子どもの出自、実親との関係、子ども自身の心理的課題など、長期的な視点が必要です。

「出自を告げる」ことについて

養親学会・専門家の多くは、子どもが成長する過程で「自分が養子であること(出自)」を告げることを推奨しています(「真実告知」と呼ばれます)。いつ・どのように伝えるかは個々の判断ですが、研修や支援機関でサポートを受けながら考えることが重要です。

子どもが抱えやすい課題

  • アイデンティティに関する葛藤(自分は誰なのか)
  • 実親への複雑な感情(捨てられたという感覚と向き合う)
  • 学校・社会での「普通の家族」との違いへの対処

これらは養親からの愛情と適切なサポートで乗り越えられるものですが、対処できない場合は専門家(子どもの臨床心理士など)への相談も有効です。

夫婦としての準備

  • 不妊治療の「終わり」と養子縁組を「諦め」としてではなく「新たな選択」として二人で捉えているか
  • どちらか一方だけの強い動機ではなく、二人が同等に前向きであるか
  • 子育てに関する基本的な方針が一致しているか
  • 延長した不妊治療から来る心身の疲弊が回復しているか

相談できる機関

機関

内容

厚生労働省認可の養子縁組あっせん機関

特別養子縁組の仲介・研修・支援。全国に複数あり

児童相談所

里親・養子縁組に関する公的な相談窓口

NPO法人Fine

不妊当事者向けの情報・ピアサポート

家庭裁判所

特別養子縁組の審判手続き窓口

よくある質問

Q:不妊治療中でも養子縁組の申し込みはできますか?

機関によって異なります。多くの民間機関では、「不妊治療を終了または一定期間休止していること」を要件としている場合があります。これは、治療に集中しながら養子縁組の準備を並行することの負担を考慮したものです。詳細は各機関に確認してください。

Q:養子縁組をして、後に実子が生まれた場合はどうなりますか?

養子縁組後に実子が生まれた場合でも、特別養子縁組で迎えた子どもの法的地位(実子と同等)は変わりません。相続権・親権なども同等です。

Q:男性不妊が原因の場合、養子縁組を検討するタイミングはいつですか?

明確なタイミングの基準はありません。無精子症で精子採取が難しいと判断された場合、または顕微授精を複数回試みても結果が出ない場合など、医師と相談しながら二人で決断するものです。「治療の終わり」と「養子縁組の検討開始」は並行して考えることが可能です。

Q:養子縁組した場合、周囲への説明はどうすればいいですか?

どこまで・誰に・いつ伝えるかは完全に二人の自由です。ただし、子どもの出自については専門家の多くが「いずれ子ども自身に伝える」ことを推奨しています。周囲への開示と子どもへの告知を分けて考えることが重要です。

まとめ

  • 不妊カップルが選ぶことの多い養子縁組は「特別養子縁組」。実子と同等の法的地位が生まれる
  • 手続きから成立まで数年単位の時間と準備が必要。費用は経路によって大きく異なる
  • 子どもの「出自告知」(自分が養子であることを伝えること)は、専門家の多くが推奨
  • 夫婦二人が同等の意思と心身の準備を持って検討することが重要
  • 相談は認可機関・児童相談所・家庭裁判所など複数の窓口を活用できる

免責事項
本記事は一般的な情報の提供を目的としています。養子縁組に関する手続き・要件は機関・自治体・個別状況によって異なります。法的・手続き的な判断については、各機関または法律の専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2