
38歳という年齢で「精子の質は大丈夫か」と気になり始める男性は多くいます。38歳の精子の質は個人差が大きく、検査なしに自己判断することはできません。ただし加齢による精子DNA断片化率の上昇が始まる時期でもあり、妊活開始時に一度精液検査を受けることが推奨されます。
この記事のポイント
- 38歳の精子の質は30代前半と比べて変化が出始める時期
- 通常の精液検査に加え、DNA断片化率(DFI)の確認が有益
- 今から取り組む生活習慣改善が3カ月後の精液に反映される
38歳の精子の質に関するデータ
男性の生殖機能は女性の卵子のように急激には低下しませんが、緩やかな変化が30代後半から認められます。以下に主要なデータをまとめます。
研究・データ元 | 内容 |
|---|---|
Brahem et al. (2011) | 35歳以上で精子運動率・形態の有意な低下を報告 |
Sartorius & Nieschlag (2010) | 男性35〜39歳で自然妊娠までの期間が延長する傾向 |
Zhu et al. (2011, BMJ) | 父親年齢38歳以上でパートナーの流産リスク上昇傾向 |
WHO精液検査マニュアル第6版 | 精液基準値は年齢を問わず同一(個人差を考慮) |
重要なのは、38歳でも精液検査が「正常範囲内」である男性は多いということです。データはあくまで統計的傾向であり、個人の状態は検査でしかわかりません。
38歳で起こりやすい精子の変化
加齢とともに精子に起こりやすい変化を以下に整理します。
精子DNA断片化率(DFI)の上昇
精子のDNAに傷が増えることで、受精後の胚発育に影響することがあります。DFIは通常の精液検査では測定されないため、妊活が長期化している場合は専用検査の追加を検討してください。
- DFI 15%未満:一般的に問題なしとされる目安
- DFI 15〜25%:IVF・ICSIの成績に影響する可能性
- DFI 25%超:流産リスク上昇・治療法見直しが必要
精子運動率の変化
前進運動精子の割合は加齢とともに緩やかに低下します。運動率が低下すると卵子への到達が困難になるため、人工授精や体外受精で精子を調製する際の回収率に影響します。
精子形態の変化
正常形態率(Kruger法で4%以上が基準)は、加齢とともに低下傾向が報告されています。奇形精子の増加は受精能の低下と関連しますが、1個の正常精子があれば顕微授精で受精は可能です。
38歳で受けるべき検査
妊活を始める・または6カ月以上うまくいっていない場合、以下の検査を受けることを推奨します。
検査 | わかること | 費用の目安(保険適用) |
|---|---|---|
精液検査(基本) | 濃度・運動率・形態・精液量 | 数百円〜2,000円(3割負担) |
精子DNA断片化検査 | 精子DNAの損傷度(DFI) | 自費1〜3万円程度(検査法により異なる) |
男性ホルモン検査 | FSH・LH・テストステロン値 | 保険適用で数百円〜 |
精巣エコー | 精索静脈瘤・精巣腫瘍の有無 | 保険適用で1,000〜3,000円程度 |
受診先は泌尿器科(男性不妊外来)が適切です。不妊治療クリニックで夫婦同時に検査を受けることも可能です。
38歳男性不妊の主な原因と対策
38歳での男性不妊原因として多いものを挙げます。
精索静脈瘤
男性不妊患者の35〜40%に認められる最多原因です。精巣の静脈が拡張し、精巣温度が上昇することで造精機能が低下します。手術(精索静脈瘤高位結紮術)で改善が期待できます。
生活習慣由来の精子低下
- 喫煙:精子DNA断片化・運動率低下の確立したリスク因子
- 過体重・肥満:エストロゲン過多による造精機能低下
- 長時間の座位・高温環境:精巣温度上昇による造精障害
- 過度なアルコール摂取:精子形成・テストステロン産生への悪影響
精子の質を改善するための具体的アクション
精子の形成サイクルは約74日です。今から実践すれば、3カ月後の再検査で改善を確認できます。
食事の改善
- 亜鉛(牡蠣・牛赤身肉・カボチャの種):精子形成の必須ミネラル
- 葉酸(緑葉野菜・豆類):精子DNA合成に関与
- コエンザイムQ10(サバ・牛肉):精子のエネルギー代謝を支援
- 抗酸化食品(ベリー類・ナッツ・緑茶):精子への酸化ダメージを軽減
- 加工食品・トランス脂肪酸・過剰な糖質を控える
運動習慣
- 週3〜4回・30〜45分の中強度有酸素運動(ウォーキング・ジョギング)が精子の質にプラスの傾向
- 週150km超の高強度サイクリングは運動率低下のリスクがあるため注意
- ステロイド系筋肉増強サプリは造精機能を強く抑制するため絶対に避ける
日常習慣
- 禁煙(最重要):禁煙3カ月でDFI改善の研究報告あり
- 睡眠7〜8時間:テストステロン産生に不可欠
- 陰嚢の温度管理:サウナ・長時間のノートPC使用・タイトな下着を避ける
- 節酒:週14ドリンク(日本酒換算7合)以内が目安
セルフチェック:受診のタイミング
以下に2つ以上当てはまる場合は、早めに泌尿器科を受診してください。
- □ 38歳以上で、パートナーとの妊活が6カ月以上うまくいっていない
- □ 精液検査を一度も受けたことがない
- □ 喫煙習慣がある
- □ BMI25以上、または極端に低い体重
- □ 精索静脈瘤・停留精巣の既往がある
- □ デスクワーク中心で1日8時間以上座位の生活
よくある質問
Q. 38歳で精液検査が正常なら問題ありませんか?
通常の精液検査が正常範囲内であっても、DNA断片化率が高い場合があります。特に妊活12カ月以上経過している場合はDFI検査の追加が有益です。「精液検査正常→問題なし」と安心しすぎないようにしてください。
Q. 38歳から不妊治療を始めると遅いですか?
遅くはありません。男性側には保険適用の年齢制限がなく、精索静脈瘤手術や生活習慣改善によって精子の質が改善するケースは多くあります。パートナーの年齢が35歳以上であれば、早めのステップアップ(体外受精への移行)を検討することが推奨されます。
Q. サプリメントだけで精子の質は改善しますか?
サプリメントは補助的な手段です。精索静脈瘤など器質的な原因がある場合はサプリのみでは改善しません。まず原因を検査で特定し、必要であれば医学的治療とサプリを併用してください。
Q. パートナーが39歳の場合、急いで治療を始めるべきですか?
女性の卵巣予備能は38〜39歳以降急速に低下するため、男性側の検査・治療と並行して婦人科での評価(AMH検査・卵管検査など)を同時進行で進めることを強く推奨します。
まとめ
38歳の精子の質は個人差が大きく、検査なしに自己評価することはできません。大切なのは以下の3つです。
- 妊活開始時に精液検査(DFI検査含む)で現状を数値で把握する
- 禁煙・適正体重・抗酸化食事を柱に3カ月間の生活改善を実施する
- 原因(特に精索静脈瘤)が見つかれば、治療と生活改善を並行して進める
免責事項
本記事は医療情報の提供を目的とした参考情報です。診断・治療の代替となるものではありません。精子の質・男性不妊については必ず泌尿器科または生殖医療専門医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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