
妊娠後期に必要な栄養素と1日の目安量
妊娠後期(28週以降)は胎児の体重が急増し、母体の血液量もピークを迎える時期です。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、妊娠後期の付加量として、エネルギー+450kcal/日、たんぱく質+25g/日、鉄+9.5mg/日が設定されています。
栄養素 | 非妊娠時 | 妊娠後期付加量 | 妊娠後期合計 |
|---|---|---|---|
エネルギー | 2,000kcal | +450kcal | 2,450kcal |
たんぱく質 | 50g | +25g | 75g |
鉄 | 10.5mg | +9.5mg | 20mg |
カルシウム | 650mg | +0mg(付加なし) | 650mg |
葉酸 | 240μg | +240μg | 480μg |
ビタミンD | 8.5μg | +0μg | 8.5μg |
体重管理も重要で、妊娠後期の体重増加は週0.3〜0.5kg程度が目安です。BMI18.5〜25の方の妊娠全期間の推奨体重増加量は10〜13kgとされています。
鉄分たっぷりレシピ3選|貧血予防に毎日取り入れたいメニュー
1. ほうれん草と牛肉の炒め物(2人分・調理時間15分)
材料:牛もも薄切り肉150g、ほうれん草1束、にんにく1片、しょうゆ大さじ1、みりん大さじ1、ごま油大さじ1
作り方:ごま油でにんにくを炒め、牛肉を加えて色が変わったらほうれん草を入れる。しょうゆとみりんで味を調える。牛肉のヘム鉄(吸収率15〜25%)とほうれん草の非ヘム鉄を組み合わせることで、1人分あたり鉄約5.2mgを摂取できます。
2. あさりと小松菜のスープ(2人分・調理時間20分)
材料:あさり200g(殻付き)、小松菜1/2束、しょうが1片、水400ml、酒大さじ2、塩少々
作り方:あさりを酒蒸しにし、水としょうがを加えて煮立てる。刻んだ小松菜を加えて2分煮る。あさりは鉄含有量がトップクラスの食材で、100gあたり鉄3.8mgを含みます。スープにすることで溶け出した鉄分も余さず摂取できます。
3. 切り干し大根と高野豆腐の煮物(2人分・調理時間25分)
材料:切り干し大根30g、高野豆腐2枚、にんじん1/2本、だし汁300ml、しょうゆ大さじ1.5、砂糖大さじ1
作り方:切り干し大根を水で戻し、高野豆腐は湯で戻して食べやすく切る。だし汁で全材料を15分煮る。切り干し大根は生の大根に比べて鉄分が約15倍に濃縮されており、高野豆腐も鉄・カルシウムが豊富な食材です。作り置きにも適しています。
たんぱく質しっかりレシピ3選|胎児の成長を支える高たんぱくメニュー
1. 鶏むね肉の塩麹焼き(2人分・調理時間20分+漬け込み30分)
材料:鶏むね肉1枚(300g)、塩麹大さじ2、ブロッコリー1/2株、ミニトマト6個
作り方:鶏むね肉に塩麹を揉み込み30分漬ける。フライパンで弱火〜中火で両面をじっくり焼く。付け合わせの野菜も同時に焼く。1人分でたんぱく質約35g。塩麹の酵素で肉が柔らかくなり消化にも良いです。
2. 豆腐ハンバーグ(2人分・調理時間25分)
材料:木綿豆腐1/2丁、鶏ひき肉150g、玉ねぎ1/4個、卵1個、パン粉大さじ2、塩こしょう少々、大根おろし適量、ポン酢適量
作り方:水切りした豆腐とひき肉、みじん切りの玉ねぎ、卵、パン粉を混ぜて成形。フライパンで両面焼く。大根おろしとポン酢でさっぱりと。豆腐と鶏肉の組み合わせで高たんぱく・低脂肪。1人分たんぱく質約22g、脂質約10gです。
3. 鮭とほうれん草のクリーム煮(2人分・調理時間20分)
材料:生鮭2切れ、ほうれん草1/2束、玉ねぎ1/2個、牛乳200ml、小麦粉大さじ1、バター10g、コンソメ1/2個
作り方:バターで玉ねぎを炒め、小麦粉をまぶして牛乳を少しずつ加える。鮭とほうれん草を加えて10分煮る。鮭のたんぱく質・ビタミンDと牛乳のカルシウムを同時に摂取でき、1人分でたんぱく質約28g、カルシウム約200mgが摂れます。
食物繊維レシピ2選|妊娠後期の便秘対策に
妊娠後期は子宮が大きくなり腸が圧迫されるため、便秘になりやすい時期です。食物繊維の目標量は1日18g以上です。
1. ごぼうとひじきの炊き込みご飯(3合分・調理時間45分)
材料:米3合、ごぼう1/2本、乾燥ひじき10g、にんじん1/2本、油揚げ1枚、しょうゆ大さじ2、みりん大さじ1、だし汁適量
作り方:米を研ぎ、ごぼうはささがき、ひじきは水で戻す。全材料を炊飯器に入れて炊く。1膳(150g)あたり食物繊維約3.5g。まとめて炊いて冷凍保存すれば、毎日の食物繊維補給が手軽になります。
2. さつまいもとりんごの蒸し煮(2人分・調理時間20分)
材料:さつまいも1本(200g)、りんご1/2個、レーズン大さじ1、水100ml、バター5g
作り方:さつまいもとりんごを1cm角に切り、水とバターで蓋をして15分蒸し煮にする。レーズンを加えて混ぜる。さつまいもの食物繊維(100gあたり2.2g)とりんごのペクチンで便秘改善が期待できます。おやつにもなる一品です。
体重管理のための食事の工夫5つ
妊娠後期は食欲が増す一方で、急激な体重増加は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクを高めます。以下の工夫で栄養を確保しつつ体重を管理しましょう。
- 1日3食+間食1〜2回に分割:1回の食事量を減らして回数を増やすことで、血糖値の急上昇を抑制できる
- 野菜→たんぱく質→炭水化物の順で食べる:食べる順番を意識するだけで食後血糖値の上昇が約30%抑えられるという研究報告がある
- 汁物を最初に摂る:味噌汁やスープで満腹感を得てから主菜に進む
- 主食は白米より雑穀米や玄米:食物繊維が多く、GI値が低い。ただし玄米は消化に時間がかかるため、体調に合わせて割合を調整する
- 調理法を「蒸す・茹でる・焼く」中心にする:揚げ物を減らすだけで1食あたり100〜200kcalの削減が可能
妊娠後期に避けたい食品と注意点
栄養を積極的に摂る一方で、妊娠後期に控えるべき食品もあります。
- 塩分の多い食品:妊娠高血圧症候群の予防のため、塩分は1日7g未満を目標に。加工食品・外食は塩分が多いため注意
- 生魚・生肉:リステリア菌やトキソプラズマ感染のリスクがある。刺身や生ハムは加熱してから食べる
- マグロ・カジキなど大型魚の過剰摂取:水銀の蓄積リスクがあり、厚労省は週80g程度を目安としている
- カフェイン:1日200mg以下(コーヒー約2杯)に抑える。過剰摂取は低出生体重児のリスクと関連
- アルコール:妊娠中は完全に避ける。少量でも胎児性アルコール症候群のリスクがある
よくある質問
妊娠後期に体重が増えすぎた場合はどうすればよいですか?
急激な食事制限は胎児の発育に影響するため避けてください。揚げ物を減らす、間食をフルーツやナッツに変える、食べる順番を意識するなど、穏やかな調整が基本です。1週間で0.5kg以上増加が続く場合は、むくみや妊娠高血圧症候群の可能性もあるため主治医に相談しましょう。
鉄分サプリを飲んでいれば食事から鉄を摂らなくても大丈夫ですか?
サプリメントだけでは不十分です。食事からの鉄は他の栄養素(ビタミンC、たんぱく質など)と一緒に摂ることで吸収率が高まります。サプリは食事で不足する分を補う位置づけで、食事からの摂取を基本としてください。
妊娠後期は1日何食がベストですか?
基本は3食ですが、胃が圧迫されて1回の食事量が減る場合は、1日5〜6回に分けて食べる「分食」が有効です。特に夕食後にお腹が張る方は、夕食を軽めにして寝る前に軽い間食を摂ると楽になることがあります。
妊娠後期に甘いものが食べたくなるのは普通ですか?
ホルモン変化や胎児のエネルギー需要増加により、甘いものへの欲求が強まることは珍しくありません。完全に我慢するよりも、さつまいも、フルーツ、ヨーグルトなど栄養価のある甘味を選ぶことで、欲求を満たしながら栄養も確保できます。
妊娠後期の便秘に即効性のある食べ物はありますか?
キウイフルーツ(1日2個で便通改善のエビデンスあり)、プルーン(1日5〜6粒)、オートミール(朝食に40g)、ヨーグルト(毎日200g)が比較的即効性があるとされています。水分も1日1.5〜2L以上摂ることが重要です。
まとめ
妊娠後期は鉄(20mg/日)、たんぱく質(75g/日)、食物繊維(18g以上/日)を意識した食事が重要です。今回紹介した10のレシピは、いずれも1品で複数の栄養素を効率よく摂取できるように設計しています。体重管理のためには食べる順番と調理法の工夫が効果的です。1日の食事を記録するアプリを活用すると、栄養バランスの偏りを早期に発見できます。気になることがあれば、健診時に管理栄養士への栄養相談も活用してください。
※本記事は一般的な妊娠中の栄養情報の提供を目的としており、個別の医学的アドバイスではありません。体重管理や栄養摂取について不安がある場合は、かかりつけの産婦人科医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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