
妊娠中の便秘は70〜80%の妊婦が経験するとされ、プロゲステロンによる腸の動きの低下・鉄剤服用・運動量減少などが原因です。食物繊維の摂取は便秘改善に最も基本的な食事アプローチです。この記事では妊活・妊娠中に取り入れやすい高食物繊維レシピと、食物繊維の選び方を解説します。
この記事のポイント
- 妊娠中の推奨食物繊維摂取量:18g/日以上(日本人の食事摂取基準2020年版の目標量)
- 水溶性食物繊維(オクラ・大麦・りんご)と不溶性(ごぼう・玄米・豆類)を2:1で組み合わせる
- 食物繊維増加と同時に水分摂取(1.5〜2L/日)が必須
- 便秘には食物繊維だけでなく、発酵食品(腸内環境改善)・適度な運動も組み合わせる
- 鉄剤服用中は特に便秘になりやすいため、食物繊維の意識的な増加が重要
妊娠中に便秘が起こりやすい理由
妊娠中の便秘が特に起こりやすい理由を理解しておくと、対策を正しく立てやすくなります。
- プロゲステロンの上昇:腸の平滑筋を弛緩させ、腸の動き(蠕動運動)を低下させる。これは子宮収縮を抑えるためのホルモン作用の副作用
- 鉄剤の服用:鉄は腸に対して便秘を起こしやすい作用がある。産婦人科で処方される鉄剤を服用中の方は特に注意
- 子宮による腸管の圧迫:妊娠後期には増大した子宮が腸を圧迫し、腸の動きを妨げる
- 運動量の減少:つわり・疲労・安静指示などで体を動かす機会が減ると腸の動きも低下する
食物繊維の種類と役割:水溶性と不溶性の違い
食物繊維は大きく2種類に分けられます。便秘対策には両方のバランスが重要です。
種類 | 働き | 多く含む食品 |
|---|---|---|
水溶性食物繊維 | 腸内で水を吸収してゲル状になり、便を柔らかく・腸内細菌の栄養になる | オクラ・大麦・りんご・玉ねぎ・こんにゃく・海藻 |
不溶性食物繊維 | 水分を吸収して便のかさを増やし、腸壁を刺激して蠕動運動を促す | ごぼう・玄米・豆類・ブロッコリー・ナッツ |
一般的に「水溶性:不溶性=1:2」のバランスが理想とされますが、便秘タイプ(硬い便・スムーズに出ない)には水溶性を増やすことが有効です。
妊娠中に取り入れやすい高食物繊維レシピ5選
①オクラと納豆の和え物(食物繊維:約5g)
オクラ5本を茹でて小口切りにし、納豆1パックと混ぜる。しょうゆ少々・かつお節で味付け。オクラのペクチン(水溶性)と納豆の食物繊維・腸内フローラ改善効果を同時に取れる一品。5分でできる時短レシピ。
②さつまいもとりんごのヨーグルトサラダ(食物繊維:約4g)
さつまいも100gを蒸して1cm角に切る。りんご1/4個を薄切りにする。ヨーグルト大さじ2・はちみつ少々で和える。不溶性(さつまいも)+水溶性(りんごのペクチン)+プロバイオティクス(ヨーグルト)を一食で摂れる。
③大麦入り雑炊(食物繊維:約6g)
白米1合に大麦大さじ2を混ぜて炊く。または市販の「もち麦ご飯」パックを活用。大麦に含まれるβ-グルカン(水溶性食物繊維)は便秘改善・血糖値の急上昇抑制にも効果がある。
④ひじきと大豆の煮物(食物繊維:約6g/1人分)
乾燥ひじき5g(戻す)・大豆水煮50g・にんじん・こんにゃくを、だし・醤油・みりんで煮る。作り置きができ、2〜3日分まとめて作ると便利。鉄・カルシウムも同時に補える。
⑤ごぼうとれんこんのきんぴら(食物繊維:約5g)
ごぼう100g・れんこん80gを細切りにし、ごま油で炒める。醤油・みりん・砂糖少々で味付け。ごぼうのイヌリン(水溶性)とリグニン(不溶性)が腸内環境を整える。常備菜として作り置き可能。
食物繊維と水分のセットが便秘解消の鉄則
食物繊維は水分とともに働きます。食物繊維を増やしても水分が不足していると、かえって便が硬くなることがあります。
妊娠中の推奨水分摂取量は1.5〜2L/日(食事中の水分を含む)。水・麦茶・スープから積極的に摂取してください。朝起きてすぐにコップ1杯(200ml)の水を飲む習慣が腸の蠕動運動を刺激する方法として広く知られています。
発酵食品との組み合わせで効果アップ
食物繊維(プレバイオティクス)と発酵食品(プロバイオティクス)を組み合わせる「シンバイオティクス」アプローチが腸内環境改善に効果的とされています。
- ヨーグルト(乳酸菌)+バナナ・りんご(フラクトオリゴ糖)
- 味噌汁(発酵食品)+わかめ・根菜(食物繊維)
- 納豆(発酵食品・食物繊維)+オクラ・長芋(水溶性食物繊維)
よくある質問(FAQ)
便秘薬は妊娠中に飲んでもいい?
酸化マグネシウム(下剤)は妊娠中に比較的安全とされ、産婦人科で処方されることがあります。センナ・ピコスルファートは作用が強く一般的には産婦人科の判断なく自己使用は推奨されません。食事改善で改善しない場合は産婦人科に相談してください。
食物繊維を増やしたらお腹が張るのはなぜ?
急激な食物繊維の増加(特に不溶性)は腸内ガスを増やし、腹部膨満感が出ることがあります。増やす際は少量から始め、1〜2週間かけて徐々に増やすことでガスのトラブルを減らせます。
鉄剤服用中の便秘には何が特に効く?
鉄剤による便秘には水溶性食物繊維(オクラ・りんご・大麦)が便を柔らかくする効果があります。また腸内フローラ改善のためにヨーグルトや発酵食品を積極的に取り入れることが有効です。
まとめ
妊娠中の便秘には食物繊維18g/日の目標達成が基本です。水溶性食物繊維(オクラ・大麦・りんご)と不溶性(ごぼう・大豆・玄米)のバランスを意識しながら、1.5〜2Lの水分摂取と発酵食品を組み合わせることで腸内環境が改善されます。作り置きできるひじきの煮物・きんぴら・もち麦ご飯を日常に取り入れることが継続しやすい実践法です。
免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。妊娠中の便秘が続く場合は担当産婦人科医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
産婦人科・婦人科に関する正確で信頼性の高い情報をお届けします。医療監修のもと、女性の健康に役立つコンテンツを制作しています。
Next Action

