PMSを食べ物で改善|生理前の食欲対策・おすすめ栄養素・避けるべき食品
2026/4/14

PMS(月経前症候群)と食事の関係
PMS(月経前症候群)は、生理前3〜10日間に現れるイライラ・むくみ・食欲増加・頭痛などの不快症状の総称です。日本産科婦人科学会の調査では、日本人女性の約70〜80%がPMSの何らかの症状を経験しているとされます。PMSの原因は排卵後の黄体期におけるエストロゲンとプロゲステロンの急激な変動が、脳内セロトニンの低下や自律神経の乱れを引き起こすことにあります。
近年の研究では、日常の食事内容を見直すことでPMS症状を軽減できることが示されています。特にマグネシウム・ビタミンB6・カルシウムの積極的な摂取と、カフェイン・塩分・精製糖の制限が有効です。
PMSに効果的な栄養素と食べ物
マグネシウム — むくみ・イライラを緩和
マグネシウムは筋肉の弛緩や神経伝達の安定に関与するミネラルです。黄体期にマグネシウムの血中濃度が低下しやすいことが分かっており、意識的な補給がPMS対策に有効です。1日の推奨摂取量は成人女性で270〜290mgですが、日本人女性の平均摂取量は約230mgとやや不足気味です。
食品 | マグネシウム含有量(100gあたり) |
|---|---|
アーモンド | 310mg |
ほうれん草(ゆで) | 40mg |
納豆 | 100mg |
豆腐(木綿) | 57mg |
玄米 | 49mg |
バナナ | 32mg |
ビタミンB6 — セロトニン合成を助ける
ビタミンB6はセロトニンやドーパミンの合成に不可欠な補酵素です。PMS症状、特に気分の落ち込みやイライラの軽減に対して、ビタミンB6の補給が有用であることが複数の研究で報告されています。1日50〜100mgの摂取でPMSの気分症状が改善したとする報告があります。
- 鶏むね肉:ビタミンB6が豊富(100gあたり0.64mg)で、高たんぱく・低脂質
- マグロ・カツオ:赤身魚はビタミンB6含有量が高い(100gあたり0.85mg前後)
- にんにく:少量でもビタミンB6を効率よく摂取できる
- ピスタチオ:間食として手軽にビタミンB6を補給できる
カルシウム — 情緒不安定・頭痛の緩和
カルシウム不足はPMSの情緒不安定や身体症状を悪化させます。1日1,200mgのカルシウムサプリメント摂取でPMS症状が48%軽減したとする研究(American Journal of Obstetrics and Gynecology, 1998)があります。牛乳・ヨーグルト・小魚・小松菜・ひじきなどを毎食取り入れることを心がけましょう。
鉄分 — 疲労感・だるさを予防
月経のある女性は慢性的な鉄不足になりやすく、PMSの疲労感やだるさの一因となります。レバー・赤身肉・あさり・ほうれん草など鉄分を多く含む食品を意識的に摂取し、ビタミンCと一緒に摂ると吸収率が向上します。
生理前の食欲が止まらないときの対策
黄体期はプロゲステロンの作用で基礎代謝が上がり、通常より100〜300kcal多くエネルギーを消費します。そのため食欲が増すのは自然な生理現象です。無理に我慢するとストレスが増し、かえって過食につながります。
対策 | 具体的な方法 | ポイント |
|---|---|---|
血糖値を安定させる | 1日3食+間食2回の分食にする | 空腹時間を長くしないことが重要 |
良質な間食を選ぶ | ナッツ類・ヨーグルト・チーズ・果物 | たんぱく質+食物繊維で満足感が持続 |
複合炭水化物を摂る | 白米→玄米、パン→全粒粉パンに置き換え | 血糖値の急上昇・急降下を防ぐ |
水分をこまめに摂る | 1日1.5〜2Lの水やノンカフェイン飲料 | 脱水が空腹感を増幅させることがある |
PMS悪化を防ぐために避けたい食品
カフェイン
コーヒー・紅茶・エナジードリンクに含まれるカフェインは、交感神経を刺激してイライラや不安感を増幅させます。また、利尿作用によりマグネシウムやカルシウムの排泄を促進するため、PMS期のミネラル不足を悪化させます。生理前1週間はカフェインを1日200mg以下(コーヒー約2杯分)に抑えるか、デカフェに切り替えることを推奨します。
塩分の多い食品
加工食品・スナック菓子・漬物などの高塩分食品は、体内に水分を溜め込みむくみを悪化させます。黄体期は元々プロゲステロンの作用で水分を溜めやすい時期のため、塩分の過剰摂取は二重にむくみを促進します。
精製糖・甘いお菓子
砂糖を多く含む菓子類は血糖値を急上昇させた後に急降下させ、イライラ・疲労感・さらなる甘いもの欲求という悪循環を引き起こします。甘いものが欲しいときは、ダークチョコレート(カカオ70%以上)やドライフルーツなど血糖値の上昇が緩やかなものを選びましょう。
アルコール
黄体期はアルコールの分解能力が低下するため、少量でも酔いやすくなります。また、アルコールはビタミンB群の消費を促進し、睡眠の質を下げるため、PMS症状を悪化させる原因となります。
PMS改善におすすめの1日の食事例
食事 | メニュー例 | 摂れる栄養素 |
|---|---|---|
朝食 | 全粒粉トースト+ゆで卵+ヨーグルト+バナナ | カルシウム・ビタミンB6・マグネシウム |
昼食 | 鶏むね肉のサラダ+玄米おにぎり+味噌汁 | ビタミンB6・鉄分・マグネシウム |
間食 | アーモンド10粒+カモミールティー | マグネシウム・ビタミンE |
夕食 | 鮭の塩焼き+ほうれん草のおひたし+納豆+玄米 | ビタミンB6・鉄分・マグネシウム・カルシウム |
よくある質問
PMSの食欲増加は何日くらい続きますか?
一般的に排卵後から生理開始までの約1〜2週間です。生理が始まるとホルモンバランスが変化し、食欲は自然に落ち着きます。この期間に体重が1〜2kg増えることがありますが、多くは水分によるもので生理後に戻ります。
サプリメントでPMSは改善できますか?
マグネシウム・ビタミンB6・カルシウムのサプリメントはPMS改善のエビデンスがある栄養素です。ただし、まずは食事からの摂取を優先し、それでも不足する場合に補助的に使用することが望ましいです。サプリメントの使用前に産婦人科医に相談することをおすすめします。
チョコレートが無性に食べたくなるのはなぜですか?
チョコレートにはマグネシウムやトリプトファン(セロトニンの原料)が含まれており、体が不足する栄養素を本能的に求めていると考えられます。食べたい場合はカカオ含有率の高いダークチョコレートを少量(20〜30g程度)楽しむとよいでしょう。
PMSがひどい場合、食事だけで改善できますか?
食事改善は有効ですが、日常生活に支障が出るほど重い場合はPMDD(月経前不快気分障害)の可能性もあります。食事・運動・睡眠の改善で十分な効果が得られない場合は、ピルによるPMS治療や漢方薬での改善も選択肢です。産婦人科を受診してください。
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最終更新日:2026年4月14日
参考文献
- 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編 2023」
- Thys-Jacobs S, et al. Calcium carbonate and the premenstrual syndrome. Am J Obstet Gynecol. 1998;179(2):444-452.
- Wyatt KM, et al. Efficacy of vitamin B-6 in the treatment of premenstrual syndrome. BMJ. 1999;318(7195):1375-1381.
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、診断・治療の代替となるものではありません。症状が気になる方は必ず産婦人科にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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