
妊娠中の便秘は、妊婦全体の約40〜50%が経験するとされる非常に一般的な症状です。主な原因はプロゲステロンの増加による腸管運動の低下と、子宮による腸への圧迫です。食物繊維・水分・適度な運動という3本柱のアプローチが基本対策です。
妊娠中に便秘になりやすい理由
- プロゲステロンの増加: 腸管の平滑筋を弛緩させ、腸の蠕動運動が低下する。妊娠初期から起きる
- 子宮による腸への圧迫: 妊娠中期〜後期にかけて便の通過が妨げられる
- 鉄剤・葉酸鉄サプリの副作用: 処方される鉄剤は便秘を引き起こしやすい
- 活動量の低下: つわりや体の重さで運動量が減り、腸の動きが鈍くなる
- 水分不足: つわりや体のむくみを気にして水分を減らすと便が硬くなる
食物繊維の摂り方:水溶性と不溶性のバランスが鍵
種類 | 働き | 多く含む食品 |
|---|---|---|
水溶性食物繊維 | 腸内で水分を保持してジェル状になり、便を柔らかくする | オクラ・アボカド・りんご・海藻・大麦 |
不溶性食物繊維 | 便のかさを増やして腸の蠕動運動を刺激する | ごぼう・さつまいも・玄米・豆類・ブロッコリー |
妊娠中の食物繊維の目標量は18g/日以上です。日本人は平均12〜14g程度しか摂れていないため、意識的な増量が必要です。
食物繊維を簡単に増やす方法
- 白米の一部を押し麦・玄米に変える(食物繊維量が2〜3倍に増加)
- おやつにキウイ・バナナ・プルーンを取り入れる
- 汁物にわかめ・めかぶ・もずくを加える
- 朝食にオートミールを1食取り入れる(1食約4g)
水分摂取のコツ:量とタイミング
妊娠中は通常より水分が必要で、1日1.5〜2Lを目安に摂ります。
- 起床直後のコップ1杯の水: 胃結腸反射を促し、腸の動きを刺激する
- 食事のタイミングで意識的に飲む: 腸内の水分量を増やす
- 冷たすぎるものは避ける: 常温〜ぬるめが理想的
- むくみが心配でも水分制限はNG: 水分を控えると便が硬くなる悪循環に
妊娠中に安全にできる運動
軽い運動は腸の動きを刺激し便秘改善に有効です。必ず主治医に確認してから取り組んでください。
- ウォーキング(1日15〜30分): 最も安全で効果的。食後30〜60分後が効果的
- マタニティヨガ: 腸のマッサージになるポーズも多く、リラクゼーション効果もある
- 腹部の時計回りマッサージ: へその周りを時計回りに優しくさする(10〜15回)
切迫早産の診断・安静指示が出ている場合は運動を控え、医師の指示に従ってください。
薬による対処:使えるもの・避けるもの
種類 | 妊娠中の使用可否 | 代表的な成分 |
|---|---|---|
酸化マグネシウム | 比較的安全(医師処方あり) | マグミット錠等(医療機関で処方) |
ラクツロース | 比較的安全 | モニラック(医療機関処方) |
大腸刺激性下剤(センナ・センノシド) | 原則避ける(子宮収縮促進の懸念) | コーラック・センナ含有製品 |
乳酸菌・ビフィズス菌 | 安全(腸内環境改善に有用) | ビオフェルミン等 |
妊娠中の便秘薬は必ず医師・薬剤師に相談してから使用してください。
産婦人科を受診すべきサイン
- 5日以上排便がない
- 腹部の強い痛み・張りを伴う
- 便に血液が混じる
- 痔が悪化して強い出血がある
よくある質問
Q. 妊娠初期から便秘になりました。いつまで続きますか?
プロゲステロンの影響は妊娠維持のために持続するため、出産まで続く場合があります。ただし食事・水分の改善で緩和できることも多いです。
Q. キウイやプルーンは毎日食べてもよいですか?
適切な量であれば問題ありません。キウイ1〜2個/日、プルーン3〜5粒/日が目安。糖分も含まれるため食べすぎには注意。
Q. 妊娠中の便秘に市販の浣腸を使ってよいですか?
グリセリン浣腸は妊娠中、子宮収縮への影響が懸念されるケースもあります。自己判断では使用せず産婦人科に相談してください。
Q. 鉄剤を飲んでいると便秘がひどいです。どうすればよいですか?
鉄剤(特に非ヘム鉄)は便秘の副作用が出やすいです。食後に服用することで胃腸への刺激を和らげる場合があります。便秘がひどい場合は処方した医師に相談し、鉄剤の種類変更や緩下剤の追加を検討してもらいましょう。
Q. 妊娠中の便秘に市販の整腸剤(乳酸菌サプリ)は使えますか?
乳酸菌・ビフィズス菌含有の整腸剤は妊娠中でも使用できるものが多いです。ビオフェルミン錠等は添付文書に妊婦への使用についての注意事項があるため、確認してから使用するのが安全です。
まとめ
妊娠中の便秘対策の基本は食物繊維(水溶性+不溶性のバランス)・水分(1日1.5〜2L)・適度な運動の3本柱です。白米を押し麦に変えるだけで食物繊維量を大幅に増やすことができます。改善しない場合や痛みを伴う場合は自己判断で市販の下剤を使わず、産婦人科に相談して安全な薬を処方してもらいましょう。
本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、医療行為の代替ではありません。症状が続く場合は産婦人科を受診してください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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